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重症喘息患者を特定する

重症喘息に対する新しい治療法が登場し、治療に革新的な変化をもたらし始めていることから、Inside Severe Asthmaでは医療従事者が重症喘息患者を特定することの支援を目指している。インタラクティブコンテンツにより重症喘息患者の診断を体感し、専門家の意見を通じて重症喘息を深く理解する。

重症喘息患者の特定

重症喘息の診断における課題

治療困難な喘息および重症難治性喘息のいずれにおいても、重篤な症状やコントロール不良が認められることがあるが、実はこの2つは異なる原因による病態である[1]。治療困難な喘息には、併存症や服薬アドヒアランス不良など、診断を複雑化する交絡因子が複数存在する可能性がある[1]。ATS/ERSタスクフォースの最近の推奨事項では、治療困難な喘息を呈する患者は喘息専門医による喘息の確定診断を受け、その後3ヵ月以上の評価と管理を受けることを提案しており、さらにそうした評価を行った上で初めて重症喘息と診断することを推奨している[2]。 

ガイドラインによる喘息の重症度およびコントロールの定義に関する詳しい情報について

ガイドラインを解釈する

重症喘息の典型例である5症例について解説しています。

  1. Bel EH, et al. Thorax 2011;66:910–7
  2. Chung KF, et al. Eur Respir J 2014;43:343–73.

ガイドラインを解釈する

コントロールと重症度を定義する

「コントロール」を定義する

喘息コントロールとは、患者において喘息症状がどの程度観察されるか、または治療によって軽減もしくは消失したかを指す。

日本のガイドラインにおいて、喘息のコントロール状態は以下の表に基づき判断する[1]

▼喘息コントロール状態の評価

*1:1日2回測定による日内変動の正常上限は8%である。
*2:増悪が月に1回以上あれば他の項目が該当しなくてもコントロール不良と評価する。

コントロールは重症度とは無関係である。軽症喘息でもコントロール不良な場合があり、重症喘息でもコントロール良好な場合がある[2]。コントロールの程度は、以下2つの領域を評価することにより[2]、治療の調整が必要か否かを判断するために使用することができる[3]

  1. 症状コントロール
  2. 将来の有害事象リスク

将来のリスクの一部は症状コントロールから予測できるが、将来の有害事象リスクは症状コントロールとは無関係な場合もある[4]

重症度を定義する

海外のガイドライン(GINA)では重症度を症状や増悪のコントロールに必要な治療薬から評価される。 
一方、日本のガイドラインにおいては以下の通り「未治療の臨床所見による分類」と「現在の治療を考慮した」2種類の方法で重症度が分類されている。

▼未治療の臨床所見による喘息重症度の分類(成人)[1]

*1:いずれか1つが認められればその重症度と判断する。
*2:症状からの判断は重症例や長期罹患例で重症度を過小評価する場合がある。呼吸機能は気道閉塞の程度を客観的に示し、その変動は気道過敏性と関連する。 
%FEV
1=(FEV1測定値/FEV1予測値)×100,%PEF=(PEF測定値/PEF予測値または自己最良値)×100

▼現在の治療を考慮した喘息重症度の分類(成人)[1]

*1:コントロールされた状態が3 ~ 6 ヵ月以上維持されていれば、治療のステップダウンを考慮する。
*2:各治療ステップにおける治療内容を強化する。
*3:治療のアドヒアランスを確認し、必要に応じ是正して治療をステップアップする。

コントロールと重症度は別の問題である

喘息のコントロールと重症度とは別々の問題であり、重症喘息を定義する際に混同しないように心掛ける必要がある。治療に対する反応性は疾患の性質を測定する尺度となるため、薬物療法中のコントロールは重症度の指標として用いられる[2]。ERS/ATSでは、重症喘息の患者でも適切な治療でコントロール良好となる場合があるとしている[5]。つまり、重症喘息患者でもコントロール良好となり得る(すなわち、症状や増悪が最小限に抑えられている)のに対し、軽症喘息患者でも症状や増悪がしっかり管理されていないコントロール不良な状態になり得るということである[3]。 

