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■試験概要 オムジャラ錠の用法及び用量外の症例を含む臨床成績ですが、承認時評価資料のため紹介します
多施設、国際共同、第Ⅲ相、無作為化、二重盲検、実薬対照試験
[目
的]
JAK阻害剤による治療歴のないPMF(原発性骨髄線維症)、post PV-MF(真性多血症から移行した骨髄線維症)またはpost ET-MF(本態性血小板血症から移行した骨髄線維症)の患者を対象に、SRR(ベースラインと比較して24週時に35%以上の脾臓容積の減少を達成した被験者の割合)に基づき、オムジャラとルキソリチニブの有効性を比較評価する。
[対
象]
JAK阻害剤による治療歴のないMF(骨髄線維症)患者432例(日本人患者15例)
〈主な選択基準〉
・18歳以上の患者
・PMF、post PV-MFまたはpost ET-MFの患者[WHO分類またはIWG-MRT(International WorkingGroup for Myelofibrosis Research and Treatment)基準に基づき診断]
・PMFのIPSS(International Prognostic Scoring System)リスク分類における高リスクまたは中間-2リスクの患者、もしくは中間-1リスクで症候性の脾腫、肝腫大、貧血(ヘモグロビン値10g/dL未満)を伴う患者
・左肋骨縁下に5cm以上の触知可能な脾腫を有する患者
・治験薬初回投与前14日以内に得られた臨床検査値が所定の基準(7日前から血小板輸血またはトロンボポエチン模倣薬を投与しない状態で、血小板数が50×109/L以上※1、など)を満たす患者
〈主な除外基準〉
・脾臓摘出歴のある患者
・治験薬初回投与前の3ヵ月以内に脾臓に放射線照射を受けた患者
・同種骨髄移植および同種幹細胞移植が適応の患者
・コントロール不良の併発疾患または状態があり、治験要件の遵守が制限されると治験責任医師が判断 する
患者
・JAK1またはJAK2阻害剤による治療歴のある患者[試 験 方 法]
本試験は24週間の二重盲検無作為化期および最長216週間の非盲検拡大治療期で構成される。二重盲検無作為化期では、対象をオムジャラ群またはルキソリチニブ群に1:1の割合で無作為に割り付けした。無作為割り付けはベースラインの輸血依存(あり、なし)および血小板数(100×109/L未満、100×109/L以上かつ200×109/L以下、200×109/L超)により層別化した。二重盲検無作為化期を完了した患者は非盲検拡大治療期に移行した。非盲検拡大治療期では、二重盲検無作為化期にルキソリチニブ群であった患者はオムジャラ投与に切り替え、全ての患者にオムジャラを投与した。非盲検拡大治療期におけるルキソリチニブ投与は許容しなかった。
〈二重盲検無作為化期〉
オムジャラ群: オムジャラ200mgを1日1回経口投与、プラセボを1日2回経口投与した。なお、オムジャラと関連のある血小板減少症により中断および/または150mgもしくは100mgの順に減量を可能とした※2。
ルキソリチニブ群:ルキソリチニブをスクリーニング時の臨床検査値により決定した投与量(5~20mg)で1日2回経口投与※3、プラセボを1日1回経口投与した。なお、ルキソリチニブと関連のある血小板減少症により中断および/または減量を可能とした。
〈非盲検拡大治療期〉
オムジャラ/オムジャラ群: 二重盲検無作為化期にオムジャラを減量した患者については、その投与量を継続した。
ルキソリチニブ/オムジャラ群: 二重盲検無作為化期にオムジャラのプラセボを減量した患者については、減量した用量でオムジャラを投与した。※1: AST/SGOT(血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)またはALT/SGPT(血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)が基準値上限の2倍以上の場合は100×109/L以上
※2:血小板数が減少した場合のオムジャラの休薬・減量・中止基準は電子添文参照。
※3: 国内で承認されているルキソリチニブの骨髄線維症に対する用法及び用量は「通常、成人には本剤を1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。用量は、ルキソリチニブとして1回5mg~25mgの範囲とし、患者の状態により適宜増減する。」である。[評 価 項 目]
