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狂犬病とは

狂犬病の発生状況

日本における狂犬病

日本における狂犬病の流行は、江戸時代までさかのぼります。江戸時代の享保十七年(1732年)に、外国との窓口となっている長崎に狂犬病が持ち込まれたという記録があり、これが日本で最初の流行といわれています1)。その後、国内各地で狂犬病が大流行し2)、1896年には獣疫予防法が制定されました3)。この予防法では、狂犬病のイヌの殺処分を定めており、これにより全国の狂犬病発生件数も記録されるようになりました。
しかし、その後も狂犬病の流行は続き、関東大震災や戦争などの際には、全国的に狂犬病が大流行しました。そして1950年に狂犬病予防法が制定され、飼いイヌの登録や予防接種の義務付け、さらには野犬の保護も積極的に行われるようになったため、狂犬病の発生は激減しました(図)。1970年にネパールで1例、2006年にフィリピンで2例、合計3例の輸入症例が報告されています。全例がイヌ咬傷による感染であり、日本に帰国後、狂犬病を発症し死亡しています。2006年の2例はいずれも曝露前・曝露後接種が行われていなかったことが確認されています3、4)。2020年に14年ぶりに発生した症例は、フィリピンから入国後発病、死亡した輸入症例でした5)。グローバル化が進む中、日本にも狂犬病の再侵入のリスクがあることを認識する必要があります。

日本における狂犬病届出報告(死亡)例数の推移(1974~2020年)

1947~2006年:狂犬病届出患者数および死亡者数の推移
IASR. 28(3): 61-62.
[https://idsc.niid.go.jp/iasr/28/325/graph/f3251j.gif, 2024年1月25日確認]、
1953年~2020年の死亡例数:厚生労働省 狂犬病
[https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/, 2024年1月25日確認]より作成

狂犬病の発生状況

狂犬病は現在、150以上の国や地域で発生しています6)。厚生労働大臣が指定している狂犬病清浄地域は、日本、ノルウェーの一部、スウェーデン、アイスランド、英国の一部、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、グアム、ハワイ諸島、フィジー諸島となっています。ただし、これは現時点で狂犬病の発生が確認されていないことを示しているにすぎません。たとえば、WHOが発表している世界における狂犬病のリスク分布7)によると、オーストラリアやスカンディナビア半島などは、生息するコウモリが狂犬病ウイルスを保有している可能性があるため「低リスク地域」に区分されています。「リスクがない」と指定されているのは、日本とニュージーランドのみです。

狂犬病による死亡者は毎年約5~6万例にのぼり、その95%がアジアとアフリカで占められています8)。高リスク地域のほとんどがアジアとアフリカであり、狂犬病ウイルスに感染している動物と接触する可能性が高いことを示しています。

狂犬病は途上国の特に貧しい農村地域で死亡者数の多い疾患といわれています。治療を受けることができないまま死に至る患者さんが多いこと、確定診断のための検査が行われないこと、届出や地域から当局への報告が行われないことなどから、死亡者数は過少報告されていると考えられます。

アジアの狂犬病事情

アジア諸国では、狂犬病によって年間約35,000例が死亡していると推定されています8)

*アジアで狂犬病による年間死亡者数が最も多い10カ国

方法:Web of KnowledgeおよびPubmedを用い、2000~2013年に報告された狂犬病に関する文献を検索し、学術集会での発表を収集した。使用可能な113報のデータおよび国際連合のデータベースより2010年の各国の推定人口を使用し、決定木分析を用いて世界および各国の狂犬病の疾病負荷を評価した。

Hampson K, et al.: PLoS Negl Trop Dis. 2015; 9(4): e0003709. より作成

インド
インドは、狂犬病による死亡者が世界で最も多い国であり、2015年の報告では、年間約21,000例が死亡していると推定されています8)。これは世界の35%以上に相当します9)。ただしインドでは、狂犬病は昔からある風土病と捉えられており、届出による統計が行われていないため、死亡者数は正確ではありません10)。インドでは、野犬がそのまま放置されており、狂犬病のヒトへの感染はイヌの咬傷によるものが最も多く(92%)、続いてサル(3.2%)、ネコ(1.8%)、キツネ(0.4%)と報告されています4)

