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■ 試験概要
多施設、第Ⅲ相、無作為化、非盲検、BAT(best available therapy)対照試験
[目
的]
JAK阻害剤(ルキソリチニブ)による治療中または治療歴のある貧血および/または血小板減少症を有するPMF(原発性骨髄線維症)、post PV-MF(真性多血症から移行した骨髄線維症)またはpost ET-MF(本態性血小板血症から移行した骨髄線維症)の患者を対象に、オムジャラとBATの有効性を比較する。
[対
象]
ルキソリチニブによる治療中または治療歴のある貧血および/または血小板減少症を有するMF(骨髄線維症)患者156例
〈主な選択基準〉
・18歳以上の患者
・PMF、post PV-MFまたはpost ET-MFの患者[WHO分類またはIWG-MRT(International Working Group for Myelofibrosis Research and Treatment)基準に基づき診断]
・DIPSS(Dynamic International Prognostic Scoring System)リスク分類の高リスクまたは中間-2リスクの患者、もしくは中間-1リスクで症候性の脾腫および/または肝腫大を伴う患者
・左肋骨縁下に5cm以上の触知可能な脾腫を有する患者
・現在または過去にルキソリチニブを28日以上投与されたことがあり、下記の特徴を有する患者・ルキソリチニブの投与中に赤血球輸血を要したことがある、または
・ルキソリチニブの投与開始時または投与中にルキソリチニブ20mgを1日2回未満に用量調節し、ルキソリチニブ投与中に下記の1つ以上が発現したことがある・有害事象共通用語規準(CTCAE)グレード3以上の血小板減少症
・CTCAE グレード3以上の貧血
・CTCAE グレード3以上の血腫(出血)・MF治療を受けている場合、スクリーニング日の2週間以上前からスクリーニング期間まで、同じレジメンの一定用量を投与されている
・MF治療を受けていない場合、スクリーニング日の2週間以上前からスクリーニング期間まで治療を受けていない状態である
〈主な除外基準〉
・脾臓摘出歴のある患者
・無作為化前の3ヵ月以内に脾臓に放射線照射を受けた患者
・無作為化前の28日以内に治験薬を使用した患者
・ コントロール不良の併発疾患または状態があり、治験要件の遵守が制限されると治験責任医師が判断する患者[試 験 方 法]
本試験は24週間の無作為化期および最長204週間の拡大治療期で構成される。スクリーニング時にMF治療を受けていた患者に対してウォッシュアウト期間は設けなかった。無作為化期においては、対象をオムジャラ群またはBAT群に2:1の割合で無作為割り付けした。無作為割り付けはベースラインの輸血依存(あり、なし)およびTSS(総症状スコア) (18未満、18以上)により層別化した。無作為化期完了後、希望する患者は拡大治療期に移行した。拡大治療期では、無作為化期にBAT群であった患者はオムジャラ投与に切り替え、全ての患者にオムジャラを投与した。
〈無作為化期〉
オムジャラ群: オムジャラ200mgを1日1回経口投与した。なお、血小板減少症により中断および/または150mgもしくは100mgの順に減量を可能とした。
BAT群: 治療法は治験責任医師の判断で選択され、具体的にはルキソリチニブ、ヒドロキシウレア※1等があった。なお、無治療も選択肢に含まれた。2種類以上のMF療法の逐次または併用投与を可能とした。
〈拡大治療期〉
オムジャラ/オムジャラ群:オムジャラ200mgを1日1回経口投与した。無作為化期にオムジャラを減量した患者については、その投与量を継続した。
BAT/オムジャラ群:オムジャラ200mgを1日1回経口投与した。[評 価 項 目]
〈有効性〉
主要評価項目:
24週時のSRR(ベースラインと比較して24週時に35%以上の脾臓容積の減少を達成した被験者の割合) [検証的な解析項目]
副次評価項目:
24週時のTSS(総症状スコア)※2改善割合、無作為化期の赤血球輸血割合※3、24週時のRBC-TI (赤血球輸血非依存)割合※4
探索的評価項目:
ヘモグロビン値の経時的変化 等
〈安全性〉
有害事象、副作用、臨床検査値(血小板数等)、平均相対用量強度 等[解 析 計 画]
〈有効性〉
有効性の主要解析はITT(Intent-to-treat)集団(無作為割り付けされた全ての患者)を対象に実施した。
主要評価項目である24週時のSRR(ベースラインと比較して24週時に35%以上の脾臓容積の減少を達成した被験者の割合)は層別CMH(Cochran Mantel Haenszel)法を用いて、BAT群に対するオムジャラ群の優越性を評価した。
24週時のSRRについて、オムジャラ群の優越性が検証された場合、副次評価項目を以下の順で逐次検定し、第1種の過誤確率を制御した。帰無仮説が棄却されない場合、正式の逐次検定を中止した。1.