〈有効性〉
主要評価項目:
24週時のSRR(ベースラインと比較して24週時に35%以上の脾臓容積の減少を達成した被験者の割合) [検証的な解析項目(非劣性のみ、優越性は該当しない)]
副次評価項目:
24週時のTSS(Total Symptom Score:総症状スコア、症状スコア7項目の合計)※4改善割合[検証的な解析項目]、
24週時のRBC-TI (Red Blood Cell-Transfusion Independence:赤血球輸血非依存)
割合※5、24週時の輸血依存割合※6、二重盲検無作為化期の赤血球輸血割合探索的評価項目:
ヘモグロビン値の経時的変化、24週時のTSSのベースラインからの変化量(MMRM解析) 等
その他:
貧血サブグループ
〈安全性〉
有害事象、副作用、臨床検査値(血小板数等)、平均投与量、平均相対用量強度 等[解 析 計 画]
〈有効性〉
有効性の主要解析はITT(Intent-to-treat)集団(無作為割り付けされた全ての患者)を対象に実施した。
主要評価項目である24週時のSRR(ベースラインと比較して24週時に35%以上の脾臓容積の減少を達成した被験者の割合)は層別CMH(Cochran Mantel Haenszel)法を用いて、非劣性の検定を実施した。非劣性の群間差を[オムジャラ群-0.6×ルキソリチニブ群]として算出し、群間差の両側95%CIの下限が非劣性限界値の0より大きい場合に、オムジャラ群のルキソリチニブ群に対する非劣性が検証されたとした。非劣性が検証された場合、ルキソリチニブ群に対するオムジャラ群の優越性も評価した。
24週時のSRR(ベースラインと比較して24週時に35%以上の脾臓容積の減少を達成した被験者の割合)についてオムジャラ群の非劣性が検証された場合、優越性の評価結果を問わず副次評価項目を以下の順で逐次検定し、第1種の過誤確率を制御した。帰無仮説が棄却されなかった場合、正式な逐次検定を中止した。1.
24週時のTSS(総症状スコア)※4改善割合:ベースラインのTSS(総症状スコア)が0を超える患者、もしくはベースラインのTSS(総症状スコア)が0で24週時に0ではないまたは欠測の患者を対象に、層別CMH法を用いて主要評価項目の非劣性検定と同様に評価した。
2.
24週時のRBC-TI (赤血球輸血非依存)割合※5:層別CMH法を用いて、群間差を評価した。
3.
24週時の輸血依存割合※6:層別CMH法を用いて、群間差を評価した。
4.
二重盲検無作為化期の赤血球輸血割合:追跡調査期間をオフセットパラメータとし、層別因子で調整した負の二項回帰モデルを用いて評価した。複数単位の輸血を考慮するため、同一の繰り返し時点を、同一ではないものとみなした。
〈安全性〉
安全性の解析は安全性解析対象集団(ITT集団のうち、治験薬を1回以上投与された全ての患者)を対象に実施した。有害事象の概略は投与群別に患者数および割合で示した。治験薬の投与量は投与群別に1日投与量の合計を曝露時間で除して算出し、相対用量強度は投与群別に1日投与量を各薬剤の最大1日投与量で除して(×100%)算出した。有効性(24週時のSRR、24週時のTSS改善割合、24週時のTSSのベースラインからの変化量、24週時のRBC-TI割合、24週時の輸血依存割合、二重盲検無作為化期の赤血球輸血割合)および安全性の評価項目について、貧血の有無(ベースラインのヘモグロビン値が10g/dL未満・以上)別に事後解析としてサブグループ解析を実施した。
※4:SIMPLIFY-1試験では、Modified MPN-SAF(骨髄増殖性腫瘍の症状評価フォーム)v2.0を用いてTSSを評価した。本質問票は8項目の症状(疲労、早期膨満感、腹部不快感、盗汗、そう痒感、骨痛、左肋骨下痛、非活動性)の程度を評価するものであり、各項目は想起時間を24時間として0(症状なし)から10(想像しうる最悪の状態)までの11段階の数値評価尺度で評価した。FDAとの協議の結果、8項目のうち、非活動性を除いた7項目を合計してTSSとした。患者は二重盲検無作為化期において、電子日誌にMPN-SAF TSSを毎日入力した。
※5:24週時の直前12週間(連続84日間)に赤血球輸血を受けず、かつヘモグロビン値が8g/dL以上だった患者の割合(臨床的に明らかな出血を除く)