喘息の重症度に対するGINAおよびERS/ATSのアプローチは、いずれも薬物療法に対する反応に基づいている[2],[3]。これは、患者のアドヒアランスが最大限であること、そして回避可能なリスク因子への対処および併存症の治療が行われていることを前提としている。重症喘息はコントロールの維持に高レベルの薬物療法が必要であること、また症例によっては完全なコントロールが得られない場合があることを念頭に、コントロールを継続的に再評価し、必要に応じて薬剤の種類や用量を増減すべきである[2],[3]。 

ガイドラインは重症喘息について以下のように定義している:

参考 GINAの治療ステップ

重症度の尺度としての増悪

喘息の増悪とは、喘息症状が進行性に悪化する急性または亜急性エピソードのことである。増悪症状には、息切れ、喘鳴、咳嗽、および胸部絞扼感が含まれる。増悪の頻度および増悪の重症度は、喘息の重症度の尺度として用いられる。ATS/ERSガイドラインでは、重度の増悪頻度および重篤な増悪の発現をコントロールの尺度として挙げている[2],[3] 。 

一般的に、増悪が頻回および重度であるほど、基礎疾患の重症度が高いことを示す [6],[7]。増悪は突発性のものであるが、通常は慢性的な炎症が存在する[2]。どの重症度カテゴリーでも、増悪および炎症はいずれも長期的に変動する可能性がある[6],[7]

コントロール、重症度、および増悪の関係は?

コントロール不良は、将来の増悪および進行性の呼吸機能低下と関連付けられている[7]。しかし、症状のコントロールが良好でも、増悪リスクの可能性は完全にはなくならない[4]

▼喘息コントロールが良好、不十分、および不良な患者集団における喘息増悪リスクの図解[4]

症状コントロールが「良好」な患者でも依然として増悪のリスクがある場合がある。

患者のフェノタイプ分類を行うことにより、重症喘息を分類することが探索されている。これにより、患者の将来的な経過をより的確に予測できる可能性があり、さらに治療アプローチの個別化ができるようになる可能性もある[5]

  1. 一般社団法人日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン2018」
  2. Global Initiative for Asthma (GINA). 2018 Global strategy for asthma management and prevention.
    Available at : http://ginasthma.org/2018-gina-report-global-strategy-for-asthma-management-and-prevention/
    Last accessed April 2018.
  3. Chung KF, et al. Eur Respir J 2014;43:343–73.
  4. Blakey JD, et al. Prim Care Respir J 2013;22:344–52.
  5. Bel EH, et al. Thorax 2011;66:910–7
  6. Thomas M, et al. Prim Care Respir J 2009;18:41–9.
  7. Trejo Bittar HE, et al. Annu Rev Pathol 2015;10:511–45.

重症喘息を診断する

重症喘息と誤診されている他疾患がありうる。日本のガイドラインでは、難治例への対応として、以下の項目を評価し、治療ステップ3以上の治療にも関わらずコントロール不良である場合は、専門医への紹介を推奨している。:参考 フローチャート(喘息長期管理の進め方)については、こちらをご覧ください。

▼治療によっても良好なコントロールが得られない場合の評価項目[1]

治療困難な喘息と重症喘息を区別する

重症喘息は治療困難な喘息としばしば混同される。これは、いずれも標準的な喘息薬ではコントロールが難しいことがあるためである。しかし、治療困難な喘息の場合、下記の因子に適切に対処すれば疾患のコントロールを回復する助けとなる可能性がある[2-4]。この対処をしてもなおコントロールできないのが、真の重症喘息である。

治療困難な喘息は、持続的なアドヒアランス不良、心理社会的要因、アレルゲンや毒性物質に対する持続的な環境曝露、または未治療の併存症により、強度の高い喘息薬を処方してもコントロール不良のままである。 

Bel et al. 2011[3]

喘息コントロールを定量化する

ACTは、患者自身による自己記入式の5項目から成るツールであり、患者のスコアが19以下の場合、喘息のコントロールが不良であることを特定する助けとなる[5]。 

ACTは、以下の質問に対する患者の回答を1~5のスケールで得点化することにより、喘息コントロールを定量化する [5]

  1. この4週間に、喘息のせいで職場やまたは家庭で思うように仕事がはかどらなかったことは時間的にどの程度ありましたか?
  2. この4週間に、どのくらいの息切れがありましたか?
  3. この4週間に、喘息の症状(またはゼイゼイする、咳、息切れ、胸が苦しい・痛い)のせいで夜中に目が覚めたり、いつもより朝早く目が覚めてしまうことがどのくらいありましたか?
  4. この4週間に、発作止めの吸入薬(サルブタモールなど)をどのくらい使いましたか?
  5. この4週間に、自分自身の喘息をどの程度コントロールできたと思いますか?

