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フェノタイプに応じた治療

喘息の治療は、従来の重症喘息の捉え方から、期待されているバイオマーカーに基づくフェノタイプ特異的な治療へと移りつつある。Inside Severe Asthmaでは、最新の情報をお伝えすることにより、これらの進歩が臨床治療においてどのような意義を持つか探索できるようにする。専門家による最新の文献やビデオ映像を通じて、こうした動きが重症喘息における将来の治療選択肢をどのように進歩させていくかを知ることができる。

重症喘息のフェノタイプ

重症喘息患者のフェノタイプの理解

疾患経過の違いに対応して喘息には様々なサブタイプが存在する[1]。フェノタイピングは軽度の喘息で実施することも可能だが、重症喘息およびコントロール不良喘息においてフェノタイピングは治療の最適化に役立つため優先的な実施が望まれる[1]。フェノタイプに基づくことで、疾患の根本原因に合わせた治療が実施可能となる[1]

重症喘息のフェノタイプを決定するには、さまざまな因子の検討と評価が必要となる[1]。これらの因子にはバイオマーカー、病歴、症状並びに併存疾患などが含まれる[1]

▼現在の臨床治療における重症喘息フェノタイプの定義および区別

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原稿はこちら

喘息のフェノタイピングは重要だと思います。かつては喘息患者に対し、画一的な治療概念を用いてきました。これは、軽症や中等症の喘息患者には有効だったかもしれません。しかし、持続的な症状や気道の制限に加え、根底に持続的な炎症もある重症喘息患者には効果がありませんでした。現在は根底にある炎症を標的とする新しい治療法があります。 

同感です。以前、画一的な対応をしていた主な理由は他に選択肢がなかったためです。 
患者を特定する手段がなく他の治療薬もありませんでした。現在はバイオマーカーと呼ばれる新たな手段で特定の患者集団を同定できます。この特定集団、すなわち“フェノタイプ”に対して最適な治療を選択できるようになっています。 

そして、これが非常に役立つ点は、患者に具体的な説明ができることです。 
問題点やこれから行おうとしていることについて明確な治療計画を基に伝えられるようになりました。また管理計画の内容や状態のモニタリング方法を同じ分野の医師たちと伝え合う手段もできました。学会で研究について論じる際も、特定のバイオマーカーが認められる集団の中の特定の患者について話し合えます。それもフェノタイピングのおかげです。 

私たちは基本的にこの20年間、どの患者の治療にも同じ管理薬を使用し喘息の重症度に応じて用量を増減するだけでした。しかし最も重症な患者の選択肢は少なかったのです。現在はそうした患者について、より的確なフェノタイピングを行い、そのフェノタイプに応じて異なる治療アプローチを取ることが可能です。そうすることで患者の予後の改善につながることが期待できます。

▼重症喘息のフェノタイピングを特定する意義は?

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重症喘息のフェノタイピングは重要です。90%の患者に適合する優れた標準治療があるものの、残りの10%の患者は現行の治療法ではうまく治療できません。うまく治療できない患者には 依然として症状や増悪、気流の制限があります。従ってこれらの患者についてフェノタイプを特定する努力が必要です。例えば根底にある気道の炎症を評価するバイオマーカーを用いるのです。 
それにより、アレルギーや好酸球性炎症を見つけることができ、根底にある炎症を治療することができるでしょう。

フェノタイプとは?

すべての喘息が同じではないということが、次第に明らかになってきている。そこで、不均一である喘息の特徴から、重症喘息において明確な特徴を持ったフェノタイプが存在するといった概念が生まれた [2],[3]。 

フェノタイプとは、以下のように定義される:

フェノタイプの定義は「ある生物のもつ遺伝子型が形質として表現されたもの」であり、比較的安定だが不変ではなく時間の経過と共に変化する可能性がある、遺伝的体質と環境的影響の相互作用の結果として生じる生物の複合的かつ観察可能な特性[2]のことを示す。

重症喘息におけるフェノタイプの概念は広く受け入れられるようになってきており、現在では多くの医師が喘息のフェノタイピングは将来の疾患予防や治療のカギとなると考えている[4]。 

