このサイトで正しく動作させるためにはJavaScriptを有効にする必要があります。設定を変更していただくか異なるブラウザでアクセスしてください。

      

ここから先は外部サイトへ移動します

これからアクセスしようとしているウェブサイトの内容は、グラクソ・スミスクライン株式会社によって管理されているものではありません。その正確性、安全性、信頼性はグラクソ・スミスクライン株式会社が保証しているものではないことをご了承ください。

続ける

戻る

喘息が患者や社会に及ぼす影響

喘息は複雑で多様な疾患であり、その症状や重症度には大きな個人差が認められる[1]。特に重症喘息の場合には、患者の生活の質、地域社会、医療システムに対して喘息が及ぼし得る真の影響を知り、理解することが治療の最適化と予後の改善に必要である。利用可能な最良の治療を患者に提供するために、喘息について継続的に学んでいくことが重要である。

  1. Global Initiative for Asthma (GINA). 2018 Global strategy for asthma management and prevention.
    Available at : http://ginasthma.org/2018-gina-report-global-strategy-for-asthma-management-and-prevention/
    Last accessed April 2018.

重症喘息の定義

喘息は変動の大きい疾患であり、患者の生活の質に重大な影響を及ぼす可能性がある[1],[2]。その臨床特性には個人差があり、年齢、併存症のパターン、誘発因子(トリガー)、重症度など、多数の因子によって変化する[3]

重症喘息患者では多くの軽度または中等度の喘息症状は強く持続的に発現し[4]、高用量の喘息治療薬を投与しているにも関わらず増悪のリスクが残る[3],[5]

重症喘息とは?

日本のガイドラインでは難治性喘息/重症喘息は以下のように記載されている。 
難治性喘息とは、「コントロールに高用量吸入ステロイド薬および長時間作用性 β
2刺激薬、加えてロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン徐放製剤、長時間作用性抗コリン薬、経口ステロイド薬、IgEやIL-5を標的とした生物学的製剤の投与を要する喘息、またはこれらの治療でもコントロール不能な喘息」を指す。なお、難治性喘息は一般的に重症喘息とも呼ばれる[6]

比較的軽症な喘息に比べ、重症喘息は患者の生活に大きな影響を及ぼす[1]。多くの重症喘息患者に共通する特性は、喘息によって患者のライフスタイルが大きく制限されているということである。患者は、特定の活動、特に大気汚染やアレルゲンにさらされる恐れのある屋外での活動や、身体を動かす必要のある活動などに参加できない場合がある[1],[2]。また、喘息によって能力が制限される場合は、定職に就くのが難しいこともある[1],[3]。 
また、旅行は医療を受けられる場所から離れることになるために、ためらう患者もいる。さらに、喘息の再燃、発作、増悪はいつでも起こり得るため、これは患者にとって重要なことである
 [2]。 

最新の GINAが重症喘息をどのように定義しているかを確認する

QOLに与える影響

重症喘息患者の生活は、その時の体調に大きく影響される。特に喘息の増悪が頻繁に生じる患者では、健康関連の生活の質が著しく低下する[1],[7]。このような患者は、特に経口コルチコステロイド(OCS)療法が必要な場合に、気分の落ち込み、怒りっぽさ、不安を経験しやすい[2]。 

喘息の増悪は重症度を評価する上で重要性が高いと考えられている
[3],[5]。喘息の重症度と喘息の増悪の頻度は、喘息関連の生活の質の低下と有意に関連している[8]。喘息の誘発因子(トリガー)を回避することは、重症または難治性喘息患者における増悪頻度の低下と喘息関連の生活の質の改善につながる可能性がある[8]。 

多くの重症喘息患者は喘息に対して不安を持ちながら生活している
[2]。これらの患者は薬物療法によって日常的な症状をコントロールできたとしても、常に重度の増悪が生じる可能性があることを知っている。心理的ストレスは、喘息の増悪の強力な予測因子である[8]。同様に、喘息の症状をコントロールできないことが心理ストレスを増大させるという報告もある[2]。 