ACQは、患者自身による自己記入式の7項目から成るツールであり、過去1週間における患者の喘息症状、呼吸機能、および発作治療薬の使用について患者を評価する[6-8]。 

ACQは、各項目を0~6のスケール(0=障害なし、6=最大限の障害あり)で得点化することにより、喘息コントロールを定量化する。全回答の平均スコアは、0(完全なコントロール)から6(重度のコントロール不良)までの間となる [6]。 

患者のスコアを長期間にわたって記録することは、長期的な喘息コントロールをモニタリングする助けとなり、患者‐医師間の対話を促進する。 

ACTは こちらから入手可能。

ACQは こちらから入手可能。

診断検査

スパイロメーター

スパイロメーターは、薬物療法に対する反応および既往歴の評価と共に、喘息を診断するための基本的な検査方法とみなされている[2]

その他の評価方法を使用する価値は?

病理学的検査は、治療に対する反応が最小限の患者に対してのみ実施される可能性がある。その効果にはばらつきがある可能性がある。重症喘息の病態生物学の全体像を得るのは複雑であり、侵襲的な検査が必要で、追加的な価値があることは稀である。肺組織生検は行われないことが多い[2],[4]

  1. 一般社団法人日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン2018」
  2. Global Initiative for Asthma (GINA). 2018 Global strategy for asthma management and prevention.
    Available at : http://ginasthma.org/2018-gina-report-global-strategy-for-asthma-management-and-prevention/
    Last accessed April 2018.
  3. Bel EH, et al. Thorax 2011;66:910–7
  4. Chung KF, et al. Eur Respir J 2014;43:343–73.
  5. Asthma Control Test. Available at: http://www.asthmacontroltest.com/. 
    Last accessed August 2015.
  6. QoLTech. Available at: http://www.qoltech.co.uk/acq.html. 
    Last accessed September 2015.
  7. Juniper EF, et al. Eur Respir J 1999;14:902–7.
  8. O'Byrne PM, et al. Eur Respir J 2010;36:269–76

重症喘息の管理

重症喘息の診断および管理には、喘息の確定診断が不可欠である[1],[2]。喘息の確定診断はプライマリ・ケアで実施されるが、喘息専門医の意見を仰ぐことが治療困難または重症喘息患者の病状の理解および管理の有効な選択肢となり得る[1]
喘息の確定診断に関する詳しい情報については、 こちらを参照してください。

管理および追跡調査のガイドライン

現在、権威ある国際専門組織がそれぞれ重症喘息の管理に関するガイドラインを提供している。この分野は依然として急速に発達していることから、重症喘息患者の治療に有益なさらなる発展が見込まれる。 

最適な喘息コントロールのための目標設定に関する詳細については、こちらを参照してください。

2014年に実施されたERS/ATSタスクフォースのワークショップおよび2016年のGINAには、重症喘息の管理に対する勧告が記載されている[1],[2]

吸入コルチコステロイド(ICS)は一般的に維持療法として推奨される[1]。ICS/長時間作用性β2刺激薬(LABA)用量の最適化は重症喘息患者に対して有効である[1]

成人重症喘息患者の30%は、ある程度の喘息コントロールの維持にICSに加えて経口ステロイド(OCS)の投与が必要である[2]。継続的にOCSを服用している患者、もしくはある程度高用量のICSを投与している患者では、体重、血圧、血糖、視力および骨密度も定期的に測定する必要がある[2]

(フェノタイピングなしでの)追加長期管理薬には、長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬のチオトロピウム、およびロイコトリエン受容体拮抗薬などが含まれる[1]。ロイコトリエン受容体拮抗薬は重症喘息への使用の記載があるが、効果は限定的な可能性がある[1]

オマリズマブはフェノタイプによって使用可能な追加治療薬で、重症アレルギー性喘息患者での使用を検討することができる[1]

メポリズマブはフェノタイプが判断された重症好酸球性喘息患者向けの追加治療薬である[1]

喀痰中の好酸球に基づく喀痰を用いた診断では解析の専門知識を有する専門施設での実施が推奨される[2]

