狂犬病とは
狂犬病の病態
狂犬病の症状の進行
ヒトの狂犬病のおもな症状はウイルス性脳炎による頭痛、発熱、意識障害、痙攣、異常行動等です。臨床経過は、潜伏期、前駆期、急性神経症状期、昏睡期に分けられます(図)。
潜伏期は長いことが特徴であり、多くは1~3か月ですが、1週間未満や1年以上経過して発症することもあります。潜伏期を過ぎて前駆期に入ると、咬まれた部位の灼熱感や疼痛、かゆみなどの知覚異常があらわれたり、発熱、全身倦怠感、食欲不振、頭痛といった風邪に似た症状が2~10日間ほど続きます2、3)。
その後、前駆期に続いて急性神経症状があらわれます。落ち着きのなさ、極度の不安感、活動性の亢進、興奮状態、幻覚・幻視、筋の痙縮などの神経症状が1週間ほど続きます。この間には、飲水時に咽頭の痙攣が起こり、息苦しさや嚥下困難が生じるために水を怖がる「恐水症」や、顔に空気が触れることで痙攣が起こるために風を怖がる「恐風症」といった狂犬病に特徴的な症状があらわれます2、3) 。
<補足>
狂犬病の病型は2つに分けられます。1つは恐水症や恐風症、活動の亢進、興奮状態などの症状を示す「狂躁型狂犬病」で、狂犬病の約8割を占めます。残りの約2割には、恐水症や恐風症などの症状はみられず、前駆期の段階から麻痺症状があらわれるため、「麻痺型狂犬病」といいます3)。
狂躁型、麻痺型のいずれの場合でも、進行すると昏睡状態に陥ります。狂躁型では、急性神経症状期の間に、意識状態が徐々に悪化していき、昏睡に至ります。
一方、麻痺型は麻痺が先行してあらわれるため、全身に麻痺が拡がります。そうして、両者とも呼吸停止・心停止でほぼ100%死に至ります。
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