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■試験概要 オムジャラ錠の用法及び用量外の症例を含む臨床成績ですが、承認時評価資料のため紹介します
多施設、国際共同、第Ⅲ相、無作為化、二重盲検、実薬対照試験
[目
的]
JAK阻害剤による治療歴のあるPMF(原発性骨髄線維症)、post PV-MF(真性多血症から移行した骨髄線維症)またはpost ET-MF(本態性血小板血症から移行した骨髄線維症)の患者を対象に、TSS(総症状スコア)の改善に基づき、オムジャラとダナゾール※1の有効性および安全性を評価する。
[対
象]
JAK阻害剤による治療歴があり、症状および貧血を有するMF(骨髄線維症)患者195例
〈主な選択基準〉
・18歳以上の患者
・PMF、post PV-MFまたはpost ET-MFの患者[WHO分類またはIWG-MRT(International WorkingGroup for Myelofibrosis Research and Treatment)基準に基づき診断]
・DIPSS(Dynamic International Prognostic Scoring System)またはDIPSS-plusリスク分類の高リスク、中間-2リスクまたは中間-1リスクの患者
・同種幹細胞移植を予定していない患者
・左肋骨縁下に触知可能な5cm以上または画像検査で脾臓容積が450cm3以上の脾腫を有する患者
・MFSAF v4.0でTSSが10以上の症候性の患者
・ヘモグロビン値が10g/dL未満の貧血を有する患者
・血小板数が25×109/L以上であり、血小板輸血の必要がない患者
・現在または過去に既承認のJAK阻害剤を90日間以上または28日間以上(8週間で4単位以上を要する赤血球輸血、もしくはグレード3または4の血小板減少症、貧血または血腫のためにJAK阻害剤の投与が困難な場合)投与された患者[試 験 方 法]
本試験は24週間の二重盲検無作為化期および最長180週間の非盲検拡大治療期で構成される。スクリーニング時にJAK阻害剤を投与されていた患者については投与量を漸減後、2週間以上のウォッシュアウト期間を設けた。二重盲検無作為化期においては、対象をオムジャラ群またはダナゾール群に2:1の割合で無作為割り付けした。無作為割り付けはベースラインのTSS(22未満、22以上)および左肋骨縁下の触知可能な脾臓長(12cm未満、12cm以上)、ならびにベースライン(無作為割り付け前8週間以内)の赤血球または全血の輸血量(0単位、1 ~4単位、5単位以上)および実施医療機関により層別化した。二重盲検無作為化期を完了した患者、ダナゾール群で脾臓増大のために早期に投与中止した患者またはその他の理由により早期に投与中止したが24週時までの規定評価を完了した患者は、希望により非盲検拡大治療期に移行できることとした。
非盲検拡大治療期では、二重盲検無作為化期にオムジャラ群であった患者はオムジャラの投与を継続した。ダナゾール群であった患者のうち、二重盲検無作為化期を完了した患者、ダナゾール投与を早期に中止したが24週時までの規定評価を完了した患者は24週の終了時からオムジャラ投与に切り替えることができた。脾臓増大のためにダナゾール投与を早期に中止した患者は24週の終了前にオムジャラ投与に切り替えることができた。オムジャラ投与に切り替えなかった患者は、非盲検拡大治療期においても48週時までダナゾールの投与を継続可能とした。
〈二重盲検無作為化期〉
オムジャラ群:オムジャラ200mgを1日1回経口投与、プラセボを1日2回経口投与した※2。
ダナゾール群:ダナゾール600mg(1日量)を1日2回経口投与、プラセボを1日1回経口投与した。
〈非盲検拡大治療期〉
オムジャラ/オムジャラ群: オムジャラ200mgを1日1回経口投与した。二重盲検無作為化期にオムジャラを減量した患者については、その投与量を継続した。