薬の副作用も、患者の生活に影響する可能性がある
[9],[10]。例えば、副作用である骨粗鬆症による骨折は、経口ステロイド(OCS)を服用している患者における重大な懸念事項である[2],[9],[10]。経口ステロイド(OCS)に伴う肥満や生活を制限するその他の副作用(緑内障やステロイド糖尿病など)は、重症喘息と共に生きる患者の活動をさらに制限する可能性がある[2]

職業生活への影響

直接的なコスト(薬物治療、医師や病院にかかる費用など)だけでなく、仕事ができる程度が限られる可能性がある(間接的なコスト)ことからも、重症喘息は患者にとって経済的負担となる。喘息コントロールが低下するにつれ、仕事の能力は損なわれていくとされている[11]。服薬アドヒアランスが低いためコントロール不良となっている喘息患者は、増悪により入院を繰り返す場合がある[12]。また、体調が非常に悪く働けなくなる人もいる[2]

重症喘息のために欠勤する必要はなくても、生産性に影響を及ぼす可能性はある。米国で実施された2529例の喘息患者を対象とした研究において、重症患者は軽症または中等症の患者に比べ、仕事(28% vs 14%、p<0.0001、wilcoxonの順位和検定)、学校(32% vs 18%、p=0.0002、wilcoxonの順位和検定)、日常活動(41% vs 21%、p<0.0001、wilcoxonの順位和検定)において弊害を経験する可能性は2倍であった。

Chen et al. 2008[11]

  1. Siroux V, et al. Allergy 2008;63:547–54.
  2. Hyland ME, et al. Qual Life Res 2015;24:631–9.
  3. Global Initiative for Asthma (GINA). 2018 Global strategy for asthma management and prevention.
    Available at : http://ginasthma.org/2018-gina-report-global-strategy-for-asthma-management-and-prevention/
    Last accessed April 2018.
  4. Kumar RK, Jeffery PK. Pathology of Asthma. In: Adkinson NF, et al. (eds) Middleton’s Allergy: Principles and Practice. Saunders Elsevier, Philadelphia, PA, USA: 2014.
  5. Chung KF, et al. Eur Respir J 2014;43:343–73.
  6. 一般社団法人日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン2018」
  7. Lloyd A, et al. Prim Care Respir J 2007;16:22–7.
  8. Luskin AT, et al. J Allergy Clin Immunol Pract 2014;2:544–52.e2.
  9. Walsh LJ, et al. Thorax 2001;56:279–84.
  10. Walsh LJ, et al. Am J Respir Crit Care Med 2002;166:691–5.
  11. Chen H, et al. Value Health 2008;11:231–9.
  12. Suissa S, et al. Thorax 2002;57:880–4.

喘息による患者負担および地域社会の負担

喘息および重症喘息の問題

喘息は全世界の何千万もの人々の生活に影響を及ぼしており、推定2億3500万人が喘息に罹患している[1] 。 
世界全体で臨床的な喘息の有病率は4.3%と推定されており、年間約25万人の死亡原因となっている
 [2],[3]。 また、重症喘息患者は喘息患者集団全体の5~10%を占めている [4],[5]

日本における現在の喘息有症率

2003年(平成15年)に全国で実施された保健福祉動向調査では、喘鳴や呼吸困難感などの症状を「呼吸器アレルギー様症状」と定義し、これらの症状を有する者の数を調査対象全員の数で除した有症率を求めている。この調査結果では、小児で11~14%、成人(15歳以上)で6~10%の有症率となっている。一方、医師が実施した全国調査によると、近年の期間喘息有症率はISAACで小児9~14%(2005年)、8~14% (2008年)、ECRHSで成人9~10%と、前述の期間有症率の調査結果とほぼ同様の数値が報告されている。いずれの場合も小児では低年齢(乳幼児)、成人では高齢で、それぞれ有症率が高い傾向が認められている[6]

▼日本の気管支喘息有症率(全国調査)[6]