24週時のTSS(総症状スコア)※2改善割合:ベースラインのTSS(総症状スコア)が0を超える患者、もしくはベースラインのTSS(総症状スコア)が0で24週時に0ではないまたは欠測の患者を対象に、層別CMH法を用いて、群間差を評価した。
2.
無作為化期の赤血球輸血割合※3:追跡調査期間をオフセットパラメータとし、層別因子で調整した負の二項回帰モデルを用いて評価した。複数単位の輸血を考慮するため、同一の繰り返し時点を、同一ではないものとみなした。
3.
24週時のRBC-TI (赤血球輸血非依存)割合※4:層別CMH法を用いて、群間差を評価した。
〈安全性〉
安全性の解析は安全性解析対象集団(ITT集団のうち、治療を1回以上受けた全ての患者)を対象に実施した。有害事象の概略は投与群別に患者数および割合で示した。相対用量強度は投与群別に1日投与量を各薬剤の最大1日投与量で除して(×100%)算出した。※1 :骨髄線維症に対して本邦未承認である。
※2: SIMPLIFY-2試験では、Modified MPN-SAF(骨髄増殖性腫瘍の症状評価フォーム)v2.0を用いてTSSを評価した。本質問票は8項目の症状(疲労、早期膨満感、腹部不快感、盗汗、そう痒感、骨痛、左肋骨下痛、非活動性)の程度を評価するものであり、各項目は想起時間を24時間として0(症状なし)から10(想像しうる最悪の状態)までの11段階の数値評価尺度で評価した。FDAとの協議の結果、8項目のうち、非活動性を除いた7項目を合計してTSSとした。患者は試験期間中に電子日誌にMPN-SAF TSSを毎日入力した。
※3:無作為化期における患者1ヵ月当たりの赤血球輸血単位の平均値(臨床的に明らかな出血を除く)
※4: 24週時の直前12週間(連続84日間)に赤血球輸血を受けず、かつヘモグロビン値が8g/dL以上だった患者の割合(臨床的に明らかな出血を除く) -
■ 有効性
(1) 24週時のSRR【主要評価項目】[検証的な解析結果]
SRR:ベースラインと比較して24週時に35%以上の脾臓容積の減少を達成した被験者の割合24週時のSRRはオムジャラ群6.7%、BAT群5.8%であった。両群間で優越性が検証されなかった[p=0.90、層別CMH法]。
なお、以降の評価項目における正式な逐次検定を中止した。(2)24週時のTSS(総症状スコア)※改善割合【副次評価項目】
24週時のTSS改善割合はオムジャラ群26.2%、BAT群5.9%であった。
24週時のTSS(総症状スコア)改善割合
(3)無作為化期の赤血球輸血割合【副次評価項目】
無作為化期の赤血球輸血割合(中央値)はオムジャラ群0.5単位/月(範囲:0.0, 8.7)、BAT群1.2単位/月(範囲:0.0, 7.6)であった。赤血球輸血割合の比は0.80(95%CI:0.49, 1.31)であった。
無作為化期の赤血球輸血割合
(4)24週時のRBC-TI(赤血球輸血非依存)割合【副次評価項目】
24週時のRBC-TI割合はオムジャラ群43.3%、BAT群21.2%であった。
ベースラインおよび24週時のRBC-TI (赤血球輸血非依存)割合
(5)ヘモグロビン値の経時的変化【探索的評価項目】
無作為化期のヘモグロビン値の経時的変化は以下のとおりであった。
24週時までのヘモグロビン値の経時的変化
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■ 安全性
(1)無作為化期における安全性
無作為化期において有害事象はオムジャラ群104例中101例(97.1%)、BAT群52例中46例(88.5%)に認められた。重篤な有害事象はオムジャラ群37例(35.6%)、BAT群12例(23.1%)に認められた。主な重篤な有害事象※は、オムジャラ群では貧血4例(3.8%)、心不全および肺炎が各3例(2.9%)であった。また、BAT群では全身健康状態悪化、敗血症および腹痛が各2例(3.8%)であった。このうち、オムジャラ群の貧血2例、心不全および肺炎各1例は治験薬との因果関係が否定されなかった。投与中止に至った有害事象はオムジャラ群22例(21.2%)、BAT群1例(1.9%)に報告された。死亡に至った有害事象はオムジャラ群6例(5.8%)、BAT群4例(7.7%)であった。