ダナゾール/オムジャラ群: オムジャラ200mgを1日1回経口投与した。二重盲検無作為化期にオムジャラのプラセボを減量した患者については、減量した用量でオムジャラを投与した。※1: 骨髄線維症に対して本邦未承認である。
※2:血小板数が減少した場合のオムジャラの休薬・減量・中止基準は電子添文参照。[評 価 項 目]
〈有効性〉
主要評価項目:
24週時のTSS(総症状スコア)※5改善割合[検証的な解析項目]
副次評価項目:
24週時のTI (輸血非依存)割合※6、24週時のSRR(ベースラインと比較して24週時に25%以上の脾臓容積の減少を達成した被験者の割合)、24週時のTSS(総症状スコア)※5のベースラインからの変化量、24週時のSRR(ベースラインと比較して24週時に35%以上の脾臓容積の減少を達成した被験者の割合)、二重盲検無作為化期で赤血球輸血量がゼロ単位であった患者の割合
その他の副次評価項目:
全生存期間、無白血病生存期間 等
〈安全性〉
有害事象、副作用、平均相対用量強度 等[解 析 計 画]
〈有効性〉
有効性の主要解析はITT(Intent-to-treat)集団(無作為割り付けされた全ての患者)を対象に実施した。
主要評価項目である24週時のTSS(総症状スコア)※5改善割合は層別CMH(Cochran Mantel-Haenszel)法を用いて、ダナゾール群に対するオムジャラ群の優越性を評価した。
24週時のTSS(総症状スコア)※5改善割合についてオムジャラ群の優越性が検証された場合、主な副次評価項目を以下の順で逐次検定し、第1種の過誤確率を制御した。1.
24週時のTI(輸血非依存)割合※6:層別CMH法を用いて非劣性の検定を実施した。非劣性の群間差を[オムジャラ群-0.8×ダナゾール群]として算出し、群間差の両側95%CIの下限が非劣性限界値の0より大きい場合に、オムジャラ群はダナゾール群に対して非劣性であると判断した。非劣性が認められた場合、優越性検定を行った。優越性の評価結果を問わず、非劣性が認められた場合、逐次検定を続けて行った。
2.
24週時のSRR(ベースラインと比較して24週時に25%以上の脾臓容積の減少を達成した被験者の割合):層別CMH法を用いて、群間差を評価した。
3.
24週時のTSS(総症状スコア)※5のベースラインからの変化量:MMRM(mixed model for repeated measures)を用いて、群間差を評価した。
4.
24週時のSRR(ベースラインと比較して24週時に35%以上の脾臓容積の減少を達成した被験者の割合):層別CMH法を用いて、群間差を評価した。
5.
二重盲検無作為化期で赤血球輸血量がゼロ単位であった患者の割合:層別CMH法を用いて、群間差を評価した。
24週時のTSS(総症状スコア)※5改善割合、TI( 輸血非依存)割合※6および24週時のSRR(ベースラインと比較して24週時に35%以上の脾臓容積の減少を達成した被験者の割合)についてはベースラインの血小板数別に事前に規定したサブグループ解析を実施した。
全生存期間および無白血病生存期間はKaplan-Meier法を用いて推定した。また、層別ログランク検定により群間比較を行い、層別Cox比例ハザードモデルによりHR(ハザード比)を推定した。
〈安全性〉
安全性の解析は安全性解析対象集団(ITT集団のうち、治験薬を1回以上投与された全ての患者)を対象に実施した。有害事象の概略は投与群別に患者数および割合で示した。相対用量強度は投与群別に1日投与量を各薬剤の最大1日投与量で除して(×100%)算出した。※3: ダナゾール群で脾臓増大のために早期に投与中止した患者またはその他の理由により早期に投与中止したが24週時までの規定評価を完了した患者
※4:二重盲検無作為化期を完了したダナゾール群の患者で、ダナゾールの継続投与を選択した患者はいなかった。