:呼吸器アレルギー様症状(喘鳴・呼吸困難感など)の有症率

  1. World Health Organization. Asthma. WHO Website. 
    Available at: http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs307/en/#. Updated 2013. 
    Last accessed August 2015
  2. World Health Organisation. (2007) Global surveillance, prevention and control of chronic respiratory diseases: A comprehensive approach. 1–155.
  3. To, T., et al. (2012) Global asthma prevalence in adults: findings from the cross-sectional world health survey. BMC Public Health, 12, 1–8.
  4. Moore, W.C., et al. (2007) Characterization of the severe asthma phenotype by the National Heart, Lung, and Blood Institute's Severe Asthma Research Program. J Allergy Clin Immunol, 119, 405–413.
  5. Chung, K.F., et al. (2014) International ERS/ATS guidelines on definition, evaluation and treatment of severe asthma. Eur Respir J, 43, 343–373.
  6. 一般社団法人日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン2018」

喘息による経済的負担

喘息の負担に関する研究の大半は、疾患の全国調査や大規模な行政データベースからデータを取得して負担の全体像を把握することができる先進国からのものである。国内および国家間でばらつきがあり、低・中所得国での状況は報告が少なく不明瞭である。喘息のコストは各地域特有ではあるものの、経済的に大きな負担であることに変わりは無い[1]

近年米国で実施された研究では、2007年における社会的な喘息の総費用は560億ドル、すなわち3,259ドル/人・年と推定されている(2009年時点の米ドル)[2]

近年実施されたカナダの研究では、コントロール良好な喘息に比べ、コントロール不良な喘息は、患者1人につき週184ドル(2012年時点のカナダドル)の生産性の喪失につながり、そのうち90%が疾病就業(presenteeism; 病気でも出勤すること)に起因するものであることが示された[3]

2011年に実施された欧州の研究では、15~64歳の欧州人における同年の喘息の総費用は193億ユーロと推定されている(2011年時点のユーロ)[4]

アジア太平洋地域(日本は含まれない)における別の研究では、人・年あたりの喘息の直接費用と間接費用の合計は、ベトナムの184ドルから香港の1,189ドルまで幅があった(2000年時点の米ドル)[5]

喘息治療の直接および間接費用

喘息治療の直接費用[6]と間接費用[6]は、いずれも疾患の重症度と共に上昇する[4],[7-9]。海外で実施された(日本は含まれない)研究では、重症喘息の直接費用は軽症喘息の約4倍[9]、間接費用は軽症喘息の6倍を超えている[7]と推定されている。

▼重症度と相関する喘息治療の直接および間接費用

目的:イタリアにおける成人喘息患者の喘息に対する直接/間接費用を推定し、喘息の重症度と医療施設の使用についてその関係性を評価すること
対象:イタリアの医療機関16施設における18-55歳の喘息患者500名
方法:自己記入式の質問票へ記載したデータの集計/解析
時期:データは1999年の5月1日から11月30日の間に収集

Adapted from Antonicelli, et al. 2004.[8]

喘息の増悪による患者負担

喘息の増悪は、特に入院につながる場合、治療費が高額になる。米国の研究によると、軽症喘息では費用全体に占める入院の割合が4%であったのに比べ、重症喘息では17%を占めていた[10]

ブラジルの重症喘息患者の例では、90.5%が少なくとも1回は喘息の増悪によって入院したことがあり、そのうち34%は過去1年間に1回以上入院していた [11]。同様に、欧州で行われた横断的研究では、重症喘息患者の39.5%では喘息による入院が過去1年間に1回以上認められた[12]

重症喘息の増悪による経済的負担

喘息のコントロール状態が悪化するにつれ、喘息による総合的な経済的負担は上昇する。これには、医師や病院の受診が必要であることを一因とする、就労時間や就学時間の喪失が含まれる[4],[13]

▼コントロール状態の悪化に伴って上昇する喘息による経済的負担 (24ヵ月にわたる米国患者の観察研究結果)

