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BLISS-LN試験(第Ⅲ相国際共同臨床試験) [1]:試験概要(海外データ)

BLISS-LN試験(第Ⅲ相国際共同検証試験):試験概要

目 的
活動性のループス腎炎を有するSLE患者に対するベンリスタの有効性及び安全性を評価する。

対 象
自己抗体陽性で臨床的活動性ループス腎炎aを有する18歳以上のSLE患者448例

主な選択基準

  • 18歳以上
  • アメリカリウマチ学会(ACR)基準でSLEと診断された患者
  • 自己抗体陽性判定:抗核抗体(ANA)検査で陽性及び/又は抗2本鎖DNA抗体(抗dsDNA抗体)陽性
  •  活動性のループス腎炎aを有する患者(6ヵ月以内)
  • スクリーニング時に寛解導入療法bを必要とする臨床的活動性ループス腎炎cを有する患者

主な除外基準

  • 透析患者
  • スクリーニング時のeGFRが30mL/min/1.73m2未満の患者
  • CYCによる寛解導入療法を既に開始している患者(3ヵ月以内)
  • B細胞を標的とした薬物治療を受けた患者(1年以内)
  • 急性又は慢性の感染の管理を必要とする患者(60日以内)
  • 以前にCYCとMMFの両方で寛解導入療法に失敗したことがある患者
  • 重症活動性CNSループスを発症した患者(60日以内)
  • 悪性新生物の既往歴のある患者(5年以内)
  • CYCによる寛解導入療法で白血球数がグレード3又は4の患者(3ヵ月以内)
  • 自殺行為の既往歴のある患者(6ヵ月以内)又はコロンビア自殺評価スケール(C-SSRS)でタイプ4又は5の自殺企図が認められた患者(2ヵ月以内)

a:試験開始6ヵ月以内にInternational Society of Nephrology/Renal Pathology Societyによる分類でClass III、IV、III+V、IV+V、あるいは
V(Class III、IVはClass Vではない患者
も含む)と診断された
b:CYCと高用量ステロイド(メチルプレドニゾロン)又はMMFと高用量ステロイド(メチルプレドニゾロン)
c: uPCR≧1で、次の活動性尿沈渣の定義に1つ以上該当する(赤血球>5/HPF、白血球>5/HPF、赤血球円柱又は白血球円柱が認められる)
尿沈渣が認められない場合、次のいずれかに該当する(3ヵ月以内に腎生検でループス腎炎が確認された、タンパク尿≧3.5g/日又はuPCR≧3.5)
注:プレドニゾンは本邦未承認、MMFはSLEに対しては本邦適応外あるいは

方 法
対象患者を無作為化aして標準治療b+ベンリスタ群(ベンリスタ併用群)又は標準治療+プラセボ群(プラセボ併用群)に1:1で割り付け、標準治療に上乗せして、二重盲検下でベンリスタ10mg/kg又はプラセボを初回、2週間後、4週間後、以降は4週間ごとに100週時まで静脈内投与し104週間観察した。

a: 無作為化時には層別因子として、寛解導入療法と人種を用いた
b: 標準治療は以下の(1)又は(2)と設定した
(1)寛解導入療法としてシクロホスファミド(CYC)と高用量ステロイド(メチルプレドニゾロン)、維持療法としてアザチオプリン(AZA)と低用量ステロイド(プレドニゾン)
(2)寛解導入療法としてミコフェノール酸モフェチル(MMF)と高用量ステロイド(メチルプレドニゾロン) 、維持療法としてMMFと低用量ステロイド(プレドニゾン)
注:プレドニゾンは本邦未承認、MMFはSLEに対しては本邦適応外

