検査・治療・予防
狂犬病検査法
臨床症状などから狂犬病を疑った場合、検査による確定診断を行う必要があります。狂犬病の発症後の生前診断では、頭頸部皮膚(毛包部)や角膜スメアを検体材料として、抗Nタンパク質抗体を用いた直接蛍光抗体法によるウイルス抗原の検出が主流です。直接蛍光抗体法は、材料の採集から診断までの時間が2時間と短く、しかも検出率はイヌでは98%に達しており、簡便かつ確実な検査法として世界中で使われています。このほか、唾液や髄液からウイルスゲノムRNAを検出するRT‐PCR法も感度が高い方法です1、2)。
直接蛍光抗体法で陰性を示した場合であっても、臨床症状などから狂犬病の疑いが強く示唆される場合は、RT‐PCR法やウイルス分離など、複数の検査で確定診断します。
狂犬病ウイルスの分離には、マウスの脳内に検体の脳組織の乳剤を接種するマウス脳内接種法と、マウスの神経芽腫細胞(MNA細胞)を利用したウイルス分離法があります。マウス脳内接種法は、簡便ですが、接種後3日以降21日以内に神経症状を呈して死亡したマウスの脳組織を直接蛍光抗体法で調べる必要があります。一方、MNA細胞を利用したウイルス分離法は、マウス脳内接種法より簡便ですが、野生株によっては抗原の検出が困難な場合があります1、3)。
死後診断の場合は、脳組織を検体とした直接蛍光抗体法が主流です。以前は、病理組織検査である、脳組織のHE染色による好酸性細胞質内封入体(ネグリ小体)の検索が行われていましたが、必ずしもネグリ小体が出現するとは限らないため、直接蛍光抗体法が用いられることが多くなっています1)。
いずれの診断法も、狂犬病の発症前(潜伏期)の診断法は現在も確立されていません。
製品名はすべて、グラクソ・スミスクライン、そのライセンサー、提携パートナーの登録商標です。
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