臨床成績・安全性情報
ロタリックスの臨床成績
―国内第III相臨床試験 1
【試験概要】
目的:
日本人健康乳児を対象としたロタウイルス胃腸炎に対するロタリックス(RIX4414株106.0CCID50/回)2回接種の有効性、免疫原性および安全性を評価する。
対象:
在胎36~42週で出生し、初回接種時に生後6~14週の健康乳児765名
方法:
多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験
乳児をロタリックス群またはプラセボ群に無作為に割り付け、規定の溶解液で溶解した凍結乾燥製剤* を1か月間隔で2回経口接種した。
* 本邦では内用液剤で承認を取得した
主要評価項目:
有効性観察期間中のロタウイルス(野生株)による医療機関への受診が必要なロタウイルス胃腸炎の予防効果
副次評価項目:
有効性
重症ロタウイルス胃腸炎の予防効果
安全性
特定有害事象(接種後8日間以内に発現)および特定外有害事象*(接種後31日間以内に発現)、治験期間内の重篤な有害事象の発現
* 特定有害事象:咳嗽/鼻漏、下痢、嘔吐、発熱、易刺激性、食欲不振
解析計画:
解析は2回目接種2週間後からロタウイルス胃腸炎エピソード28件以上の集積または全被験者が2歳になるまでのいずれか早い時点で行うこととし、34件の集積が確認されたデータベース固定日までを有効性観察期間とした。
評価基準:
ロタウイルス胃腸炎は、2回目接種2週間後以降に発症した医療機関への受診が必要な胃腸炎で、糞便検体から酵素免疫測定法(ELISA 法)によりロタウイルス(野生株)が検出された胃腸炎とした。また、重症度は以下のVesikariスコア(20点評価法)で評価し、7点未満を軽症、7~10点を中等症、11点以上を重症とした。
Vesikariスコアの評価項目と点数内訳
- 下痢の継続日数(1~4日=1点、5日=2点、6日以上=3点)
- 排便回数/24時間(1~3日=1点、4~5回=2点、6回以上=3点)
- 嘔吐の継続日数(1日=1点、2日=2点、3日以上=3点)
- 嘔吐回数/24時間(0回=0点、1回=1点、2~4回=2点、5回以上=3点)
- 発熱レベル(37℃未満=0点、37.1~38.4℃=1点、38.5~38.9℃=2点、39℃以上=3点)
- 脱水レベル(体重減少無し=0点、1~5%=2点、6%以上=3点)
- 治療内容(なし=0点、水分補給=1点、入院=2点)
以上各項目についてスコアリングし、合算する。
ロタウイルス胃腸炎および重症ロタウイルス胃腸炎に対する有効性
ロタリックスは、重症ロタウイルス胃腸炎※の発症を92%予防し、軽症も含めたすべてのロタウイルス胃腸炎の発症を79%予防しました。
ワクチン有効率(%)=〔1-(ロタリックス群でのロタウイルス胃腸炎発症率/プラセボ群でのロタウイルス胃腸炎発症率)〕×100
※重症ロタウイルス胃腸炎:Vesikariスコア 2で11点以上の場合を重症とした。
ロタウイルス胃腸炎に対する予防効果
(主要評価項目、観察期間:2歳時まで)
重症ロタウイルス胃腸炎に対する予防効果
(副次評価項目、観察期間:2歳時まで)
【安全性】
- 接種後8日間の有害事象(特定および特定外)発現率は、ロタリックス群385/508例(75.8%)、プラセボ群189/257例(73.5%)であった。このうち、ロタリックス群に発現した主な副反応は、易刺激性37例(7.3%)、下痢18例(3.5%)、咳嗽/鼻漏17例(3.3%)であった。
- 接種後31日間に発現した特定外有害事象のうち、ワクチン接種と関連があると判定されたのは、ロタリックス群1.0%、プラセボ群0.8%で、いずれも胃腸障害に分類された。
- 本試験において、死亡、およびワクチン接種に関連する重篤な有害事象は報告されなかった。
―海外第III相臨床試験 3
【試験概要】
目的:
欧州6ヵ国(イタリア、スペイン、チェコ共和国、ドイツ、フィンランド、フランス)におけるロタウイルス胃腸炎に対するロタリックス2回接種の有効性、免疫原性および安全性を評価する。
対象:
初回接種時に生後6~14週で出生時体重が2,000g 超の健康乳児3,994名
方法:
多施設国際共同プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験
各国の予防接種計画に従って実施される主要定期予防接種ワクチンの最初の2回の接種と同時に接種されるように、ロタリックス群またはプラセボ群に無作為に割り付け、規定の溶解液で溶解した凍結乾燥製剤 * を1~2か月間隔で2回経口接種した。
主要な海外有効性確認試験では実施国の輸送・保管環境下での有効なウイルス量、有効期限内のウイルス量(106.0CCID50/回)を維持するために、106.5CCID50/回のワクチンを用いて有効性および安全性を評価した。
* 本邦では内用液剤で承認を取得した
主要評価項目:
第1期 * * 有効性観察期間中に流行している野生型ロタウイルス株によるすべてのロタウイルス胃腸炎に対する予防効果
* * 2回目接種の2週間後から最初のロタウイルス流行シーズン終了までの間
副次評価項目:
有効性
第1期有効性観察期間中に流行している野生型ロタウイルス株による重症ロタウイルス胃腸炎およびロタウイルス胃腸炎による入院に対する予防効果
全有効性評価期間中(第1期から有効性観察期間を通した期間)に分離された各型別の重症ロタウイルス胃腸炎に対する予防効果
安全性
特定有害事象(接種後8日間以内に発現)および特定外有害事象(接種後31日間以内に発現)、試験期間内の重篤な有害事象の発現