フェノタイピングは、外見上観察または測定することのできる形態学的、機能的および患者の特徴などの生物学的特徴と臨床的特徴を組み合わせて行う
[2],[3]。フェノタイプは必ずしも疾患の根底にある機序と関連しているとは限らないが、臨床的に識別可能な患者集団を浮かび上がらせることができ、疾患の根底にある分子プロセスを特定する根拠となる。これはエンドタイピングと呼ばれ、疾患の背後にある明確な機能的または病態生物学的機序を特定することを指す[5]。重症喘息におけるフェノタイピングの最終目標は、究極的にはエンドタイプを特定することであり、したがって疾患の根底にある特定の根本原因を標的とすることにより治療を改善することである[2]

確立されている重症喘息フェノタイプ

歴史的に、喘息は通常非アレルギー性とアレルギー性のフェノタイプ(非アトピー性とアトピー性とも呼ばれる)に分けられてきた[2],[6],[7]

▼歴史的な喘息フェノタイプの比較

歴史的な喘息フェノタイプの比較

近年、さらなる重症喘息のフェノタイプが特定されている。現在、高IgE値を特徴とする重症アレルギー性喘息や、血中好酸球数の上昇を特徴とする好酸球性炎症を伴う重症喘息について、有力なエビデンスがある[1–4],[6,7],[10]。また、好中球性炎症に関連したもの、肥満や年齢などの身体的特性に関連したものなど、様々な重症喘息フェノタイプも見つかっている[1]。 


フェノタイピングは、複数のアプローチ方法を通じて行われてきた。さまざまな解析により、臨床特性、喘息関連因子または喘息誘発因子、および病態生物学的特性が複合的に調査された結果、以前に考えられていたより多くのフェノタイプが存在することがわかってきている
 [3]

重症喘息フェノタイプに関する現在の知識

重症喘息のフェノタイプに関する現在の知識は、仮説に基づくアプローチや基づかないアプローチによって明らかにされた、遺伝学、生物学、および臨床特性を統合することによって得られたものである[2],[3]。現在、重症喘息のフェノタイプについてさらに詳しく理解するため、いくつかの大規模研究が行われている:

呼吸器疾患の予後予測における偏りのないバイオマーカー(Unbiased Biomarkers in Prediction of Respiratory Disease Outcomes:U-BIOPRED)については、こちらをご覧ください。

フェノタイプについて、さらにはエンドタイプについて理解を深めていくためには、遺伝学的、生物学的、および臨床的データを継続的に統合していく必要があり、それが最終的にフェノタイプ特異的な分子標的療法の開発へとつながるはずである[2],[3]

  1. Wenzel SE. Nat Med 2012;18:716–25.
  2. Chung KF, et al. Eur Respir J 2014;43:343–73.
  3. Wenzel S. Clin Exp Allergy 2012;42:650–8.
  4. Holgate ST, Sly PD.Asthma Pathogenesis. In: Adkinson NF, et al. (eds) Middleton's Allergy: Principles and Practice.Saunders Elsevier, Philadelphia, PA, USA: 2014.
  5. Fahy JV. Nat Rev Immunol 2015;15:57–65.
  6. Peters SP. J Allergy Clin Immunol 2014;2:650–2.
  7. Hekking PPW, Bel EH. J Allergy Clin Immunol Pract 2014;2:671–80.
  8. Kumar RK, Jeffery PK.Pathology of Asthma. In: Adkinson NF, et al. (eds) Middleton's Allergy: Principles and Practice.Saunders Elsevier, Philadelphia, PA, USA: 2014.
  9. Barnes PJ.Chapter 254: Asthma .In: Longo DL, et al. (eds) Harrison's Principles of Internal Medicine. 
    Available at: http://accessmedicine.mhmedical.com/14. 
    Last accessed August 2015.
  10. Global Initiative for Asthma (GINA). 2018 Global strategy for asthma management and prevention.
    Available at : http://ginasthma.org/2018-gina-report-global-strategy-for-asthma-management-and-prevention/
    Last accessed April 2018.

重症喘息においてなぜフェノタイピングを行うのか

なぜフェノタイピングを行うのか?