成人における気管支サーモプラスティ治療は施設内治験審査委員会が承認する独立した系統的なレジストリまたは臨床試験でのみ推奨される[2]

マクロライド系抗生物質は喘息の治療には推奨されていない。マクロライド系抗生物質は気管支炎、気管支拡張症、またはその他の細菌感染など適応となっている疾患の治療に使用する[2]

抗真菌薬治療は重症喘息および再発性アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の増悪が見られる成人患者にのみ推奨される[2]

メトトレキサートは推奨されていない[2]

日本のガイドラインにおける自己管理計画書(アクションプラン)[3]

喘息症状には、わずかな喘鳴/胸苦しさから、歩行不能、会話不能の高度・重篤症状まで、重症度の広範なばらつきがある。したがって、医師は個々の患者に対して、急性増悪(発作)の重症度別にどのように対処するか指示を与えておく。この際、口頭で伝えるのでは不十分であり、具体的な指示を書いた自己管理計画書(アクションプラン)を渡すことが勧められる。 

喘鳴/胸苦しさのみから中等度(苦しくて横になれない)までの喘息症状の出現に際しては、まずSABA(pMDI)で1~2パフを吸入し、効果が不十分であれば1時間まで20分おきに吸入を繰り返し、以後は1時間に1回を目安に吸入する。その際は、β2刺激薬またはテオフィリン薬の経口投与を併用してもよい。また、ブデソニド/ホルモテロール吸入薬によるSMART療法を実施中の患者では、発作出現時に1吸入、数分間経過しても発作が持続する場合には、さらに追加で1吸入する。 

これらの対応で経過を観察して、症状の消失(PEFが予測値または自己最良値の80%以上を目安)が認められ、また薬剤の効果が3~4時間持続する場合は、そのまま自宅治療とする。しかし、これらの治療で効果がなく症状が持続し、かつ下記の目安があれば、経口ステロイド薬(プレドニゾロン15~30mg相当)を内服の上で、直ちに救急外来を受診するように指導する。

救急外来受診の目安

中等度(苦しくて横になれない)以上の喘息症状のとき。

β2刺激薬の吸入を1~2時間おきに必要とするとき。

症状が悪化していくとき。

【参考】海外のガイドラインにおける書面化した喘息自己管理計画書(アクションプラン)

2016年GINAではあらゆる重症度の喘息を患者自身が管理をサポートするような行動計画の作成を推奨している[1]。その意図は、患者が自身の症状およびコントロールについて確実に認識しているようにすることで、コントロール状況に変化が生じた場合に薬物療法の短期的な調整を行えるようにすることである[1]。全般的な目標は、疾患の自己管理を改善し、増悪リスクおよび医療施設の利用を最小限に抑えることである[1]。 

計画には以下が含まれる[1]

患者の健康医療情報を収集し、理解して、利用する能力や喘息コントロール状態に合わせた適切なレベルの内容および表現

経口ステロイドを含む発作治療薬および管理薬を、いつ、どのように変更するかを説明する

大半の患者については、以下の場合に経口ステロイドの短期投与(40~50mg/日を5~7日間など)が推奨される:

2~3日間にわたり発作治療薬および管理薬を増量しても反応が認められない場合

急速に悪化している場合、または最大呼気流量(PEF)かFEV1が自己最高値もしくは予測値の60%未満の場合

突発的な重度増悪の既往歴がある場合

症状が治療に反応しない場合、どのタイミングで受診するべきかを説明する

急速に悪化する患者は、ただちに専門施設または主治医を受診するよう助言すべきである

自己管理計画の基準は患者によって異なり、計画は個別化すべきである[1]

一般的な喘息教育も効果的である[1]。治療困難な喘息患者または重症喘息患者に対して誤診の有無、誤った吸入器の扱い、継続的な環境暴露および服薬順守不良といった共通の問題に対処した後に、専門医や重症喘息に対処できる機関に紹介する[1]

  1. Global Initiative for Asthma (GINA). 2018 Global strategy for asthma management and prevention.
    Available at : http://ginasthma.org/2018-gina-report-global-strategy-for-asthma-management-and-prevention/
    Last accessed April 2018.
  2. Chung KF, et al. Eur Respir J 2014;43:343–73.
  3. 一般社団法人日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン2018」

