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治療・管理

●ガイドライン等

我が国の抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)関連血管炎治療ガイドラインとしては、厚労省の血管炎に関わる3研究班合同によるANCA関連血管炎診療ガイドライン20231と、特に腎障害を伴うANCA関連血管炎の治療についての厚労省難治性腎障害に関する調査研究班による急速進行性糸球体腎炎(rapidly progressive glomerulonephritis:RPGN)の診療ガイドライン2 などがあります。欧米では2021年に新たに米国リウマチ学会(American College of Rheumatology:ACR)から診療ガイドライン3 が、また2022年にEULAR recommendations for the management of ANCA-associated vasculitis: 2022 update4 が発表されました。厚労省のANCA関連血管炎診療ガイドライン2023ではGRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation)法を用いて治療法に関する推奨がいくつか提示されましたが、顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)/多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA)についてのみの推奨であったため、それ以外の好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)、悪性関節リウマチ(malignant rheumatoid arthritis:MRA)、抗リン脂質抗体症候群(anti-phospholipid antibody syndrome:APS)、結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa:PAN)の4疾患について2021年に「治療の手引き2020」として追補版が出版されました5。日本におけるMPAをはじめとするANCA関連血管炎の疫学や病態は欧米とはかなり異なっているため、これら日本初の診療ガイドラインや治療の手引きはANCA関連血管炎の診療において有用です6

図 EGPAの治療レジメンの選択5

図_EGPAの治療レジメンの選択

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表 クリニカルクエスチョン(Clinical Question:CQ)と推奨一覧5

表_クリニカルクエスチョン(Clinical Question:CQ)と推奨一覧

クリニカルクエスチョンと推奨
診療の現場において意見が分かれる、あるいは判断に迷う点を疑問文であらわしたものがクリニカルクエスチョン(CQ)であり、CQに対する回答が推奨です。APS、EGPA、PAN、RVの診療にかかわる医師からなるワーキンググループ会議が開かれ、患者さん、診療ガイドライン作成専門家の意見を取り入れるとともに、「エビデンスの確実性」「利益と害の大きさとバランス」「患者さんの価値観と意向」「資源」の4つの要因を総合的に検討し、推奨を作成しました。推奨の詳しい作成過程は、「Ⅲ. システマティックレビュー、エビデンスの確実性の評価と推奨の作成(p11)を、その読み方については、「推奨と解説の読み方」(p iv)を参照してください。

▮「推奨する」と「提案する」の違いは?
推奨の強さの違いです。「推奨する」は強い推奨で、「提案する」は弱い推奨です。イメージとしては、典型的なケースにおいて、「推奨する」とは「90%以上の人は行うであろう内容」であり、「推奨する」を「~をおすすめします」といいかえるとイメージしやすいでしょう。一方、「提案する」は「60~90%の人は行うであろう内容」であり、「提案する」を「~をしてもよいでしょう」といいかえるとイメージいただけると思います。
なお、推奨あるいは提案された治療であっても、必ずしも個々の患者さんの状況にあてはまるとはかぎりません〔クイックリファレンス「使用上の注意」(p i)参照〕。

▮「エビデンスの確実性」とは?
患者さんにとって重要な治療指標〔死亡は減少したか(死亡)、病気が十分におさまったか(寛解)、入院を要するような重症な合併症がみられたか(重篤合併症発現)など〕に関する研究結果をまとめた内容の「確からしさ」のことです。複数の要因をもとに判定し、「高」、「中」、「低」、「非常に低」の4段階に分けます。真の効果とエビデンス(=研究論文)から推定した効果の大きさが同程度かどうかについての「確からしさ」を意味します。エビデンスの確実性が高いほど両者が同程度と確信されます。逆にエビデンスの確実性が低いと、真の効果とエビデンスから推定した効果の大きさ(効果推定値)が異なる可能性が高いと考えられます。

▮「推奨の強さ」と「エビデンスの確実性」の関係は?
推奨の強さは前述した4つの要因で決まります。「エビデンスの確実性」は推奨の強さを決める1つの要因ですが、エビデンスの確実性のみで推奨の強さが決まるわけではありません。しかし、エビデンスの確実性が低い場合には、一般に弱い推奨にすることが提唱されています。

▮保険適用外とは?
日本の健康保険では認められていない治療のことです。保険診療では使用できないため、一般には奨励されません。
 

厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)難治性血管炎に関する調査研究 針谷正祥 編集:
抗リン脂質抗体症候群・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症・結節性多発動脈炎・リウマトイド血管炎の治療の手引き 2020 

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  1. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)編集:ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023
  2. 成田一衛 監修/厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)難治性腎障害に関する調査研究班 編集:エビデンスに基づく急速進行性腎炎症候群(RPGN)診療ガイドライン 2020
  3. Chung SA et al:Arthritis Rheumatol 2021;73(8), 1366-1383
  4. Hellmich B, et al: Ann Rheum Dis 2023; 0, 1–18
  5. 厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)難治性血管炎に関する調査研究 針谷正祥 編集:抗リン脂質抗体症候群・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症・結節性多発動脈炎・リウマトイド血管炎の治療の手引き 2020
  6. 駒形嘉紀:東京都医師会雑誌 2021;74(10), 1022-1025