評価項目

主要評価項目…104週時の腎反応(Renal Response:RR)*1達成率(100週時及び104週時の2回評価)
副次評価項目…52週時のRR達成率、104週時の完全腎反応(Complete Renal Response:CRR)*2 達成率、RR達成までの時間、CRR達成までの時間、腎関連イベントもしくは死亡に至るまでの時間、104週時の順序腎反応(Ordinal Renal Response:ORR)*3 等
その他の評価項目…104週時のuPCR≦0.7の患者割合、 104週時のuPCR<0.5の患者割合、104週時のeGFRが60mL/min/1.73m2以上又はフレア発現前値から20%以上の低下を認めない患者割合、104週時のeGFRが90mL/min/1.73m2以上又はフレア発現前値から10%以上の低下を認めない患者割合、Treatment failureに該当しない患者割合 等

解析計画

  • 無作為化された448例のうちコンプライアンスに問題のあった2例を除いた446例をMITT(Modified intention-to-treat)集団とした。安全性の解析は無作為化され少なくとも1回は治療を受けた448例をSafety集団とした。
  • 24週までにステロイド投与量をプレドニゾン換算で10mg/日以下に漸減するとし、以降10mg/日を超えた場合をTreatment failureとした。なお、24~76週までの間はループス腎炎の治療以外の目的でのステロイドによるレスキュー治療は認められたが、76~104週の間はすべてのステロイド投与を認めないこととした。
  • また、寛解導入及び維持療法以外の免疫抑制薬の追加投与、ACE阻害薬やARB(angiotensin-receptor blocker)の使用、24週以降の抗マラリア薬の使用、標準治療薬(シクロホスファミド、アザチオプリン又はミコフェノール酸モフェチル)の認められた用量を超えた使用もTreatment failureとした。
  • 患者背景別(寛解導入療法、人種、地域、ベースライン時の腎生検、ベースライン時の抗dsDNA抗体、ベースライン時のC3/C4、ベースライン時のC3/C4及び抗dsDNA抗体)のサブグループ解析を行うことが事前規定された。

*1:RRの定義:2回連続の評価時点で、uPCR≦0.7、eGFRが60mL/min/1.73m2以上又はフレア発現前値から20%以上の低下を認めない、Treatment failureに該当しないの3項目をすべて満たすこととした
*2:CRRの定義:2回連続の評価時点で、uPCR<0.5、eGFRが90mL/min/1.73m2以上又はフレア発現前値から10%以上の低下を認めない、Treatment failureに該当しないの3項目をすべて満たすこととした
*3:ORRはCRR、部分腎反応(Partial Renal Response:PRR)*4、ノンレスポンダー(CRR及びPRRに該当しない患者)で構成された
*4:PRRの定義: uPCRがベースラインから50%以上減少(ベースラインの値が3以下の場合は1未満へ減少、3より大きい場合は3未満へ減少)、eGFRがベースラインから10%以上の低下を認めない、Treatment failureに該当しないの3項目をすべて満たすこととした
注:RRはPrimary Efficacy Renal Response(PERR)と同じである
注:プレドニゾンは本邦未承認

 RR、CRRの定義

RR、CRRの定義

Treatment failure :

24週までにステロイド投与量をプレドニゾン換算で10mg/日以下に漸減するとし、以降10mg/日を超えた場合をTreatment failureとした。なお、24~76週までの間はループス腎炎の治療以外の目的でのステロイドによるレスキュー治療は認められたが、76~104週の間はすべてのステロイド投与を認めないこととした。

また、寛解導入及び維持療法以外の免疫抑制薬の追加投与、ACE阻害薬やARB(angiotensin-receptor blocker)の使用、24週以降の抗マラリア薬の使用、標準治療薬(シクロホスファミド、アザチオプリン又はミコフェノール酸モフェチル)の認められた用量を超えた使用もTreatment failureとした。

注:RRはPrimary Efficacy Renal Response(PERR)と同じである

[1]Furie R et al.: N Engl J Med 383: 1117-1128, 2020
利益相反︓本試験はグラクソ・スミスクライン株式会社の⽀援により⾏われた。また、著者にグラクソ・スミスクライン株式会社の社員および株主、グラクソ・スミスクライン株式会社より旅費、委員会費、助成⾦、コンサルタント費を受けた者が含まれる。