プライマリ・ケアにおける重症喘息の課題

重症喘息の管理および治療は、通常、専門医により行われていることが多い。しかし、患者が確実に適切なケアを受け、必要に応じて専門医の紹介を受けるようにするためには、プライマリケアにおける初期評価が極めて重要になる。

専門医に紹介する患者を評価する

日本のガイドラインでは、喘息長期管理について以下のように記載されている[1]

▼喘息長期管理の進め方

注)治療ステップ3以上の治療にもかかわらずコントロール不良の場合は専門医への紹介が推奨される。

【参考】GINAのガイドラインにおいてもコントロール不良の喘息患者に対する戦略は同様である。プライマリケアにおいてコントロール不良な喘息を診療する際には、以下を行うことが推奨される[2]

  • 患者の吸入器の使い方および服薬アドヒアランスを調査する。
  • 喘息以外の疾患の可能性を排除することにより、喘息の診断を確定する。患者が症状を示している際に肺機能が正常な場合は、吸入ステロイド(ICS)の投与量を半減し、2~3ヶ月間隔で肺機能を再検査することを検討する。
  • 潜在的なリスク因子および喘息の誘発因子(トリガー)を取り除き、併存症が正しく診断され、治療されているかをチェックする。考慮すべき重大な喘息の併存症には以下が含まれる:
    • 副鼻腔炎
    • 胃食道逆流症
    • 肥満
    • 睡眠時無呼吸
    • うつ病
    • 不安
    • アトピー性疾患
  • 治療を次のレベルへステップアップすることを検討する。その際には、必ず意思決定の共有が行われるようにし、可能性のあるベネフィットとリスクのバランスを取るようにする[2]

経過観察後の再評価

治療ステップ3以上の治療にもかかわらずコントロール不良の場合は専門医への紹介が推奨される[2]

喘息コントロールを定量化する

経過観察中に喘息コントロールを正確に記録することは、治療に対する反応をモニタリングする助けとなる可能性がある。Asthma Control Questionnaire (ACQ) およびAsthma Control Test (ACT)は、喘息コントロールを測定するためによく使用される方法である。

喘息の重症度を定量化する

重症度は、通常、時間と共に軽症から重症の連続した進行を示すものではない[9]。2014年European Respiratory Society/American Thoracic Societyタスクフォースの重症喘息に関するガイドラインには、最新の定義が記載されている。

喘息の診断が確定され、併存症への対処が適切に行われている場合、重症喘息は次のように定義される 
「『コントロール不良』となるのを予防するため、高用量吸入ステロイド薬(ICS)および長時間作用性 β
2刺激薬(LABA)またはロイコトリエン受容体拮抗薬/テオフィリン薬を前年に要した喘息、または全身性ステロイド薬を要した日数が前年の50%以上に達した喘息、あるいはこうした治療にもかかわらず『コントロール不良』である喘息」。 

Chung, et al. 2014[10]

鑑別診断

非喘息患者の16%が重症のコントロール不良喘息であると誤診されているとの報告もある[11]。そのためGINAでも患者をレトロスペクティブに再評価する必要性が提言されている[2]

  • 機能障害性の息切れ/声帯機能障害
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • パニック発作を伴う過換気
  • 閉塞性細気管支炎
  • うっ血性心不全
  • 薬物有害反応(アンジオテンシン変換酵素阻害剤)
  • 気管支拡張症/嚢胞性線維症
  • 過敏性肺炎
  • 好酸球増多症候群
  • 肺塞栓症
  • ヘルペス性気管気管支炎(Herpetic tracheobronchitis)
  • 気管支内病変/異物(アミロイド、カルチノイド、気管狭窄など)
  • アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
  • 後天性気管気管支軟化症
  • 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
  • 喉頭炎/喉頭蓋炎
  • 気管内腫瘍/気道異物
  • 結核
  • 自然気胸
  • 過換気症候群
  • 心因性咳嗽
  1. 一般社団法人日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン2018」
  2. Global Initiative for Asthma (GINA). 2018 Global strategy for asthma management and prevention.
    Available at : http://ginasthma.org/2018-gina-report-global-strategy-for-asthma-management-and-prevention/
    Last accessed April 2018.
  3. Asthma Control Test. Available at: www.asthmacontroltest.com. 
    Last accessed January 2017.
  4. Nathan RA, et al. J Allergy Clin Immunol 2004;113:59–65.
  5. Thomas M, et al. Prim Care Respir J 2009;18:41–9.
  6. Juniper EF, et al. Eur Respir J 1999;14:902–7.
  7. O'Byrne PM, et al. Eur Respir J 2010;36:269–76.
  8. QoLTech. Available at: http://www.qoltech.co.uk/acq.html. 
    Last accessed January 2017.
  9. Chanez P, et al. J Allergy Clin Immunol 2007;119:1337–48.
  10. Chung KF, et al. Eur Respir J 2014;43:343–73.
  11. de Andrade WCC, et al. BMC Pulm Med 2015;15:36.