※5: MOMENTUM試験では、MFSAF v4.0を用いてTSSを評価した。本質問票は7項目の症状(疲労、早期膨満感、腹部不快感、盗汗、そう痒感、骨痛、左肋骨下痛)の程度を評価するものであり、各項目は想起時間を24時間として0(症状なし)から10(想像しうる最悪の状態)までの11段階の数値評価尺度で評価した。これらの7項目を合計してTSSとした。MFSAF評価はベースラインおよび二重盲検無作為化期において毎日実施することとした。
※6: 24週時の直前12週間(連続84日間)に赤血球輸血を受けず、かつヘモグロビン値が8g/dL以上だった患者の割合(臨床的に明らかな出血を除く) -
■ 有効性
24週時のTSS(総症状スコア)改善割合
ベースラインおよび24週時のTI (輸血非依存)割合
(3) 24週時のSRR【主な副次評価項目】
SRR:ベースラインと比較して24週時に25%以上の脾臓容積の減少を達成した被験者の割合24週時のSRRはオムジャラ群39.2%、ダナゾール群6.2%であった。両群間で有意な差が認められた[p<0.0001、層別CMH法]。
(4)24週時のTSS(総症状スコア)※のベースラインからの変化量【主な副次評価項目】
24週時のTSSのベースラインからの変化量(最小二乗平均値±標準誤差)はオムジャラ群-9.36±1.08、ダナゾール群-3.13
±1.62であった。両群間で有意な差が認められた[p=0.0014、MMRM]。24週時のTSS(総症状スコア)のベースラインからの変化量
(5) 24週時のSRR【主な副次評価項目】
SRR:ベースラインと比較して24週時に35%以上の脾臓容積の減少を達成した被験者の割合24週時のSRRはオムジャラ群22.3%、ダナゾール群3.1%であった。両群間で有意な差が認められた[p=0.0011、層別CMH法]。
(6)二重盲検無作為化期で赤血球輸血量がゼロ単位であった患者の割合【主な副次評価項目】
二重盲検無作為化期で赤血球輸血量がゼロ単位であった患者の割合はオムジャラ群35.4%、ダナゾール群16.9%であった。
両群間で有意な差が認められた[p=0.0012、層別CMH法]。二重盲検無作為化期で赤血球輸血量がゼロ単位であった患者の割合
(7)血小板減少症を有する集団における24週時の有効性[サブグループ解析]
ベースラインの血小板数が50×109/L未満、および50×109/L以上かつ150×109/L以下の集団における24週時のTSS(総症状スコア)改善割合、TI(輸血非依存)割合およびSRR(ベースラインと比較して24週時に35%以上の脾臓容積の減少を達成した被験者の割合)は以下のとおりであった。
(8)全生存期間【その他の副次評価項目】
全生存期間(中央値)はデータカットオフ(2022年12月29日)時点でオムジャラ群では624.0日であり、ダナゾール群では未到達であった(Kaplan-Meier法により推定)。ダナゾール群に対するオムジャラ群のHR(ハザード比)は0.890(95%CI:0.504, 1.572、層別Cox比例ハザードモデル)であった。
全生存期間
(9)無白血病生存期間【その他の副次評価項目】
無白血病生存期間(中央値)はデータカットオフ(2021年12月3日)時点でオムジャラ群およびダナゾール群いずれも未到達であった(Kaplan-Meier法により推定)。ダナゾール群に対するオムジャラ群のHRは0.650(95% CI:0.351, 1.206、層別Cox比例ハザードモデル)であった。
対象集団:ITT集団
層別因子: ベースラインのTSS(22未満、22以上)および左肋骨縁下の触知可能な脾臓長(12cm未満、12cm以上)、ならびにベースライン(無作為割り付け前8週間以内)の赤血球または全血の輸血量(0単位、1 ~4単位、5単位以上)]
無白血病生存期間: 治験薬の初回投与日(治験薬投与を受けなかった患者については無作為化日)から、白血病転化または原因によらず死亡した日までの期間
解析時に白血病転化または死亡が確認されていない患者は、最終疾患評価日を打ち切り日とした。 -
■ 安全性
(1)二重盲検無作為化期における安全性
