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小児気管支喘息(5歳以上18歳未満の小児)
国際共同第Ⅲ相試験[日本人を含む海外データ](検証試験)

[承認時評価資料:国際共同第Ⅲ相試験(HZA107116試験)]

目的

吸入ステロイド薬[フルチカゾンプロピオン酸エステル(FP)250μg/日以下または同等量]による治療でコントロール不良な5歳以上18歳未満の気管支喘息患者を対象に、レルベア100またはフルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)100μgを1日1回、あるいは小児用レルベア50またはFF 50μgを1日1回、それぞれ24週間吸入投与し、有効性を比較するとともに、レルベア100および小児用レルベア50の安全性を評価する。

対象

短時間作用性β2刺激薬(SABA)または短時間作用性ムスカリン刺激薬(SAMA)吸入薬と吸入ステロイド薬FP250μg/日以下または同等量との併用により4週間以上治療されており、症状のある5歳以上18歳未満の気管支喘息患者902例(日本人39例を含む)を対象として試験を実施した。
承認申請後に、治験施設支援機関が医療機関から受託した治験業務においてGCP違反が確認されたことを受け、データの信頼性が保証できない施設における被験者合計8例(レルベア群3例、FF群5例)を除外した894例(日本人31例を含む)〔Modified ITT(mITT)集団〕を解析対象とした。

方法

多施設共同・無作為化・二重盲検・層別化・並行群間比較試験。観察期間(4週間)に非盲検でFP 100μgを1日2回投与した。
観察期間完了後、患者を年齢(5歳以上12歳未満、12歳以上18歳未満)で層別化した。
12歳以上18歳未満の患者にはレルベア100またはFF 100μgを1日1回朝、5歳以上12歳未満の患者には小児用レルベア50またはFF 50μgを1日1回朝に、それぞれエリプタを用いて24週間吸入投与した。さらに、喘息症状の緩和のための急性増悪(発作)治療薬として、必要に応じてSABA[サルブタモール(吸入エアロゾルまたはネブライザー)]を投与した。

評価項目
〈有効性評価項目〉【5歳以上18歳未満】

主要評価項目

投与後0~4時間のFEV1加重平均値(投与12週時)[検証的解析項目]

副次評価項目

  • 24時間急性増悪(発作)治療薬未使用期間の割合の変化量(投与1~12週時)
  • 24時間無症状期間の割合の変化量(投与1~12週時)
  • 朝のFEV1値の変化量(投与12週時)
  • 朝のピークフロー値の変化量(投与1~12週時)
  • Asthma Control Questionnaire-5(ACQ-5)スコアの変化量(投与24週時)
  • 24週間の治療期間における喘息増悪の発現割合

その他の評価項目

夜のピークフロー値の変化量(投与1~12週時)

〈安全性評価項目〉【5歳以上18歳未満】

有害事象、スクリーニング時および治療終了時の心電図評価、ならびに試験薬剤投与前および投与後の臨床検査値(空腹時血糖値を含む)評価

解析計画

主要な解析対象集団はmITT集団とした。なお、mITT集団を対象とした解析は、承認申請時の照会事項への回答として当局に提出し評価されたデータである。
主要解析では、欠測データはランダムな欠測と仮定した。主要評価項目の評価では、ベースライン値、地域、性別、年齢および投与群を共変量としたANCOVAモデルを用いて解析した。副次評価項目の評価では、朝のFEV1値の変化量(投与12週時)およびACQ-5スコアの変化量(投与24週時)はベースライン値、地域、性別、年齢、投与群、来院、来院とベースライン値の交互作用および来院と投与群の交互作用で調整した反復測定混合モデル解析を行い、それ以外の副次評価項目は主要評価項目と同様の解析を行った。なお、24週間の治療期間における喘息増悪の発現割合については、レルベアとFFの比較は行わなかった。
レルベアとFFの単一比較を行った。有効性の評価には仮説検定を用い、帰無仮説は注目すべき評価項目に群間差なし、対立仮説は群間差ありとした。
複数の重要な評価項目の群間比較を行うことによる多重性を考慮するため、レルベアとFFの比較に際し、ステップダウン閉検定手順を適用した。主要評価項目の群間比較における有意水準を0.05とし、副次評価項目の推定においては、事前に規定した階層に従って検定を行い、当該評価項目より上位の評価項目の群間比較において統計学的有意差が認められた場合、当該評価項目の検定を実施することとした(下表)。上位の評価項目において、統計学的検定における有意水準を0.05として「治療群間の差がない」とした帰無仮説が棄却されなかった場合、当該評価項目より下位の階層の評価項目の検定結果は、記述的に解釈することとした。
多重性を考慮した治療群間の比較は事前に規定した重要な評価項目についての比較に限定することとした(下表)。その他の有効性の評価項目についてもレルベアとFFの比較を行ったものの、副次評価項目の階層の下の位置づけとし、多重性の調整は計画しなかった。

5歳以上18歳未満の集団における統計学的仮説検定の階層構造

5歳以上18歳未満の集団における統計学的仮説検定の階層構造

ベースライン値、地域、性別、年齢および投与群を共変量とするANCOVA

ベースライン値、地域、性別、年齢、投与群、来院、来院とベースライン値の交互作用および来院と投与群の交互作用で調整した反復測定混合モデル解析

本邦において、本剤の有効成分であるFFの単剤での投与は、小児に対して承認されていない。

レルベア:6. 用法及び用量(抜粋)