フェノタイピング

喘息のフェノタイピングは進展しつつある研究分野の1つであり、各フェノタイプの定義についての一般的合意はまだされていない。フェノタイピングに関する大規模研究は、明確に特徴付けされた患者コホートにおける疾患の分子的および遺伝学的側面に焦点を当ててデザインされている[1-6]。これらの試験結果が示すように、観察可能な特徴に基づく患者のフェノタイピングは、臨床的特徴を特定可能である根底の発症機序と組み合わせるエンドタイピングに繋げることができる[5]。 

最終的に、患者のフェノタイピングの発展は、重症喘息に対してバイオマーカーに基づく標的個別化治療が可能となるため、治療の最適化につながる
 [5],[7]

▼重症喘息診断の注意点

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喘息の診断を確定することはもちろん、重症喘息であることも確定する必要があります。 
つまり治療を受けていても、症状や炎症マーカーが持続的に認められる状態です。 
診断の確定には多くの場合古いカルテや過去の検査結果の確認が必要です。診断が確定したら、症状のタイプや疾患の経過、実施した検査の結果を検討し、それらをバイオマーカーの結果と結び付け、フェノタイプの特定につなげます。

▼治療のためにバイオマーカーを用いてフェノタイプを特定する

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バイオマーカーを同定できればそれを用いて患者を異なるグループに分類することができます。このようなグループが“フェノタイプ”です。 
各フェノタイプは それぞれ異なる特徴があります。例えば、喘息で最も一般的に用いられているフェノタイプは、“アレルギー性喘息”、“非アレルギー性喘息”、“好酸球性喘息”、“非好酸球性喘息”です。 
フェノタイプごとに異なる治療ができます。

▼どのような重症喘息フェノタイプが特定されているか?

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現在重症喘息患者のフェノタイプはいくつか定義されています。中でも、最も重要なのはアレルギー性喘息と好酸球性フェノタイプです。アレルギー性喘息にはTh2プロファイルと呼ばれるものがあります。
これは、喀痰中好酸球増加とFeNO値上昇とペリオスチン高値が認められるという意味です。
それに対し好酸球性喘息患者では、末梢血における血中好酸球の濃度上昇が認められます。

  1. ClinicalTrials.gov. NCT01589198. 
    Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01589198. 
    Last accessed October 2016.
  2. ClinicalTrials.gov. NCT01761058. 
    Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01761058. 
    Last accessed October 2016.
  3. ClinicalTrials.gov. NCT02075151. 
    Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02075151. 
    Last accessed October 2016.
  4. ClinicalTrials.gov. NCT02103348. 
    Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02103348. 
    Last accessed October 2016.
  5. Chung KF, et al. Eur Respir J 2014;43:343–73.
  6. Wenzel S. Clin Exp Allergy 2012;42:650–8.
  7. Wenzel SE. Nat Med 2012;18:716–25.

フェノタイピングによる分類

現在の喘息におけるフェノタイプの分類および研究の課題

重症喘息において、フェノタイピングには一般的に2つのアプローチが取られてきた[1]

  1. 被験者の臨床特性に基づく既存のフェノタイプの定義
  2. 喀痰または気管支鏡検査の検体における病理学的な違い

これらのアプローチは、いずれも「クラスター解析」と呼ばれる方法を通じて重症喘息フェノタイプをさらに明確化するために用いられてきた[2]

クラスター解析とは?

クラスター解析は、1つの集団内における多数の個体間の類似性を測定し、その類似性に従って個体をグループ分けする手法である[3]。 

クラスター解析により、環境曝露、症状/臨床特性、およびバイオマーカーに関連する多数の喘息フェノタイプが特定されてきた [3]。 

以下の図は、発症年齢と炎症経路に基づく現在の喘息フェノタイプを理論的に要約したものである。一部のフェノタイプは重複しているが、発症年齢、アレルギー性/非アレルギー性(またはアトピー性/非アトピー性)、および好酸球性/非好酸球性などの特定のフェノタイプが一般的に認められる傾向がある [3-5]

▼喘息フェノタイプの理論的分類

喘息フェノタイプの理論的分類

Adapted from Hekking and Bel, 2014.[3]