副作用はオムジャラ群77例(74.0%)、BAT群20例(38.5%)に認められた。主な副作用はオムジャラ群では下痢20例(19.2%)、悪心14例(13.5%)、血小板減少症12例(11.5%)、浮動性めまい11例(10.6%)であった。また、BAT群では血小板減少症4例(7.7%)、下痢および悪心が各1例(1.9%)であった。重篤な副作用はオムジャラ群12例(11.5%)、BAT群2例(3.8%)に報告された。
主な重篤な副作用はオムジャラ群では貧血2例(1.9%)、BAT群では帯状疱疹および前庭障害が各1例(1.9%)であった。※:各群で2%以上に認められた重篤な有害事象
無作為化期における有害事象
(2)拡大治療期における安全性
拡大治療期において有害事象はオムジャラ/オムジャラ群64例中63例(98.4%)、BAT/オムジャラ群40例中40(100.0%)に認められた。重篤な有害事象はオムジャラ/オムジャラ群33例(51.6%)、BAT/オムジャラ群19例(47.5%)に報告された。
投与中止に至った有害事象はオムジャラ/オムジャラ群15例(23.4%)、BAT/オムジャラ群20例(50.0%)に報告された。死亡に至った有害事象はオムジャラ/オムジャラ群14例(21.9%)、BAT/オムジャラ群3例(7.5%)に報告された。拡大治療期における重篤な有害事象
重篤な有害事象はオムジャラ/オムジャラ群64例中33例(51.6%)、BAT/オムジャラ群40例中19例(47.5%)に報告された。主な重篤な有害事象※はオムジャラ/オムジャラ群では肺炎6例(9.4%)、敗血症4例(6.3%)であった。また、BAT/オムジャラ群では貧血4例(10.0%)、発熱および脾臓梗塞が各3例(7.5%)であった。このうち、オムジャラ/オムジャラ群の肺炎2例、BAT/オムジャラ群の発熱2例、貧血1例は治験薬との因果関係が否定されなかった。
MedDRA Ver. 22.0/MedDRA J Ver. 22.0
対象集団:安全性解析対象集団
※:各群で3例以上に認められた重篤な有害事象拡大治療期における投与中止に至った有害事象
投与中止に至った有害事象はオムジャラ/オムジャラ群64例中15例(23.4%)、BAT/オムジャラ群40例中20例(50.0%)に報告された。
主な投与中止に至った有害事象※はオムジャラ/オムジャラ群では腎不全2例(3.1%)であった。また、BAT/オムジャラ群では血小板減少症4例(10.0%)、下痢3例(7.5%)、頭痛および末梢性感覚ニューロパチーが各2例(5.0%)であった。このうち、BAT/オムジャラ群の血小板減少症4例、下痢3例、頭痛および末梢性感覚ニューロパチー各2例は治験薬との因果関係が否定されなかった。MedDRA Ver. 22.0/MedDRA J Ver. 22.0
対象集団:安全性解析対象集団
※:各群で2例以上に認められた投与中止に至った有害事象拡大治療期における死亡に至った有害事象
死亡に至った有害事象はオムジャラ/オムジャラ群64例中14例(21.9%)、BAT/オムジャラ群40例中3例(7.5%)に報告された。
死亡に至った有害事象はオムジャラ/オムジャラ群では肺炎、敗血症、急性骨髄性白血病、菌血症、心不全、疾患進行、肝性脳症、肝不全、骨髄線維症、腎炎、誤嚥性肺炎、腎不全、呼吸窮迫、くも膜下出血が各1例(1.6%)であった。また、BAT/オムジャラ群では肺炎、敗血症、心筋梗塞が各1例(2.5%)であった。このうち、オムジャラ/オムジャラ群の腎炎1例は治験薬との因果関係が否定されなかった。MedDRA Ver. 22.0/MedDRA J Ver. 22.0
対象集団:安全性解析対象集団