最適な喘息コントロールのための患者目標の設定

喘息管理の目標達成

喘息の管理・治療目標に関して、日本のガイドライン[1]では以下のように記載されている。

端息の管理目標は、Ⅰ.症状のコントロール(発作や喘息症状がない状態を保つ)、Ⅱ.将来のリスク回避、の2点に集約される。
具体的には、気道炎症の原因となる危険因子を回避・除去して、薬物治療により気道炎症の抑制と十分な気道拡張(可能な限り正常に近い呼吸機能)を達成し、患者が健常人と変わらない日常生活を送ることができることを目指す。その結果、呼吸機能低下の抑制や喘息死からの回避も可能になると考えられる。治療は長期にわたることから治療薬の副作用発現の回避や吸入指導の継続が重要である。

▼喘息治療の目標

*:可能な限り呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)測定や喀痰好酸球検査で気道炎症を評価する

全般的な喘息管理の第1目標は、現時点でのコントロールを達成することである。これは、患者に認められる症状と発作治療薬の使用頻度に加え、喘息および呼吸機能により日常活動がどの程度制限されているかという点から規定される[2]。 
また、患者の長期的な喘息関連リスクを考慮することも重要である。これは、喘息がどの程度不安定か、そして悪化の可能性がどの程度あるかによって規定される。また、呼吸機能低下の予防および使用する薬剤の副作用も考慮事項となる
 [2]。 

このような考えから、海外のガイドライン(GINA)でも以下の通り日本のガイドラインとほぼ同様に記載されている。

▼全般的な喘息コントロールを得るために検討すべき因子

Bateman, et al. 2010.[2]

喘息管理の長期目標は、症状コントロール達成およびリスク削減である。その目的は、患者の負担を軽減すること、ならびに現在のコントロール不足により生じる増悪、気道損傷、および薬剤の副作用のリスクを削減することである。 

GINA 2018[3] and Reddel et al. 2009[4]

  1. 一般社団法人日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン2018」
  2. Bateman ED, et al. J Allergy Clin Immunol 2010;125:600–8.
  3. Global Initiative for Asthma (GINA). 2018 Global strategy for asthma management and prevention.
    Available at : http://ginasthma.org/2018-gina-report-global-strategy-for-asthma-management-and-prevention/
    Last accessed April 2018.
  4. Reddel HK, et al. Am J Respir Crit Care Med 2009;180:59–99.

重症喘息の治療選択肢

重症喘息を治療する

ガイドラインによると、重症喘息治療は軽症/中等症喘息と同じ吸入ステロイド薬(ICS)によって構成されるが、より高用量であり、多くの場合は長時間作用性β2刺激薬(LABA)と併用される。また、重症喘息コントロールを得る一助として経口ステロイド薬(OCS)も処方されることがある[1],[2]。患者によっては、免疫療法や非薬理学的介入などの治療が有益な場合もある。また、適切な患者には生物学的製剤を投与することもある[1],[2]

重症度に応じて喘息治療をステップアップする

治療ステップの選択
日本のガイドラインと海外のガイドライン(GINA)における違いはステップ分類の段階数である。GINAでは1-5の5段階、日本のガイドラインでは1-4の4段階となっている。概ねGINAのステップ1,2が日本のガイドラインの治療ステップ1に相当し、日本のガイドラインでは喘息死予防のために最も強度の弱いステップでも吸入ステロイドを推奨しているという特徴がある。