喘息のフェノタイプの分け方は似たアプローチがいくつかあるものの決定的なものはない[3-5]。近年公表されている研究では、特定されたフェノタイプに関して、患者背景や統計方法の違いに起因するであろう相違/類似性を報告している[5]。クラスター解析は本質的にバイアスを含むものである。これは、被験者群ごとに変数が選択されてしまうこと、試験集団が包括的な試験基準に基づき募集される被験者に限定されることによるものである。例えば、ある研究では典型的な肺機能検査の値が含まれず、また別の研究では炎症マーカーの値が含まれない[3],[5]。しかしながらこれらの違いは喘息には様々な病態がある疾患であることを支持しており、クラスター間の病態生理学的な違いの存在はエンドタイピングへの進展の必要性を示唆している[3-6]

以下の研究は喘息のフェノタイプをクラスター解析している例である。

喘息のフェノタイプ分類の最初の研究[2]

Haldar P, et al. Am J Respir Crit Care Med 2008;178:218–24[2]

  • この研究は喘息のフェノタイプを区別するためにクラスター解析をした初めての研究である。この研究は重症/難治性喘息において症状と気道炎症の状態が一致しない場合があることを示した。
  • この研究では、3つの別々の喘息患者群のデータを比較解析した:そのうちの2つはプライマリケアで管理されている主に軽症~中等症の喘息患者(n=184)と、専門医が管理している難治性喘息の患者(n=187)である。
  • この研究では、プライマリケアで管理されている喘息患者群/専門医が管理している喘息患者群の両群に共通する、以下の2つのクラスターを同定した。
    • 早期発症 アレルギー性:症状及び好酸球性の気道炎症が一致している;臨床的アドヒアランスが低い。
    • 肥満 非好酸球性:後期発症、女性に多く、症状発現頻度が高い(好酸球性炎症を伴わない)。ボディマス指数(BMI)高値、ステロイド薬耐性が認められる。

3つ目のデータは前向き臨床研究から得られた難治性喘息を主とする患者群(n=68)である。データは好酸球性炎症の状態を指標に治療のアウトカムのために解析された 。得られたクラスターは専門医が管理している患者群と類似していた。 

難治性喘息の患者は炎症レベルは低いが症状レベルの高い群、または症状レベルは低いが炎症プロファイルの高い患者群のどちらかである傾向が認められた。これらのグループは、症状と気道の炎症が一致しておりプライマリケアで良好に管理されているような群に比べて、治療が困難であった。 

文献を入手するには こちらから

Severe Asthma Research Programme(SARP)[1]

Moore WC, et al. Am J Respir Crit Care Med 2010;181:315–23

SARPグループは12歳以上の非喫煙者でATSが定めた重症喘息の定義に合致する726例を対象に解析した。結果として、独立する5つのフェノタイプが特定された。全てのクラスターは重症喘息患者を含み、喘息が多様性のある疾患であることを支持していた。 

患者は5つの臨床的な指標(肺機能、発症時期及び罹病期間、性別、短時間作用性β
2刺激薬(SABA)使用、吸入ステロイド(ICS)/経口ステロイド(OCS)の使用)を変数として解析された。結果として得られたクラスターは以下の通り

クラスター1:軽症アレルギー性喘息:早期発症;アレルギー性;正常な肺機能;2剤以下の管理薬使用;医療利用度が最小限;喀痰中の好酸球増加が最小限

クラスター2:軽症~中等症アレルギー性喘息:最も一般的なクラスター;早期発症;アレルギー性;1秒間努力呼気容量(FEV1)低下がみられるが、正常値まで回復;2剤未満の管理薬使用;医療利用度が低い;経口ステロイド薬(OCS)の必要頻度が低い;喀痰中の好酸球増加が最小限

クラスター3:より重症な成人・高齢発症喘息:高齢;超後期発症;BMI高値(肥満);アレルギー性が少ない;ある程度可逆性のある軽微なFEV1低下;高用量ICSを含む3剤以上の管理薬使用にも関わらず、OCSの必要頻度が高い;喀痰中の好酸球増加

クラスター4:重症変動型アレルギー性喘息:早期発症;アレルギー性;重度のFEV1低下があるが、極めて可逆性が高く正常値近くまで回復可能;症状発現頻度及びサルブタモール使用頻度が高い;「変動性」でOCSの必要頻度が高い;医療利用度が高い;喀痰中の好酸球増加