※6:24週時の直前8週間(連続56日間)に赤血球輸血が4単位以上またはヘモグロビン値が8g/dL未満だった患者の割合(臨床的に明らかな出血を除く) -
■ 有効性
(3)24週時のRBC-TI(赤血球輸血非依存)割合【副次評価項目】
24週時のRBC-TI割合はオムジャラ群66.5%、ルキソリチニブ群49.3%であった。
ベースラインおよび24週時のRBC-TI (赤血球輸血非依存)割合
(4)24週時の輸血依存割合【副次評価項目】
24週時の輸血依存割合はオムジャラ群30.2%、ルキソリチニブ群40.1%であった。
ベースラインおよび24週時の輸血依存割合
(5)二重盲検無作為化期の赤血球輸血割合【副次評価項目】
二重盲検無作為化期の赤血球輸血割合(中央値)はオムジャラ群0単位/月(範囲:0.0, 9.1)、ルキソリチニブ群0.4単位/月(範囲:0.0, 8.2)であった。赤血球輸血割合の比は0.28(95%CI:0.19, 0.43)であった。
二重盲検無作為化期の赤血球輸血割合
中央値(範囲)
対象集団:ITT集団
層別因子で調整した負の二項分布モデル[層別因子:ベースラインの輸血依存(あり、なし)および血小板数(100×109/L未満、100×109/L以上かつ200×109/L以下、200×109/L超)]を用いて評価した。複数単位の輸血を考慮するため、同一の繰り返し時点を、同一ではないものとみなした。
ベースラインの赤血球輸血:無作為割り付け前8週間以内の赤血球輸血
二重盲検無作為化期の赤血球輸血割合:二重盲検無作為化期における患者1ヵ月当たりの赤血球輸血単位の平均値(臨床的に明らかな出血を除く)(6)ヘモグロビン値の経時的変化【探索的評価項目】
二重盲検無作為化期および非盲検拡大治療期(48週時まで)のヘモグロビン値の経時的変化は以下のとおりであった。
48週時までのヘモグロビン値の経時的変化
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■ 安全性
(1)二重盲検無作為化期における全体集団の安全性
二重盲検無作為化期において有害事象はオムジャラ群214例中197例(92.1%)、ルキソリチニブ群216例中206例(95.4%)に認められた。重篤な有害事象はオムジャラ群49例(22.9%)、ルキソリチニブ群39例(18.1%)に認められた。主な重篤な有害事象※はオムジャラ群では貧血、肺炎、心房細動および下痢が各4例(1.9%)、発熱、敗血症、急性心筋梗塞、膀胱炎および心不全が各2例(0.9%)であった。また、ルキソリチニブ群では貧血8例(3.7%)、肺炎、発熱および血小板減少症が各3例(1.4%)、尿路感染、急性心不全および回転性めまいが各2例(0.9%)であった。このうち、オムジャラ群の貧血3例、心房細動および下痢各2例、肺炎、急性心筋梗塞および膀胱炎各1例、ルキソリチニブ群の貧血6例、血小板減少症2例は、治験薬との因果関係が否定されなかった。投与中止に至った有害事象はオムジャラ群27例(12.6%)、ルキソリチニブ群12例(5.6%)に報告された。死亡に至った有害事象はオムジャラ群7例(3.3%)、ルキソリチニブ群7例(3.2%)に報告された。
副作用はオムジャラ群138例(64.5%)、ルキソリチニブ群143例(66.2%)に認められた。主な副作用はオムジャラ群では血小板減少症34例(15.9%)、頭痛26例(12.1%)、浮動性めまい24例(11.2%)、悪心23例(10.7%)、貧血18例(8.4%)であった。また、ルキソリチニブ群では、貧血65例(30.1%)、血小板減少症55例(25.5%)、頭痛17例(7.9%)、浮動性めまい9例(4.2%)、悪心2例(0.9%)であった。重篤な副作用はオムジャラ群15例(7.0%)、ルキソリチニブ群13例(6.0%)に報告された。
※:各群で2例以上に認められた重篤な有害事象二重盲検無作為化期における有害事象
二重盲検無作為化期における投与中止に至った有害事象
二重盲検無作為化期における死亡に至った有害事象
二重盲検無作為化期における副作用
(2) 二重盲検無作為化期における日本人集団の安全性(事後解析)*
本解析は事後解析にあたりますが、承認申請時の照会事項の回答として提出し、評価された資料のため紹介します。二重盲検無作為化期において有害事象はオムジャラ群6例中5例(83.3%)、ルキソリチニブ群9例中8例(88.9%)に認められた。重篤な有害事象はルキソリチニブ群1例(回転性めまい1例、11.1%)に報告された。投与中止に至った有害事象および死亡に至った有害事象は報告されなかった。