日本のガイドラインにおいて、未治療患者は、ガイドラインを解釈するで示したように症状を目安にして重症度を判定し、治療ステップを選択する。つまり、軽症間欠型相当の症状であれば治療ステップ1、軽症持続型相当の症状なら治療ステップ2、中等症持続型の症状であれば治療ステップ3、重症持続型の症状であれば治療ステップ4となる[3]

喘息治療ステップ

ICS: 吸入ステロイド薬、LABA: 長時間作用性β2刺激薬、LAMA: 長時間作用性抗コリン薬、 
LTRA: ロイコトリエン受容体拮抗薬、SABA: 短時間作用性β
2刺激薬
抗IL-5Rα抗体:抗IL-5受容体α鎖抗体

*1:抗アレルギー薬は、メディエーター遊離抑制薬、ヒスタミンH1拮抗薬、トロンボキサンA2阻害薬、Th2サイトカイン阻害薬を指す。
*2:通年性吸入アレルゲンに対して陽性かつ血清総IgE値が30~1,500 IU/mLの場合に適用となる。
*3:経口ステロイド薬は短期間の間欠的投与を原則とする。短期間の間欠投与でもコントロールが得られない場合は、必要最小量を維持量とする。
*4:軽度の発作までの対応を示し、それ以上の発作についてはガイドラインの「急性増悪(発作)への対応(成人)」の項を参照。
*5:ブデソニド/ホルモテロール配合剤で長期管理を行っている場合には、同剤を発作治療にも用いることができる。長期管理と発作治療を合せて1日8吸入までとするが、一時的に1日合計12吸入まで増量可能である。ただし、1日8吸入を超える場合は速やかに医療機関を受診するよう患者に説明する。
*6:チオトロピウム臭化物水和物のソフトミスト製剤。
*7:LABA, LTRAなどをICSに加えてもコントロール不良の場合に用いる。
*8:成人および12歳以上の小児に適応がある。
*9:対象は18歳以上の重症喘息患者であり、適応患者の選定は日本呼吸器学会専門医あるいは日本アレルギー学会専門医が行い、手技は日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医の指導の下で入院治療において行う。

以下の表は、各吸入ステロイド薬およびその配合剤の投与量の目安を示したものである[3]

▼各吸入ステロイド薬の投与用量の目安

BDP:ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、BIS:ブデソニド吸入懸濁液、BUD:ブデゾニド、CIC:シクレソニド、DPI:ドライパウダー定量吸入器、FF:フルチカゾンフランカルボン酸エステル、FP:フルチカゾンプロピオン酸エステル、HFA:代替フロンガス、MF:モメタゾンフランカルボン酸エステル

▼各吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤の投与用量の目安

FP:フルチカゾンプロピオン酸エステル、SM:サルメテロールキシナホ酸塩、BUD:ブデソニド、 
FM:ホルモテロールフマル酸塩水和物、FF:フルチカゾンフランカルボン酸エステル、 
VI:ビランテロールトリフェニル酢酸塩

: delivered doseで表記

【参考】 
GINAガイドラインでは、軽症/中等症喘息(ステップ1および2)の患者の大半は低用量ICSおよび必要に応じたSABAの使用によって治療すべきとしている。重症度がステップ3に上昇すると、低用量ICSにLABAを追加する必要がある場合がある。その他の選択肢には、ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)またはテオフィリンの追加治療が含まれる。また、SABAに加えて低用量ICS/ホルモテロールによる発作治療が必要となる場合もある
 [1]。 

ステップ4の患者には、中~高用量のICS/LABAによる維持療法が必要である。その他の管理薬の選択肢には、チオトロピウムや、LTRAまたはテオフィリンと併用した高用量ICSがある [1]。 

重症喘息患者に対する追加療法

高用量吸入ステロイド薬(ICS)を使用しても十分な喘息コントロールが得られない患者は、治療ステップ4に分類される[2]。この段階の患者には、追加治療を行うべきである[2]ステップ4の治療選択肢の例には、生物学的製剤のオマリズマブを用いた抗IgE療法がある[1],[2]。また、低用量経口ステロイドに加え、下記追加療法も、ステップ4の患者に対する維持治療の選択肢の1つとみなされている[1],[2]

▼重症喘息の推奨治療(ERS/ATS ガイドライン)

Adapted from Chung, et al. 2014.[1]