クラスター5:重症気流制限固定型喘息:高年齢;罹患期間が最も長い;アレルギー性が少ない;非可逆性で重度のFEV1低下(COPDと類似);OCS使用にも関わらず、症状発現頻度およびサルブタモール使用頻度が高い;医療利用度が高い;併存症;喀痰中の好酸球増加および好中球増加

クラスターはpre-FEV1及びpost-FEV1を指標として検証された。患者の80%は、気管支拡張薬の投与前後のFEV1および発症年齢のみによって正しいクラスターに割付けられた。これは喘息のフェノタイプにシンプルな方法がある可能性を示唆している。 

文献を入手するには こちらから

成人喘息の地域住民をベースにした研究(population-based study)[7]

Siroux V, et al. Eur Respir J 2011;38:310–7

この研究は成人喘息の地域ベースの疫学研究である。この研究の方法により、様々なフェノタイプの患者を組み入れることができ、クラスター解析がフェノタイプの特定に統計的手法が使用できることを支持した。特にこの研究の結果から、治療が喘息患者を分類する上で重要な要素であることを明らかにした。 

この研究は2つのヨーロッパの成人喘息患者集団をそれぞれ独立して解析された。クラスターは年齢、性別、前年の喘息症状、アレルギーの特徴、肺機能、気道過敏性、喘息治療によって分けられた。 

2つの集団において同様の結果が得られた。特に2つのフェノタイプが顕著であった。それは

  • 積極的に治療されている早期発症アレルギー性喘息:若齢、早期発症、アレルギー性、診察時において活動性疾患
  • 積極的に治療されている後期発症喘息:老齢、女性に多く、後期発症、診察時において活動性疾患、症状が強く、頻繁に増悪する

その他の2つのフェノタイプは消極的に治療している、または軽症、治療されていない喘息でアレルギー性及び発症年齢が異なっていた。 

文献を入手するには こちらから

アジア人の最初の喘息のクラスタリング[8]

Kim TB, et al. Eur Respir J 2013;41:1308–14.[8]

この解析はアジア人において初めて喘息のクラスタリングを行った研究である。同様な解析をした西欧人の結果と異なり、喘息の重症度とBMIやアレルギーに顕著な関係性は認められなかった。 

Kimらは2つの韓国人患者喘息集団を解析した。1つは症状が認められ、気管支拡張薬に反応するアレルギー性喘息(n=724)、もう1つはGINAに従って診断、治療を受けている集団(n=1,843)である。

患者はFEV
1、BMI、発症年齢、アレルギー、喫煙歴、増悪による通院・入院歴をもとにクラスタリングされた。
この解析によって4つのクラスターが特定された。

1.喫煙喘息:男性に多く、後期発症、医療機関の使用頻度が高く、比較的FEV1値が安定している;pack-yearが最も高かった集団であった。

2.重症閉塞性:アレルギー性が多く、医療機関の使用頻度が高く、FEV1が重度に制限、気管が高度に閉塞している

3.早期発症アレルギー性 : 最も大きなクラスター、若齢発症、アレルギーの程度が高く、喫煙量は少ない

4.後期発症軽症 : 最も肺機能が高く、後期発症

文献を入手するには こちらから

U-BIOPRED: Unbiased Biomarkers for the Prediction of Respiratory Disease outcomes[9]

Shaw DE, et al. Eur Respir J 2015;46:1308–21.[9]

U-BIOPRED研究はシステム生物学的な手法を用いて喘息の理解を促すことを目的としている。多施設共同の前向き研究で、重症喘息、軽症/中等症の喘息、健常人を組み入れている。

成人のデータを解析した結果、治療薬と気道炎症に関連が無い事が明らかになった。さらに、非喫煙者の方が喫煙者または過去喫煙者よりも平均発症年齢が高いにも関わらず、喫煙状態は必ずしも喘息の重症度や症状と関係するわけではない事が示された。 