中国
中国も世界的に狂犬病による死亡者が多い国であり、2015年の報告では3)、年間約6,000例が死亡していると推定されています8)。ヒトへの狂犬病の感染源とされているのは、イヌやネコ、ブタ、ヤギ、タヌキ、イタチアナグマ、オオカミなどです11)。なかでもイヌの狂犬病が問題となっています。1980年代には中国のほとんどの省で狂犬病が流行し、1981年には7,000例以上の死亡が報告されました。その後、中国政府による狂犬病対策が功を奏し、死亡者数は1996年には約160例にまで減少しました。しかし、翌年から再び増加傾向に転じ、2007年には3,300例の死亡が報告されました12)。再び狂犬病が増加した原因には、経済成長に伴うイヌの飼育頭数の増加、イヌの予防接種率の低さ、飼い主の狂犬病の知識不足などがあげられます。中国政府は全土でイヌの登録と予防接種に力を入れていますが、依然として、狂犬病のリスクが高い国として注意が必要です13)

台湾
台湾は過去、狂犬病清浄国に指定されていましたが、2013年に野生のイタチアナグマに狂犬病の発生が確認されました14)。この報告に伴い、日本は台湾を狂犬病の非清浄地域に指定しました。2013年の発生を機に、台湾各地でイタチアナグマの狂犬病が確認され、さらにジャコウネズミの狂犬病も見つかっています15)。2018年4月までに654例の野生のイタチアナグマで狂犬病が確認され、215件はヒトの日常生活への関与が報告され、うち51件ではヒトが咬傷を受けたことが報告されています15)。台湾の行政院農業委員会(日本の農林水産省に相当)はイタチアナグマの狂犬病を根絶するために、シナイタチアナグマにおいて経口狂犬病ワクチンSAG2を評価する試験を実施しました。シナイタチアナグマ15匹にSAG2を接種後、狂犬病ウイルスを投与したところ、いずれも180日間発症が認められなかったことが確認されています16)

1)唐仁原景昭:日本獣医史学会雑誌.2011; 48: 22-34.
2)髙山直秀:ヒトの狂犬病―忘れられた死の病.時空出版.2015.
3)Yamamoto S, et al.: J Travel Med. 2008; 15(5): 372-374.
4)高橋華子ほか:IASR.2007;28(3): 64-65.
5)1953年~2020年の死亡例数:厚生労働省 狂犬病
[https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/, 2024年1月25日確認]
6)World Health Organization (WHO) Rabies
[https://www.who.int/health-topics/rabies#tab=tab_1, 2024年1月25日確認]
7)World Health Organization (WHO). Expert Consultation on Rabies. WHO Technical Report Series 1012, 2018.
8)Hampson K, et al.: PLoS Negl Trop Dis. 2015; 9(4): e0003709.
9)World Health Organization (WHO). Expert Consultation on Rabies. WHO Technical Report Series 1012, p5, 2018.
10)Menezes R.: CMAJ. 2008; 178(5): 564–566.
11)Wang L, et al.: Int J Infect Dis. 2014; 25: 122-129.
12)Zhou H, et al.: PLoS Negl Trop Dis. 2016; 10(8): e0004874.
13)西川隆久ほか:IASR. 2007; 28(3): 68-69.
14)厚生労働省健康局結核感染症課 台湾における野生動物の狂犬病発生について(第二報)[https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/dl/0724_02.pdf, 2024年1月25日確認]
15)Shih TH, et al.: Int J Environ Res Public Health. 2018; 15(7): 1347.
16)TAIWAN TODAY. 2018年8月3日.
[https://jp.taiwantoday.tw/news.php?unit=148,149,150,151,152&post=139107, 2024年1月25日確認]

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