目的:コントロール不良およびコントロール良好な喘息患者における重症喘息や治療困難な喘息の経済負担の特徴を調べ比較すること
対象:The Epidemiology and Natural History of Asthmaに登録されている13歳以上の患者3916名
方法:ベースライン、12ヶ月、24ヶ月時の質問票(ATAQ)のデータと24ヶ月間の直接/間接費用を集計・解析
時期:2001年から2004年

この図は、観察期間終了後24ヵ月時点の喘息に関連する年間費用をATAQスコア別に示している。ATAQは喘息コントロールを評価できる簡略な自己記入式ツールである。ゼロは喘息コントロールに問題がないことを表している。ATAQ群間で個別ならびに総合的な費用負担の有意な差が認められた(p≤0.0001、カイ2乗検定)

Sullivan, et al. 2007.[13]改変。

  1. Global Asthma Network. The Global Asthma Report, 2014. Available from: 
    http://www.globalasthmareport.org/resources/Global_Asthma_Report_2014.pdf 
    Accessed: September 2015.
  2. Barnet SBL, Nurmagambetov TA. J AllergyClin Immunol 2011;127:145–52.
  3. Sadatsafavi M, et al. Chest 2014;145:787–93.
  4. Accordini S, et al. Int Arch Allergy Immunol 2013;160:93–101.
  5. Lai CKW, et al. Eur Respir Rev 2006;15:24–29.
  6. Boccuzzi SJ. Indirect health care costs. In: Weintraub WS (ed) Cardiovascular Health Care Economics. 1st ed. Humana Press, NY, USA:2003. p63–79.
  7. Serra-Batlles, J., et al. (1998) Costs of asthma according to the degree of severity. Eur Respir J, 12, 1322–1326.
  8. Antonicelli, L., et al. (2004) Asthma severity and medical resource utilisation. Eur Respir J, 23, 723–729.
  9. Godard, P., et al. (2002) Costs of asthma are correlated with severity: a 1-yr prospective study. Eur Respir J, 19, 61–67.
  10. Cisternas, M.G., et al. (2003) A comprehensive study of the direct and indirect costs of adult asthma. J Allergy Clin Immunol, 111, 1212–1218.
  11. De Carvalho-Pinto, R.M., et al. (2012) Clinical characteristics and possible phenotypes of an adult severe asthma population. Respir Med, 106, 47–56.
  12. The ENFUMOSA cross-sectional European multicentre study of the clinical phenotype of chronic severe asthma. (2003) European Network for Understanding Mechanisms of Severe Asthma. Eur Respir J, 22, 470–477.
  13. Sullivan, S.D., et al. (2007) Extent, patterns, and burden of uncontrolled disease in severe or difficult-to-treat asthma. Allergy, 62, 126–133.

喘息関連死

重症喘息における死亡率

重症喘息患者は一般集団および重症度の低い喘息患者と比較して、疾病率および死亡率のリスクが高い[1]。これは疾患による要因だけでなく、長期にわたる経口ステロイド(OCS)の使用など重症喘息の治療に使用する薬物が関連していることも考えられる[1-3]。 

重症喘息とは?  こちらの定義をご覧ください。

▼日本人成人喘息の喘息死前の喘息重症度[4]

患者を平均2年間観察した研究で、死亡率は6.7人/100人・年(対応集団と比較した年齢および性別標準化死亡率比367%)であり、リスクは喘息の重症度と共に上昇した。

Omachi et al. 2008[1]

日本の厚労省の人口動態統計平成28年度

わが国の喘息死の動向を厚生労働省人口動態統計で見ると、人口10万対の喘息死亡率(総数)は近年減少を続けている。1975年頃からほぼ横這い状態で、1995年に一過性に増加したが、1997年からさらに減少し続けて、2016年に総数1.2と最低値になった。喘息死亡総数も1990年代までは年間6, 000人を上回っていたが、2016年には1, 454人にまで減少した[4]

▼喘息死亡者数の推移(全体)