  1. Chung KF, et al. Eur Respir J 2014;43:343–73.
  2. Global Initiative for Asthma (GINA). 2018 Global strategy for asthma management and prevention.
    Available at : http://ginasthma.org/2018-gina-report-global-strategy-for-asthma-management-and-prevention/
    Last accessed April 2018.
  3. 一般社団法人日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン2018」

既存の治療法の課題

経口ステロイド薬

経口ステロイド薬(OCS)は重症喘息の維持治療の中心でありしばしば吸入ステロイド薬(ICS)に加えて使用される[1]。 
OCSは症状コントロールが不良、および/または吸入器の使い方および治療アドヒアランスが良好であるにも関わらず増悪が頻繁な成人の重症喘息患者に対してのみ推奨されている
[1]。維持療法としてのOCSの処方用量は、できるだけ低用量にすべきであり、定期的に再評価すべきである。

OCSの長期使用に対しては、患者にとっても医師にとっても懸念される点がある。副作用には以下が含まれる[2],[3]

  • 骨粗鬆症および骨折
  • 筋力低下
  • 白内障
  • 空腹感
  • 体重増加、場合により重大
  • 顔の変形(ムーンフェイス)
  • 気分変動/うつ病
  • 下肢の腫脹
  • 悪心
  • 睡眠困難

OCSに対するアドヒアランスが良好でも、一部の重症喘息患者はコントロールが不良なままである。そうした患者は、多くの場合、ステロイド依存性またはステロイド抵抗性と呼ばれる[4]。OCSは、重症喘息増悪の治療にも用いられる[4]。 

一部の患者では、骨粗鬆症の治療薬など、副作用に対処するための薬剤を追加する必要がある。さらに、経口ステロイド抵抗性が発現し、同じ有効性を得るため高用量が必要になる可能性もある [4]。有害事象のリスクはOCSの用量と関連している[2]。 

患者からは、臓器に悪影響を与える可能性や、耐性および副作用の発現などの理由から、OCSの長期使用について危惧する報告がある [3]

継続的な経口ステロイド薬(OCS)の使用、そして恐らくOCSほどではないが高用量吸入ステロイド薬(ICS)の使用を行う場合にも、体重、血圧、血糖値、視力、および骨密度の慎重なモニタリングを同時に行うべきである。 

Chung et al. 2014[4]

これらの推奨事項は、OCS(特に高用量)の長期使用の安全性に関する懸念に基づいている。ステロイド使用に伴う副作用には、骨折、白内障、糖尿病、心筋梗塞、消化性潰瘍、脳卒中、睡眠障害、副腎抑制、および高血圧が含まれる[2],[5-8]。OCSの長期使用が骨密度および骨折に及ぼす影響を始め、これらの懸念を裏付ける多数のエビデンスが存在する[2],[5-8]

肺疾患患者367例および対応する対照群734例を対象とした英国を中心に行われた試験では、経口ステロイド薬(OCS)の投与を受けていた患者は対照と比較して、脊椎骨折する可能性が10倍、股関節骨折する可能性が6倍であった。また、これらの患者は白内障になる可能性が対照群の2倍を超えていた。 

副作用の発現率は用量依存的であったが、低用量の経口ステロイド維持療法でも有害作用が観察された。 

Walsh et al. 2001[2]

生物学的製剤

生物学的製剤は、特定のバイオマーカーに反応する重症喘息患者において有効性を示す可能性が高い[1],[4]

治療カテゴリーとしての生物製剤に関する詳しい情報については、 こちらから入手してください。 

重症喘息における生物製剤の具体的な使用について詳しく知りたい方は、 こちらをクリックしてください。

  1. Global Initiative for Asthma (GINA). 2018 Global strategy for asthma management and prevention.
    Available at : http://ginasthma.org/2018-gina-report-global-strategy-for-asthma-management-and-prevention/
    Last accessed April 2018.
  2. Walsh LJ, et al. Thorax 2001;56:279–84.
  3. Hyland, M.E., et al. (2015) Qual Life Res 24, 631–639.
  4. Chung KF, et al. Eur Respir J 2014;43:343–73.
  5. Sarnes E, et al. Clin Ther 2011;33:1413–32.
  6. Souverein PC, et al. Heart 2014;90:859–65.
  7. Walsh LJ, et al. Am J Respir Crit Care Med 2002;166:691–5.
  8. Wei L, et al. Ann Intern Med 2004;141:764–70.