患者はスクリーニング時に喘息の重症度と喫煙状態に従って分類され、非喫煙の健常人(n=611)と比較された。 

症状、生活の質、喘息コントロール、アレルギーと遺伝子型について12-24カ月間解析された。 

以下の特徴は事前に定義された成人喘息のグループと関連が認められた。

1.重症非喫煙:女性に多く、集中治療室(ICU)に入る頻度が他のグループより多く、BMI高値、鼻茸や胃食道逆流症(GERD)が顕著、粘液溶解薬の使用が少ない喘息

2.喫煙又は過去喫煙重症喘息:後期発症、BMI高値、鼻茸やGERDが顕著、短時間作用性β2刺激薬(SABA)や抗ヒスタミン薬の使用が少ない喘息

3.軽症/中等症非喫煙:アレルギーテスト陽性率が高く、低用量ICSでコントロール良好、集中治療室に入る頻度が低く、合併症の有症率が低い

文献を入手するには こちらから

Airway Disease Endotyping for Personalized Therapeutics (ADEPT) longitudinal profiling study[10]

ADEPTは軽度、中等度および重症と診断されている喘息患者に関して、臨床的特徴およびバイオマーカーを分子的特徴と関連付けること目的とした試験である[10]

北米および欧州にあるセンターから喘息コホート群(n=158)および非アトピーの健康対照群(n=30)を組み入れた。臨床的変数にはAsthma Control Questionnaire scores、肺機能測定、メタコリンへの気道過敏性などが含まれた。一定数の被験者の血中、誘発喀痰中、およびベースラインの気管支鏡検査検体中の複数のパラメータを用いて細胞プロファイルおよび分子的プロファイルを決定した。健康対照群はベースラインで評価し、喘息コホートのみを12ヶ月にわたって評価した[10]

詳細な試験デザインについては、ここをクリック。

ADEPT試験で得られた所見から154人の喘息患者で臨床的に定義された4つの集団に分類することができ、12ヶ月にわたり安定していた[11]

  1. コントロール良好で低炎症性のフェノタイプ:ステロイドでの治療は行わず、肺機能を維持
  2. ある程度コントロールされている2型ヘルパーT細胞(Th2)フェノタイプ:軽度の気道閉塞、重度の気道過敏性
  3. ある程度コントロールされている非Th2フェノタイプ:軽度の気道閉塞、肺活量の低下および好中球性炎症を有する気管支拡張薬の低可逆性
  4. コントロール不良の混合性炎症フェノタイプ:著しい気道閉塞および気管支拡張薬の可逆性

抄録の閲覧

  1. Moore WC, et al. Am J Respir Crit Care Med 2010;181:315–23.
  2. Haldar P, et al. Am J Respir Crit Care Med 2008;178:218–24.
  3. Xie M, Wenzel SE. Chin Med J (Engl) 2013;126:166–74.
  4. Hekking PPW, Bel EH. J Allergy Clin Immunol Pract 2014;2:671–80.
  5. Wenzel SE. Nat Med 2012;18:716–725.
  6. Chung KF, et al. Eur Respir J 2014;43:343–73
  7. Siroux V, et al. Eur Respir J 2011;38:310–7.
  8. Kim TB, et al. Eur Respir J 2013;41:1308–14.
  9. Shaw DE, et al. Eur Respir J 2015;46:1308–21.
  10. Silkoff PE, et al. Resp Research 2015;16:142–57.
  11. Loza MJ et al. Ann Am Thorac Soc 2016;13:S102–3.

フェノタイピングの臨床的意義

重症喘息のフェノタイピングや、その臨床治療における意義について取り上げた文献が増加している。
以下は、重症喘息専門家が推奨する文献のリストであり、重症喘息フェノタイプの臨床的意義に関する内容を提供する。

  • Green, R.H., et al. Asthma exacerbations and sputum eosinophil counts: a randomised controlled trial. Lancet 2002; 360: 1715–1721. 
    喀痰中の好酸球数を指標に治療方針を決定することで、喘息の増悪頻度を減少させることができたという報告 
    抄録を見る

以下は総説である。

  • Wenzel, S.E. Asthma phenotypes: the evolution from clinical to molecular approaches.Nat Med 2012; 18: 716–725. 
    抄録を見る
  • Fajit ML, Wenzel SE. Asthma phenotypes and the use of biologic medications in asthma and allergic disease: The next steps towards personalized care. J Allergy Clin Immunol 2015;135:299–310. 
    抄録を見る
  • Agache I, et al. The complex type 2 endotype in allergy and asthma: From laboratory to bedside. Curr Allergy Asthma Rep 2015;15:29. 
    抄録を見る
  • Bonsignore MR, et al. Advances in asthma pathophysiology: Stepping forward from the Maurizio Vignola experience. Eur Respir Rev 2015;24:30–39. 
    抄録を見る
  • Campo P, et al. Phenotypes and endotypes of uncontrolled severe asthma: New treatments. J Investig Allergol Clin Immunol 2013;23:76–88. 
    抄録を見る
  • de Nijs SB, et al. Adult-onset asthma: Is it really different? Eur Respir Rev 2013;22:44–52. 
    抄録を見る
  • Zedan MM, et al. Clinical asthma phenotyping: A trial for bridging gaps in asthma management. World J Clin Pediatr 2015;4:13–18. 
    抄録を見る

