診断のための瞬目テスト
編集協力:医療法人社団済安堂井上眼科病院名誉院長 若倉雅登 先生
1. 問診 [1]
まず問診を行い、眼瞼痙攣の疑いがあるかどうかを確認します。次のうち、1つでも当てはまる場合は、眼瞼痙攣の疑いがあります。
- まばたきが多い
- 外に出ると、または屋内でもとてもまぶしい
- 目を開いていられない(目をつぶっていたい)
- 目が乾く、しょぼしょぼする、痛いなど、いつも目のことが気になる
- 人ごみで人やものにぶつかる、またはぶつかりそうになる
- 電柱や立木、停車中の車などにぶつかったことがある
- 太陽や風、階段の昇降が苦手で外出を控えるほどである
- 危険を感じるので、車や自転車の運転をしなくなった
- 手を使って目を開けなければならない時がある
- 片目をつぶってしまう
2. 瞬目テスト(誘発試験)[2]
眼瞼痙攣の重症例では、診察室でも開瞼を持続することができず、開瞼を試みても、眼輪筋やその周囲の筋が不随意に動きます。しかし、軽症、中等症の多くの患者さんにおいては、そのような異常がすぐには見いだせないことがあります。そうした軽症、中等症の患者さんは、随意瞬目をさせた場合に不随意瞬目が不規則に混入したり、眼周囲筋や顔面筋に不随意運動が混入することがあり、また円滑な開瞼ができないなど、眼瞼痙攣の症状が表面化することがあります。
眼瞼痙攣の診断に有用な瞬目テスト
- 速瞬テスト
軽くてできるだけ速い瞬目を連続して行うように促します。最低10秒間、可能であれば30秒程度持続させます。
眉毛部まで動くような強い瞬目のみですばやい瞬きができなかったり、瞬きの最中に他の顔面筋の不随意の運動がみられたり、顔面筋の強い攣縮発作がみられれば陽性と判定します。
- 軽瞬テスト
軽く歯切れのよい随意瞬目を促します。眼瞼痙攣患者においては、眉毛部も動く強い開閉瞼になったり、けいれん様の瞬目過多が生じたり、瞬目そのものが不能のことがあります。
- 強瞬テスト
眼瞼を強く閉じ、その後開瞼させます。この動作を反復させ、閉瞼後に瞼を開けることができなくなったり、開閉瞼時に眼周囲顔面筋の強い攣縮がみられれば陽性と判定します。

3. メトロノームを使った瞬目テスト
メトロノームの音に合わせて患者さんに瞬目してもらい、瞬目異常の有無を確認する方法でも、眼瞼痙攣の判定をすることができます。軽瞬は80回/分、速瞬は130~140回/分に設定し、音に合わせて10~30秒間、瞬目を促します。