喘息関連死の最も強力な予測因子の1つは、増悪による入院を含む喘息関連の入院であった[5]

2005年に発表されたメタアナリシスでは、入院歴もしくは集中治療室での受療歴がある場合、致死的喘息イベントまたは喘息死のオッズが有意に上昇することが示され、入院のオッズ比は2.62(95%CI:1.04~6.58、p=0.04)、集中治療室での受療のオッズ比は5.14(95%CI:1.91~13.86、p=0.001)であった。

pooled ORs(odds ratio) were derived using logarithmic transformation with inverse variance weighting
Alvarez et al. 2005
[5]

  1. Omachi, T.A., et al. (2008) Risk factors for death in adults with severe asthma. Ann Allergy Asthma Immunol, 101, 130–136.
  2. Walsh, L.J. et al. (2001) Adverse effects of oral corticosteroids in relation to dose in patients with lung disease. Thorax, 56, 279–84.
  3. Walsh, L.J., et al. (2002) The impact of oral corticosteroid use on bone mineral density and vertebral fracture. Am J Respir Crit Care Med, 166, 691–5.
  4. 一般社団法人日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン2018」
  5. Alvarez, G.G., et al. (2005) A systematic review of risk factors associated with near-fatal and fatal asthma. Can Respir J, 12, 265–270.

喘息の原因

喘息の定義

喘息は複雑な慢性進行性炎症性気道疾患である[1]。気道炎症には、好酸球、好中球、リンパ球、マスト細胞などの炎症細胞、加えて、気道上皮細胞、線維芽細胞、気道平滑筋細胞などの気道構成細胞、および種々の液性因子が関与する。自然に、あるいは治療により可逆性を示す気道狭窄は、気道炎症や気道過敏性亢進による。症状には呼吸困難、喘鳴、咳、胸部圧迫感および夜間覚醒などがあり、これらは持続することがある[1],[3]。持続する気道炎症は、気道傷害とそれに引き続く気道構造の変化(リモデリング)を惹起して非可逆性の気流制限をもたらす[4]。 

しかし近年、喘息は実際にさまざまな気道閉塞、気道過敏性、細胞性炎症といった共通の特徴的症状を伴う
[5]、複雑な異種臨床疾患[5-7]であることがいくつかの試験を通じて示されている。

気道炎症、損傷および損傷/修復プロセスは、喘息の発症機序の重要な要素である
[5]。以下の図で正常な気道と喘息患者の気道の違いを比較する。

▼喘息の病理

Adapted from Holgate, et al. 2013.[5]

喘息の発症

喘息の発症年齢、つまり小児期に始まったか成人期に始まったかは、アレルギー、肺好酸球および副鼻腔疾患の有無と関連性がある[3]。喘息は、さまざまな環境曝露と多数の基礎的な遺伝的素因の複雑な相互作用から生じることが徐々に明らかになってきている[3]。喘息の特性の多くは、胎児発生または誕生直後における環境曝露に伴って発生すると考えられている[5]。これらの曝露の結果は、呼吸器系および免疫系の発達段階や、多数の基礎的な遺伝的因子によって変わる可能性がある[5]

喘息がどのように発症するのかを見てみましょう

▼喘息の発症における遺伝的および環境的相互作用

図をクリックするとインタラクティブコンテンツが開きます

Holgate and Sly 2013,[5] Brusselle, et al. 2013,[8] Holtzman, et al.2014,[9]  Barnes 2012,[10] Kindt, et al. 2012,[11] Naik, et al. 2013,[12]Chung, et al. 2014,[13] Calamita and Potthast 2013,[14] Vijverberg, et al. 2013,[15] Davoine and Lacy, 2014,[16] Brusselle, et al. 2013.[17]改変。