〈気管支喘息〉

小児

通常、12歳以上の小児にはレルベア100エリプタ1吸入(ビランテロールとして25μg及びフルチカゾンフランカルボン酸エステルとして100μg)を1日1回吸入投与する。

通常、5歳以上12歳未満の小児には小児用レルベア50エリプタ1吸入(ビランテロールとして25μg及びフルチカゾンフランカルボン酸エステルとして50μg)を1日1回吸入投与する。

レルベア:8. 重要な基本的注意(抜粋)

〈効能共通〉

8.1 本剤は既に起きている気管支喘息の発作又は慢性閉塞性肺疾患の増悪を速やかに軽減する薬剤ではないので、毎日規則正しく使用するよう患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者を指導すること。[5.1、5.2、8.7参照]

8.5 全身性ステロイド剤と比較し可能性は低いが、吸入ステロイド剤の投与により全身性の作用(クッシング症候群、クッシング様症状、副腎皮質機能抑制、小児の成長遅延、骨密度の低下、白内障、緑内障、中心性漿液性網脈絡膜症を含む)が発現する可能性がある。特に長期間、大量投与の場合には定期的に検査を行い、全身性の作用が認められた場合には患者の症状を観察しながら適切な処置を行うこと。[8.10参照]

レルベア:9. 特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)

9.7 小児等

9.7.1 長期間投与する場合には、身長等の経過の観察を十分行うこと。また使用にあたっては、使用法を正しく指導すること。全身性ステロイド剤と比較し可能性は低いが、吸入ステロイド剤を特に長期間、大量に投与する場合に成長遅延をきたすおそれがある。なお、小児等に対しては国内での24週間を超える臨床試験は実施していない。

9.7.2 5歳未満の幼児等を対象とした臨床試験は実施していない。

本剤は既に起きている気管支喘息の発作又は慢性閉塞性肺疾患の増悪を速やかに軽減する薬剤ではないので、毎日規則正しく使用するよう患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者を指導すること。[5.1、5.2、8.7参照]

アニュイティ:6. 用法及び用量

通常、成人にはアニュイティ100μgエリプタ1吸入(フルチカゾンフランカルボン酸エステルとして100μg)を1日1回吸入投与する。

なお、症状に応じてアニュイティ200μgエリプタ1吸入(フルチカゾンフランカルボン酸エステルとして200μg)を1日1回吸入投与する。

アニュイティ:9. 特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

フルチカゾンプロピオン酸エステル:6. 用法及び用量

成人には、フルチカゾンプロピオン酸エステルとして通常1回100μgを1日2回吸入投与する。

小児には、フルチカゾンプロピオン酸エステルとして通常1回50μgを1日2回吸入投与する。

なお、症状により適宜増減するが、1日の最大投与量は成人では800μg、小児では200μgを限度とする。

投与後0~4時間のFEV1加重平均値(投与12週時)[主要評価項目][検証的解析結果]

吸入ステロイド薬FP250μg/日以下または同等量による治療でコントロール不良な5歳以上18歳未満の気管支喘息患者を対象に、レルベア100(12歳以上18歳未満)または小児用レルベア50(5歳以上12歳未満)を24週間吸入投与した結果、投与12週時における投与後0~4時間のFEV1加重平均値は、レルベア群2.079L、FF群1.994Lであり、両群間に有意差があることが検証された[群間差0.086L(95%CI:0.040, 0.131);p<0.001:ANCOVA]。

投与後0~4時間のFEV1加重平均値(投与12週時)(mITT)

投与後0~4時間のFEV1加重平均値(投与12週時)(mITT)

ベースライン値、地域、性別、年齢および投与群を共変量とするANCOVA

注)

レルベア群には、レルベア100(VI/FF 25/100μg)または小児用レルベア50(VI/FF 25/50μg)を投与した患者を含む。FF群には、FF 100μgまたはFF 50μgを投与した患者を含む。

[承認時評価資料:国際共同第Ⅲ相試験(HZA107116試験)]

安全性[安全性評価項目]

副作用の発現頻度は、レルベア群1%(6/451例)、FF群<1%(4/443例)であった。

副作用の内訳は、レルベア群で心電図QT延長、血中ブドウ糖増加、発声障害、口腔カンジダ症、腹痛、高血糖、頭痛が各1例(<1%)、FF群で発声障害2例(<1%)、心電図QT延長、口腔カンジダ症、胸痛が各1例(<1%)であった。

重篤な有害事象は、レルベア群5例(1%)、FF群5例(1%)に認められ、主な重篤な有害事象は、喘息(レルベア群2例、FF群3例)であった。

試験中止または試験薬剤の投与中止に至った有害事象は、レルベア群では3例(<1%)に認められ、その内訳は腸閉塞、嗜眠および不眠症が各1例であり、FF群では発声障害が1例(<1%)に認められた。

本試験において、試験薬剤と関連がある重篤な有害事象、死亡に至った有害事象の報告はなかった。

注)

レルベア群には、レルベア100(VI/FF 25/100μg)または小児用レルベア50(VI/FF 25/50μg)を投与した患者を含む。FF群には、FF 100μgまたはFF 50μgを投与した患者を含む。

[承認時評価資料:国際共同第Ⅲ相試験(HZA107116試験)]

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