喘息フェノタイプを特定する方法

フェノタイプを特定する

重症喘息におけるさまざまなフェノタイプ

喘息の疾患経過の違いと合致するさまざまなサブタイプが存在する。重症喘息の適切な診断および管理には病歴評価、特異的検査および個人に合わせた治療が考慮されるべきである。近年、診断バイオマーカーおよび新しい個人に合わせた治療法の出現が強く影響し、重症喘息のサブタイプの分類である「フェノタイピング」に対する関心が高まっている[1]。このため治療に対し、より個別的なアプローチをとることが可能と考え得る。

例えば、重症アレルギー性喘息治療の適格患者は、血中免疫グロブリンE(IgE)値の上昇というバイオマーカーによって特定することができる[2]。このような患者は多くの場合、アレルギーと関連性のある早期発症喘息を呈する[1]。喘息は、血中または喀痰中の好酸球の存在に基づき、好酸球性または非好酸球性と定義できる[1]

患者が重症喘息と診断された後、既往歴を評価し、バイオマーカーを解析することがフェノタイプを特定することに役立つ可能性がある[1]

重症喘息のフェノタイプはすでに治療推奨においてある程度は認められているが、これらのフェノタイプのバイオマーカーの確立が課題である[3],[4]

疾患へ理解が進むにつれて、新しいフェノタイプが特定される可能性が高くなる[3]

 

13症例の患者情報からフェノタイプを考えてみましょう。

クイズ形式でご確認いただけます。

  1. Wenzel SE. Nat Med 2012;18:716–25.
  2. Omalizumab(Xolair). Summary of Product Characteristics, 2015.
  3. Chung KF, et al. Eur Respir J 2014;43:343-73.
  4. Global Initiative for Asthma (GINA). 2018 Global strategy for asthma management and prevention.
    Available at : http://ginasthma.org/2018-gina-report-global-strategy-for-asthma-management-and-prevention/
    Last accessed April 2018.

診断における検討事項

重症喘息フェノタイプを特定する際に考慮すべき因子

▼重症喘息の診断時にはどんなことを考慮すべきか?

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原稿はこちら

初めての患者を診察する時に、まず最初に考えなければならないことがあります。
それは、“その患者が本当に喘息か確認すること”です。診断に間違いがなければ、それ以外のことを検討し患者を分類できます。つまりバイオマーカーを使うのは診断後です。
まず正しい診断を下した後、バイオマーカーを特定して患者をいずれかのフェノタイプに分類します。その後、それぞれの患者に最も適した治療方法を決定します。
また、“併存症の有無”や、“患者が適切な用量の投薬を受けているか”、“薬剤の種類は適切か” 、“患者が吸入器を正しく使用しているか”、なども確認する必要があります。

▼重症喘息患者のフェノタイプ特定にバイオマーカーはどのように役立つのだろうか?

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喘息は複雑な症候群であり、症状に寄与する因子は多数あります。 
重症喘息患者が全員同じ問題を抱えているわけでもありません。 
何がうまくいかないのかを理解するよう努め、それを解決する適切な治療方法を選べるようにする必要があります。その過程では、既往歴を入念に聞き取りそれをバイオマーカーに結び付けることが重要です。

▼フェノタイピングにより重症喘息の治療はどのように変わっていくのだろうか?