喘息の発症には多数の細胞構成要素が関与しており、その多くが重複している。アレルゲンへの曝露は自然免疫細胞における炎症活動性を惹起する要因の一つである[5],[10]。この後、適応免疫系とのクロストークが起こり[5]、これにより喘息の病理学的特徴、つまりTh2サイトカイン応答、平滑筋の収縮および組織リモデリングが決まる[5],[10]。リモデリングは不可逆的なもので、複数の複雑なプロセスの下流で発生し、最終的には基底膜肥厚、平滑筋肥大、線維症、杯細胞過形成および気道内径の縮小が起こる[5],[10]。炎症反応の兆候は喘息の臨床早期に現れ、新たに診断された患者でも上皮内に存在する好酸球、マスト細胞およびマクロファージが増加している[18]

個々の患者において関与する経路に関わらず、気道炎症と損傷、ならびに一部の患者で発生するリモデリングが喘息の病態形成の極めて重要な要素である可能性が高いという一般的な合意がある [5],[10]

喘息および好酸球性炎症:喘息症状を誘発するメカニズム

喘息の炎症は、一般的に好酸球およびそれに関連するメディエーターの存在を特徴とする。これらは、喘息の病態形成の極めて重要な要素である、気道炎症、損傷、組織のリモデリングプロセスを引き起こす[5]。 

喘息患者の気道には特殊なタイプの炎症があり、それによって喘息患者以外の人より幅広い誘発因子(トリガー)に対して反応しやすくなる。喘息における特殊な気道炎症パターンは気道過敏性(AHR)と関連しており、気道過敏性(AHR)は気流制限の変動と相関している。喘息における炎症のパターンは、アレルギー性疾患に特徴的なものであり、鼻炎の鼻粘膜に見られる炎症細胞と同様の細胞が認められる [10]。 

こちらの図で詳細をご覧ください。

▼喘息の病態生理

図をクリックするとインタラクティブコンテンツが開きます

Adapted from Kumar, et al. 2014,[2] Chung, et al. 2014,[3] Holgate, et al. 2013,[5] Brusselle, et al. 2013,[8] Ghosh, et al. 2013,[9]Holtzman, et al. 2014,[9] Calamita, et al. 2013,[14] Naik, et al. 2013,[12] Vijverberg, et al. 2013,[15] Davoine, et al. 2014,[16] Barnes 2012,[10] Kindt, et al. 2012,[11] Chang, et al. 2013,[19] Scanlon and McKenzie 2012,[20] Rothenberg 1998.[21]

  1. Global Initiative for Asthma (GINA). 2018 Global strategy for asthma management and prevention.
    Available at : http://ginasthma.org/2018-gina-report-global-strategy-for-asthma-management-and-prevention/
    Last accessed April 2018.
  2. Kumar, R.K., Jeffery, P.K. (2014) Pathology of Asthma. In: Adkinson NF, et al. (eds) Middleton's Allergy Principles and Practice. Philadelphia, PA: Saunders Elsevier.
  3. Chung, K.F., et al. (2014) International ERS/ATS guidelines on definition, evaluation and treatment of severe asthma. Eur Respir J, 43, 343–373.
  4. 一般社団法人日本アレルギー学会「喘息予防・管理ガイドライン2018」
  5. Holgate, S.T. & Sly, P.D. (2013) Asthma Pathogenesis. In: Adkinson NF, et al. (eds) Middleton's Allergy: Principles and Practice. Philadelphia, PA: Saunders Elsevier.
  6. Wenzel, S. E. (2012) Asthma phenotypes: the evolution from clinical to molecular approaches. Nat Med, 18, 716–725.
  7. Walford, H.H. & Doherty, T.A. (2014) Diagnosis and management of eosinophilic asthma: a US perspective. J Asthma Allergy, 7, 53–65.
  8. Brusselle, G.G., et al. (2013) Eosinophils in the spotlight: Eosinophilic airway inflammation in nonallergic asthma. Nat Med, 19, 977–979.
  9. Holtzman, M.J., et al. (2014) The role of airway epithelial cells and innate immune cells in chronic respiratory disease. Nat Rev Immunol, 14, 686–698.
  10. Barnes, P.J. (2012) Chapter 254: Asthma In: Longo DL, et al. (eds) Harrison's Principles of Internal Medicine. Available at: 
    http://accessmedicine.mhmedical.com Last accessed January 2017.
  11. Kindt TJ, et al. Kuby Immunology. 6th ed. W.H. Freeman and Company,Basingstoke, UK: 2012.
  12. Naik, S.R. & Wala, S.M. (2013) Inflammation, Allergy and Asthma, Complex Immune origin Diseases: Mechanisms and Therapeutic Agents. Recent Pat Inflamm Allergy Drug Discov, 7, 62–95.
  13. Chung KF, et al. Eur Respir J 2014;43:343–73.
  14. Calamita, Z. & Potthast, S.B. (2013) Immunotherapy in allergies: an update. Inflamm Allergy Drug Targets, 12, 12–18.
  15. Vijverberg, S.J., et al. (2013) Clinical utility of asthma biomarkers: from bench to bedside. Biologics, 7, 199–210.
  16. Davoine, F. & Lacy, P. (2014) Eosinophil cytokines, chemokines, and growth factors: emerging roles in immunity. Front Immunol, 5, 1–17.
  17. Brusselle GG, et al. Nat Med 2013;19:977–9.
  18. Laitinen LA, et al. Am Rev Respir Dis 1993;147:697–704.
  19. Chang Y-J, et al. J Leuk Biol 2013;94:933–40.
  20. Scanlon ST, McKenzie, ANJ. Curr Opin Immunol 2012;24:707–12.
  21. Rothenberg M. N Engl J Med 1998;338:1592–600.