特定有害事象:咳嗽/鼻漏、下痢、嘔吐、発熱、易刺激性、食欲不振
解析計画:
初回接種から評価期間中に発症した胃腸炎(嘔吐の有無を問わない下痢)エピソードについて、胃腸炎日誌に記録したもので重症度を評価した。評価期間は約20か月。
評価基準:
胃腸炎発症中もしくは回復後7日以内に糞便検体を採取し、酵素免疫測定法(ELISA 法)によりロタウイルス(野生株)が検出された胃腸炎をロタウイルス胃腸炎とした。重症度はVesikariスコア2で評価し、11点以上の場合を重症とした。
解析対象被験者数
欧州でのロタリックスの有効性
ロタリックスは、流行株のタイプにかかわらず、生後1年目の流行期終了までの観察期間中、ロタウイルス胃腸炎の発症を87.1%、重症ロタウイルス胃腸炎※の発症を95.8%、ロタウイルス胃腸炎による入院を100%予防しました。
ワクチン有効率(%)=〔1-(ロタリックス群でのロタウイルス胃腸炎発症率/プラセボ群でのロタウイルス胃腸炎発症率)〕×100
※重症ロタウイルス胃腸炎:Vesikariスコア 2で11点以上の場合を重症とした。
ロタウイルス胃腸炎に対する予防効果(観察期間:生後1年目の流行期終了まで)
G型別重症ロタウイルス胃腸炎に対する予防効果
(副次評価項目、観察期間:生後2年目の流行期終了まで)
【安全性】
- ロタリックスまたはプラセボ接種後8日間の特定有害事象発現率は、ロタリックス群736/914例(80.5%)、プラセボ群410/490例(83.7%)であった。このうち、ロタリックス群に発現した主な副反応は、易刺激性460例(50.3%)、咳嗽/鼻漏221例(24.2%)、食欲不振210例(23.0%)であった。
- いずれかの接種後31日間に発現した特定外有害事象は、ロタリックス群1,686/2,646例(63.7%)、プラセボ群828/1,348例(61.4%)に認められ、このうち、副反応はロタリックス群772/2,646例(29.2%)、プラセボ群373/1,348例(27.7%)に認められた。
- 重篤な有害事象は、ロタリックス群145/2,646例(5.5%)、プラセボ群95/1,348例(7.0%)に認められた。ロタリックス接種と因果関係が否定されなかった重篤な有害事象が2例(腸重積症、胃腸炎)に認められたが、その後回復が確認された。死亡に至った事象は報告されなかった。
- 治験の早期中止に至る有害事象が発生したのは、ロタリックス群で7名、プラセボ群で2名であり、このうち5名はワクチン接種と因果関係ありと判断された。
「効能・効果」「効能・効果に関連する接種上の注意」、「用法・用量」、「用法・用量に関連する接種上の注意」、「接種不適当者を含む接種上の注意」等については、製品電子添文をご参照ください。
ロタリックスの安全性
国内臨床試験において、接種症例508例中、接種後30日間に報告された主な副反応は、易刺激性37例(7.3%)、下痢18例(3.5%)、咳嗽/鼻漏17例(3.3%)でした*1(承認時)。
国内臨床試験において接種後30日間に報告された主な副反応 1
その他の副反応 4
※1 自発報告又は海外のみで認められている副反応については頻度不明とした。
※2 海外臨床試験での頻度:1~10%未満
※3 海外臨床試験での頻度:0.1~1%未満
※4 メキシコでの大規模市販後安全性調査では、本剤の初回接種から31日間における腸重積症の発症頻度の増加が示唆されており、そのほとんどが初回接種後7日以内に認められている。
ラテンアメリカおよびフィンランドで行われた大規模臨床試験 5
健康乳児63,225例(本剤群31,673例、プラセボ群31,552例)を対象に、安全性の主要評価項目である各回のワクチン接種後31日以内に確定診断された腸重積症について検討されました。ワクチン接種後31日以内における本剤群とプラセボ群での腸重積症発症のリスク差および相対リスクは下記のとおりで、ロタリックス接種後、腸重積症の発症リスクの増大は認められませんでした。
接種後31日以内における腸重積症発症リスクのまとめ(主要評価項目)
※1 漸近標準化95%信頼区間
※2 腸重積症と確定された被験者割合の群間差(リスク差)の両側漸近標準化95%CIを算出し、発現頻度が両群で同じであるとする帰無仮説を漸近法による両側スコア検定(有意水準α=0.05)で検定、名目上のp値、名目上のp値
【出典】
- 承認時評価資料: 第Ⅲ相臨床試験(国内、Rota-056試験)
Kawamura N, et al. Vaccine 2011; 29(37): 6335-6341.
本研究はGSK Biologicals 社の資金により行われた。 - Ruuska T, Vesikari T. Scand J Infect Dis. 1990; 22(3): 259-267.
- 承認時評価資料: 第Ⅲ相臨床試験(海外、Rota-036試験)
Vesikari T, et al. Lancet 2007; 370(9601): 1757-1763.
本研究はGSK Biologicals 社の資金により行われた。 - ロタリックス内用液電子添文(第2版)
- 承認時評価資料: 第Ⅲ相臨床試験(海外、Rota-023試験)
Ruiz-Palacios GM, et al. N Eng J Med. 2006; 354(1): 11-22.
本研究はGSK Biologicals 社の資金により行われた。
製品名はすべて、グラクソ・スミスクライン、そのライセンサー、提携パートナーの登録商標です。
製剤写真及びPDF資料は、患者指導の目的に限りダウンロード頂けます。