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最近の文献[1]を見ると、特定の患者サブグループではこの追加治療により、実際に患者の生活が改善されることが示されているように思います。 
生活の質が高まり喘息コントロールが改善され喘息増悪が減っているからです。 
またフェノタイピングや標的治療も、恐らく最新のガイドライン作成に加えられることになると私は思います。

  1. Ortega HG et al:N Engl J Med 2014;371(13), 1198-1207
    利益相反:著者にグラクソ・スミスクラインの社員3名が含まれる。また、本試験に関わる費用はグラクソ・スミスクラインが負担した。 

重症喘息における標的治療のバイオマーカー

バイオマーカーを使用する利点

重症喘息のフェノタイプは、すでに推奨される治療ガイドラインにおいてある程度認知されているが、これらのフェノタイプのバイオマーカーは依然として研究段階にある[1],[2]

バイオマーカーとは?

バイオマーカーとは、正確かつ再現性よく測定できる、医学的指標のことである。バイオマーカーは、客観的かつ定量可能である。患者の経験や満足度と相関する場合もあるが、必ずしもそうとは限らない[3]

重症喘息のフェノタイプを構成する特性の大半は、どちらかと言うと非特異的な臨床因子や炎症因子であり、病態の根底にある病態生物学に関する報告は少ない[4]。今後研究が進み、バイオマーカーに基づく安全で効果的な重症喘息に対する治療アプローチが確立されることが望まれる[4]。 

現在探索されているバイオマーカーには、特異的免疫グロブリンE(IgE)および総IgE、喀痰炎症細胞解析、呼気凝縮液測定、ならびに一酸化窒素などがある
[4]。現在あるマーカーは、まだ臨床治療に実践できるほど十分な患者数/コホート数を対象とした試験や再現試験が行われていないため、実用的ではなく、フェノタイプに基づくアプローチを用いた試験も十分に行われていない[4]。(詳細については以下の表をご参照ください)。

▼重症喘息のフェノタイプの評価に用いられるバイオマーカーとは?

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臨床現場において、私のところではFeNO測定、血液分析、喀痰中好酸球数測定を行うことができます。でも、例えばペリオスチンは研究室でしか測定できないため、私たちは使用できません。喀痰中の好酸球数測定は、通常私たちのところでは子どもや治験や研究のみに限定して行います。時間がかかり、かなり高価なためです。私たちは通常患者が来院するたびにFeNOを測定し、血中好酸球数の測定も行います。

▼臨床診療におけるバイオマーカー

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まず、これらのバイオマーカーは正しい診断を下す助けとなります。次に、それぞれの患者に適した治療の決定や実践にも役立ちます。患者を分類し正しい診断を下せられれば、どのような治療アプローチを使用すればよいか適切な判断を下せます。

▼重症喘息のための確立されたバイオマーカーおよび可能性のあるバイオマーカー

重症喘息のための確立されたバイオマーカーおよび可能性のあるバイオマーカー

*喘息におけるペリオスチンの役割および臨床的意思決定での有用性を完全に判断するには、未だ知見が十分ではない[13]。EGPA:好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、FeNO:呼気中一酸化窒素濃度、ICS:吸入コルチコステロイド、IgE:免疫グロブリンE、IL:インターロイキン、Th2:2型ヘルパーT細胞。

  1. Chung KF, et al. Eur Respir J 2014;43:343–73.
  2. Global Initiative for Asthma (GINA). 2018 Global strategy for asthma management and prevention.
    Available at : http://ginasthma.org/2018-gina-report-global-strategy-for-asthma-management-and-prevention/
    Last accessed April 2018.
  3. Strimbu K and Tavel JA. Curr Opin HIV AIDS 2010; 5(6): 463–466.
  4. Wenzel S. Clinical & Experimental Allergy 2012; 42, 650–658.
  5. Gevorgyan A, Fokkens WJ. Primary Care Resp J 2013;22, 10–11.
  6. Szefler S, et al. J Allergy Clin Immunol 2012;129, S9–S23.
  7. ゾレア添付文書 2017年 3 月改訂(第10版)
  8. Oryszczyn MP, et al. Am J Respir Crit Care Med 2000;161:1241–6.
  9. Rothenberg ME. N Eng J Med 1998;338:1592–600.
  10. Hodgson D, et al. Thorax 2015;70:559–65.
  11. Wenzel SE. Nat Med 2012;18:716–25.
  12. Lang JE, Blake KV. Pharmgenomics Pers Med 2013;6:73–84.
  13. Izuhara K, et al. Am J Respir Crit Care Med 2015;193:949–56.