重症喘息は比較的軽症の喘息とどう違うのか?

重症喘息では多くの軽度または中等度の喘息発作が増強される[1]。そして重症喘息患者では多くの場合、高用量の薬物治療を行っても症状が消失しない[2],[3]。 

重症喘息とは? こちらの定義をご覧ください。 

最新のガイドラインによる重症喘息の定義については、 こちらをご覧ください。 

喘息がより重症、慢性的になるにつれ、炎症およびリモデリングのプロセスが大きく関与するようになる [4],[5]。現在、喘息はさまざまなフェノタイプが存在する多様な呼吸器症候群と認識されるようになっており[3],[6],[7]、炎症の分類もこの事実を反映している。また、炎症の分類は疾患の重症度を示す可能性もある。例えば、喘息の重症度は好酸球と好中球が同時に存在することと関連することが知られており、複数の研究において、好酸球性炎症および/または好中球性炎症が気流制限を悪化させる要因となる可能性が示唆されている[3]。 

明確なフェノタイプがわかると、より良い治療選択肢を提供できる可能性があることから、フェノタイプによる喘息の分類は重症喘息において関心が高まっている [3]

喘息の病態生理

重症喘息は、その多様な臨床症状、生理学的特性、予後に証明されるように、単一の疾患ではないことが次第に明らかになってきている。この多様性をより良く理解するため、喘息のフェノタイプという概念が現れた[3]。 

フェノタイプとは、遺伝的要素と環境的影響の相互作用の結果として生じる、比較的安定してはいるが不変ではなく経時的に変化する可能性がある、生物の複合的かつ観察可能な特性と定義される [3]。 

最終的に、これらのフェノタイプは喘息のエンドタイプへと展開していく。エンドタイプとはメカニズムによって集約される臨床徴候の集合体である [3]

重症喘息のリスク因子

喘息リスク因子の多くは、重症喘息に対するリスク因子でもある。以下の表は、すべての重症度の喘息に対するリスク因子と、重症喘息のみに該当するリスク因子を示したものである。

重症喘息における増悪

喘息患者は、増悪が再発することがある[1]。喘息の増悪は、急性または亜急性に出現する息切れ、咳嗽、喘鳴および胸部絞扼感によって構成される。これらは重症喘息患者により多くみられ[11]、重症例ではチアノーゼや呼吸不全を引き起こす可能性がある[4]。また、喘息の増悪は喘息の重症度の評価項目として使用されている[3]

Adapted from Holgate, et al. 2013.[5]