副作用はオムジャラ群2例(33.3%)、ルキソリチニブ群8例(88.9%)に認められた。主な副作用はオムジャラ群で血小板減少症、末梢性感覚ニューロパチーおよび高尿酸血症が各1例(16.7%)、ルキソリチニブ群で貧血が6例(66.7%)、血小板減少症が3例(33.3%)、好中球減少症および口腔咽頭痛が各2例(22.2%)であった。重篤な副作用は報告されなかった。(3)非盲検拡大治療期における全体集団の安全性
非盲検拡大治療期において有害事象はオムジャラ/オムジャラ群171例中157例(91.8%)、ルキソリチニブ/オムジャラ群197例中190例(96.4%)に認められた。重篤な有害事象はオムジャラ/オムジャラ群79例(46.2%)、ルキソリチニブ/オムジャラ群79例(40.1%)に報告された。投与中止に至った有害事象はオムジャラ/オムジャラ群43例(25.1%)、ルキソリチニブ/オムジャラ群49例(24.9%)に報告された。死亡に至った有害事象はオムジャラ/オムジャラ群18例(10.5%)、ルキソリチニブ/オムジャラ群17例(8.6%)に報告された。
非盲検拡大治療期における有害事象
非盲検拡大治療期における重篤な有害事象
重篤な有害事象はオムジャラ/オムジャラ群171例中79例(46.2%)、ルキソリチニブ/オムジャラ群197例中79例(40.1%)に報告された。
主な重篤な有害事象※はオムジャラ/オムジャラ群では肺炎16例(9.4%)、貧血7例(4.1%)、敗血症6例(3.5%)、心不全5例(2.9%)であった。また、ルキソリチニブ/オムジャラ群では肺炎9例(4.6%)、尿路感染5例(2.5%)、貧血、急性腎障害、心房細動、呼吸困難、下痢および血小板減少症が各4例(2.0%)であった。
このうち、オムジャラ/オムジャラ群の肺炎4例、貧血2例、ルキソリチニブ/オムジャラ群の肺炎2例、尿路感染、貧血、急性腎障害および血小板減少症各1例は治験薬との因果関係が否定されなかった。MedDRA Ver. 22.0/MedDRA J Ver. 22.0
対象集団:安全性解析対象集団
※:各群で2%以上に認められた重篤な有害事象非盲検拡大治療期における投与中止に至った有害事象
投与中止に至った有害事象はオムジャラ/オムジャラ群171例中43例(25.1%)、ルキソリチニブ/オムジャラ群197例中49例(24.9%)に報告された。
主な投与中止に至った有害事象※はオムジャラ/オムジャラ群では骨髄線維症および急性骨髄性白血病が各3例(1.8%)であった。
また、ルキソリチニブ/オムジャラ群では血小板減少症8例(4.1%)、末梢性感覚ニューロパチー7例(3.6%)、疲労5例(2.5%)、骨髄線維症および下痢が各3例(1.5%)であった。
このうち、ルキソリチニブ/オムジャラ群の末梢性感覚ニューロパチー7例、血小板減少症6例、疲労5例、下痢3例、骨髄線維症1例は治験薬との因果関係が否定されなかった。MedDRA Ver. 22.0/MedDRA J Ver. 22.0
対象集団:安全性解析対象集団
※:各群で3例以上に認められた投与中止に至った有害事象非盲検拡大治療期における死亡に至った有害事象
死亡に至った有害事象はオムジャラ/オムジャラ群171例中18例(10.5%)、ルキソリチニブ/オムジャラ群197例中17例(8.6%)に報告された。
主な死亡に至った有害事象※はオムジャラ/オムジャラ群では心停止および肺炎が各2例(1.2%)であった。また、ルキソリチニブ/オムジャラ群では心不全、急性骨髄性白血病、死亡が各2例(1.0%)であった。MedDRA Ver. 22.0/MedDRA J Ver. 22.0
対象集団:安全性解析対象集団
※:各群で2例以上に認められた死亡に至った有害事象(4)二重盲検無作為化期における血小板数の経時的変化
二重盲検無作為化期の血小板数の経時的変化は以下のとおりであった。
24週時までの血小板数の経時的変化
(5)二重盲検無作為化期における治験薬の平均投与量および平均相対用量強度
二重盲検無作為化期の平均(±標準偏差)投与量はオムジャラ群では188.8±23.64mg、ルキソリチニブ群では28.0±11.05mgであった。相対用量強度(平均±標準偏差)は、オムジャラ群では94.4±11.82%、ルキソリチニブ群では69.9±27.62%であった。
対象集団:安全性解析対象集団