二重盲検無作為化期において有害事象はオムジャラ群130例中122例(93.8%)、ダナゾール群65例中62例(95.4%)に認められた。重篤な有害事象は45例(34.6%)、ダナゾール群で26例(40.0%)に認められた。主な重篤な有害事象※はオムジャラ群では貧血5例(3.8%)、急性腎障害4例(3.1%)であった。また、ダナゾール群では肺炎6例(9.2%)、貧血および急性腎障害が各3例(4.6%)、急性骨髄性白血病への転化、全身健康状態悪化および脾臓梗塞が各2例(3.1%)であった。このうち、オムジャラ群の貧血1例、ダナゾール群の肺炎2例、急性腎障害1例は治験薬との因果関係が否定されなかった。投与中止に至った有害事象はオムジャラ群23例(17.7%)、ダナゾール群15例(23.1%)に報告された。死亡に至った有害事象はオムジャラ群16例(12.3%)、ダナゾール群11例(16.9%)であった。
副作用はオムジャラ群75例(57.7%)、ダナゾール群29例(44.6%)に認められた。主な副作用はオムジャラ群では血小板減少症23例(17.7%)、下痢16例(12.3%)、悪心12例(9.2%)、ALT増加7例(5.4%)であった。また、ダナゾール群ではALT増加5例(7.7%)、悪心および血小板減少症が各3例(4.6%)、下痢2例(3.1%)であった。重篤な副作用はオムジャラ群11例(8.5%)、ダナゾール群5例(7.7%)に報告された。
※:各群で3%以上に認められた重篤な有害事象二重盲検無作為化期における有害事象
(2)非盲検拡大治療期における安全性
非盲検拡大治療期において有害事象はオムジャラ/オムジャラ群93例中83例(89.2%)、ダナゾール/オムジャラ群41例中35例(85.4%)に認められた。重篤な有害事象はオムジャラ/オムジャラ群30例(32.3%)、ダナゾール/オムジャラ群12例(29.3%)に報告された。投与中止に至った有害事象はオムジャラ/オムジャラ群17例(18.3%)、ダナゾール/オムジャラ群5例(12.2%)に報告された。死亡に至った有害事象はオムジャラ/オムジャラ群10例(10.8%)、ダナゾール/オムジャラ群5例(12.2%)に報告された。
非盲検拡大治療期における重篤な有害事象
重篤な有害事象はオムジャラ/オムジャラ群93例中30例(32.3%)、ダナゾール/オムジャラ群41例中12例(29.3%)に報告された。主な重篤な有害事象※はオムジャラ/オムジャラ群ではCOVID-19肺炎4例(4.3%)、急性腎障害、尿路感染、発熱性好中球減少症および皮膚有棘細胞癌が各2例(2.2%)であった。また、ダナゾール/オムジャラ群では急性腎障害2例(4.9%)であった。
MedDRA Ver. 24.0/MedDRA J Ver. 24.0
対象集団:安全性解析対象集団
※:各群で2例以上に認められた重篤な有害事象非盲検拡大治療期における投与中止に至った有害事象
投与中止に至った有害事象はオムジャラ/オムジャラ群93例中17例(18.3%)、ダナゾール/オムジャラ群41例中5例(12.2%)に報告された。
主な投与中止に至った有害事象※はオムジャラ/オムジャラ群では貧血2例(2.2%)であった。このうち、1例は治験薬との因果関係が否定されなかった。MedDRA Ver. 24.0/MedDRA J Ver. 24.0
対象集団:安全性解析対象集団
※:各群で2例以上に認められた投与中止に至った有害事象非盲検拡大治療期における死亡に至った有害事象
死亡に至った有害事象はオムジャラ/オムジャラ群93例中10例(10.8%)、ダナゾール/オムジャラ群41例中5例(12.2%)に報告された。
死亡に至った有害事象はオムジャラ/オムジャラ群ではロタウイルス胃腸炎、ブドウ球菌性肺炎、貧血、脳出血、大腸菌感染、脾臓膿瘍、尿路性敗血症、不整脈、全身健康状態悪化、多臓器機能不全症候群が各1例(1.1%)であった。また、ダナゾール/オムジャラ群ではエンテロバクター性敗血症、腺癌、急性骨髄性白血病への転化、心停止、突然死が各1例(2.4%)であった。MedDRA Ver. 24.0/MedDRA J Ver. 24.0
対象集団:安全性解析対象集団