欧州で実施された研究によると、重症喘息患者における増悪頻度(1.2例/患者・年)は軽症/中等症喘息患者(0.24例/患者・年)の5倍であった。

Kupczyk et al. 2014[11]

喘息の増悪の既往は、将来の増悪リスクの強力な予測因子である。例えば、米国で行われたTENOR試験の患者2780例からのデータについて前向き解析が実施された[12]。この解析では事前に2つの増悪の重症度が規定された:

1.救急外来の受診、入院、または死亡につながる重度の増悪
2.経口ステロイドの服用によって管理可能な増悪

最近重度の増悪があった患者は、増悪がなかった患者に比べ、将来重度の増悪を発現する可能性が6倍であった(OR=6.33、95%CI:4.57~8.76)[11]。最近、経口ステロイドの服用を要する増悪があった患者も、将来経口ステロイドの服用を要する増悪を発現する可能性が有意に高かった(P<0.0001、OR=3.91、95%CI:3.28~4.67)[12]

リモデリングと気道閉塞

重症喘息患者の気道上皮は、軽症~中等症喘息患者より肥厚している[3]。呼吸機能検査において、気道壁の厚さとFEV1に相関が認められることから、重症喘息における気道リモデリングに気道閉塞が寄与していることが示唆されている[8]。 
また、慢性の気道閉塞は、増悪と関連することが知られている気道の狭小化または末梢気道の不規則な換気につながる可能性もある
 [3]。 

併せると、気道閉塞は以下の組み合わせによって生じる可能性がある
 [5]

  • 気道平滑筋の収縮による気管支収縮
  • 炎症およびリモデリングに伴う気道壁の肥厚
  • 粘液(脱水により濃化している場合もある)の過剰分泌による内腔閉塞
  1. Kumar, R.K., Jeffery, P.K. (2014) Pathology of Asthma. In: Adkinson NF, et al. (eds) Middleton's Allergy Principles and Practice. Philadelphia, PA: Saunders Elsevier.
  2. Global Initiative for Asthma (GINA). 2018 Global strategy for asthma management and prevention.
    Available at : http://ginasthma.org/2018-gina-report-global-strategy-for-asthma-management-and-prevention/
    Last accessed April 2018. 
  3. Chung, K.F., et al. (2014) International ERS/ATS guidelines on definition, evaluation and treatment of severe asthma. Eur Respir J, 43, 343–373.
  4. Barnes, P.J. (2012) Chapter 254: Asthma in Harrison's Principles of Internal Medicine. 
    Available at: http://accessmedicine.mhmedical.com 
    Last accessed August 2015.
  5. Holgate, S.T. & Sly, P.D. (2013) Asthma Pathogenesis. Middleton's Allergy: Principles and Practice. Philadelphia, PA: Saunders Elsevier.
  6. Wenzel, S.E. (2012) Asthma phenotypes: the evolution from clinical to molecular approaches. Nat Med, 18, 716–725.
  7. Walford, H.H. & Doherty, T.A. (2014) Diagnosis and management of eosinophilic asthma: a US perspective. J Asthma Allergy, 7, 53–65.
  8. Jarjour, N.N., et al. (2012) Severe asthma: lessons learned from the National Heart, Lung, and Blood Institute Severe Asthma Research Program. Am J Respir Crit Care Med, 185, 356–362.
  9. Chanez, P., et al. (2007) Severe asthma in adults: what are the important questions? J Allergy Clin Immunol, 119, 1337–1348.
  10. Kozyrskyj, A.L., et al. (2010) Association Between Socioeconomic Status and the Development of Asthma: Analyses of Income Trajectories. Am Jour Pub Health, 100, 540–546.
  11. Kupczyk, M., et al. (2014) Frequent exacerbators--a distinct phenotype of severe asthma. Clin Exp Allergy, 44, 212–221.
  12. Miller, M.K., et al. (2007) Recent asthma exacerbations: a key predictor of future exacerbations. Respir Med, 101, 481–489.