BLISS-LN試験(第Ⅲ相国際共同臨床試験):有効性

104週間における累積RR達成率は、プラセボ併用群と比較してベンリスタ併用群で高値でした
104週間における累積RR達成率は、プラセボ併用群と比較してベンリスタ併用群で高値でした

104週時のRR達成率
[全体:主要評価項目、寛解導入療法別:サブグループ解析]

104週時のRR達成率

MITT集団
オッズ比[95%CI]及びp値:投与群、寛解導入療法(CYC vs.MMF)、人種(黒人 vs 非黒人)、ベースラインのuPCR、ベースラインのeGFRを共変量としたロジスティック回帰分析
注:MMFはSLEに対しては本邦適応外

104週間における累積CRR達成率は、 プラセボ併用群と比較してベンリスタ併用群で高値でした
104週間における累積CRR達成率は、 プラセボ併用群と比較してベンリスタ併用群で高値でした

104週時のCRR達成率
[全体:副次評価項目、寛解導入療法別:サブグループ解析]

104週時のCRR達成率

MITT集団
オッズ比[95%CI]及びp値:投与群、寛解導入療法(CYC vs.MMF)、人種(黒人 vs 非黒人)、ベースラインのuPCR、ベースラインのeGFRを共変量としたロジスティック回帰分析
注:MMFはSLEに対しては本邦適応外

腎関連イベントもしくは死亡の発現リスクは、プラセボ併用群と比べてベンリスタ併用群で低下しました
腎関連イベントもしくは死亡の発現リスクは、プラセボ併用群と比べてベンリスタ併用群で低下しました

BLISS-LN試験(第Ⅲ相国際共同臨床試験) [1]:安全性

治療に関連した主な有害事象

治療に関連した主な有害事象

Safety集団
MedDRA 22.0/J22.0

治療に関連した重篤な有害事象(いずれかの群で1%以上に発現)

治療に関連した重篤な有害事象

Safety集団
MedDRA 22.0/J22.0

投与中止に至った有害事象、死亡、特に注目すべき有害事象

投与中止に至った有害事象、死亡、特に注目すべき有害事象

Safety集団
※治療期間後、さらに4例が死亡した(ベンリスタ併用群2例、プラセボ併用群2例)

4. 効能又は効果
既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデス

5. 効能又は効果に関連する注意
5.1 過去の治療において、ステロイド、免疫抑制薬等による全身性エリテマトーデスに対する適切な治療を行っても、疾患活動性を有する場合に、本剤を上乗せして投与すること。
5.2 抗核抗体、抗dsDNA抗体等の自己抗体が陽性であることが確認された全身性エリテマトーデス患者に使用すること。
5.3 臨床試験において、重症のループス腎炎又は重症の中枢神経ループスを有する全身性エリテマトーデス患者に対する有効性及び安全性は検討されていない[17.1.1-17.1.4参照*1][17.1.1参照*2]。
5.4 17.臨床成績の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

6. 用法及び用量

  • 点滴静注用製剤
    通常、成人及び5歳以上の小児にはベリムマブ(遺伝子組換え)として、1回10mg/kgを初回、2週後、4週後に点滴静注し、以後4週間の間隔で投与する。
  • 皮下注用製剤
    通常、成人にはベリムマブ(遺伝子組換え)として、1回200mgを1週間の間隔で皮下注射する。

7. 用法及び用量に関連する注意
7.1 本剤による治療反応は、通常投与開始から6ヵ月以内に得られる。6ヵ月以内に治療反応が得られない場合は、本剤の治療計画の継続を慎重に再考すること。
7.2 臨床試験において、本剤と他の生物製剤又はシクロホスファミド静注剤との併用に対する有効性及び安全性は検討されていない[17.1.1-17.1.4参照*1][17.1.1参照*2]。

*1:点滴静注用製剤
*2:皮下注射用製剤

References

  1. Furie R et al.: N Engl J Med 383: 1117-1128, 2020
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PM-JP-BEL-WCNT-210013 2023.04