検査・治療・予防
曝露後接種
【参考】WHO推奨の曝露後接種
狂犬病は、いったん発症すれば効果的な治療法がないため、ほぼ100%死に至ります。しかし、感染後に適切に曝露後接種(post-exposure prophylaxis:PEP)を行えば、発症を阻止することが可能です。これは、狂犬病ウイルスは、体内に侵入してから中枢神経に到達するまでの移動に時間がかかり、ワクチン接種によって抗体がつくられる時間(約2週間)よりも長いためです1)。
WHOは、曝露の程度により3段階の分類を行い、曝露後の処置を推奨しています。カテゴリーⅡでは、ワクチン接種が必要とされ、カテゴリーⅢではワクチン接種と狂犬病免疫グロブリン(RIG)の投与が推奨されています。
狂犬病が疑われるイヌやネコ、野生動物に咬まれたり、ひっかかれたりした場合は、まず傷口を速やかに石鹸または洗剤と大量の水で洗います。可能であれば、殺ウイルス性の製剤(エタノール等)を塗布します。その後できるだけ早く医療機関を受診します。医師は、WHOの分類を参考に患者のリスクを判断し、狂犬病ワクチン接種およびRIGの投与を検討します。ただし、RIGは日本では販売されておらず、海外でも入手が困難な状況です。
WHOが推奨するPEPの狂犬病ワクチンの接種スケジュールは、過去に未接種の場合、2か所の皮内注射3回(初回接種日を0日として、0、3、7日)、または1か所の筋肉内注射4回(0、3、7、14~28日)、または2か所の筋肉内注射1回(0日)と1か所の筋肉内注射2回(7、21日)としています。また、2回以上の曝露前接種(PrEP)を受けた後の場合、1か所の皮内注射2回(0、3日)、または4か所の皮内注射1回(0日)、または1か所の筋肉内注射2回(0、3日)が推奨されています2)。
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