MERIT試験
国際共同第Ⅲ相試験 209692試験(MERIT試験)
既存治療で効果不十分な鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者対象試験※1(日本人を含む海外データ)(検証試験)
※1
本試験の対象は、日本人の好酸球性副鼻腔炎(ECRS)患者と外国人(ロシア/中国)の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)患者が含まれ、選択基準を踏まえて本邦からは鼻茸を伴うECRS患者が登録されている。本試験の対象患者から、CRSwNPに関する適応症に対するヌーカラの有効性および安全性を評価することは可能と判断されて、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)の効能又は効果で承認された。
[ヌーカラ(鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎)承認時評価資料:209692試験]
[Fujieda S et al:Rhinology 2024 ;62(5),576-589]
利益相反:著者にグラクソ・スミスクライン(株)の社員6名が含まれた。また、本試験に関わる費用はグラクソ・スミスクライン(株)が負担した。
(1)試験概要
目的
主要目的
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎と診断された患者を対象に、内視鏡検査による鼻茸スコア(NPスコア)の合計および鼻閉の視覚アナログ尺度(VAS)症状スコアにより、52週時におけるヌーカラ100mg皮下投与の有効性をプラセボと比較して評価し、優越性を検証する。
副次目的
- 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎と診断された患者を対象に、副鼻腔評価テスト-22質問票( Sino-Nasal Outcome Test:SNOT-22)により52週時におけるヌーカラ100mg皮下投与の生活の質に対する影響をプラセボと比較して評価する。
- 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎と診断された患者を対象に、全般的なVAS症状スコア、複合VASスコア、Lund-Mackay(LMK)コンピュータ断層撮影(CT)スコア、嗅覚消失に関するVAS症状スコアの平均値、および初回の鼻手術または全身性ステロイド薬投与までの時間に対する影響に基づき、52週時におけるヌーカラ100mg皮下投与の有効性をプラセボと比較して評価する。
対象
手術または全身性ステロイド薬の投与によっても効果不十分な、18歳以上の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者※1169例(プラセボ群85例、ヌーカラ100mg群84例)を対象として試験を実施した。
〈選択基準〉
- 両側性の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎
- JESRECスコア≧11
- 血中好酸球数が2%超5%以下であると確認された患者については気管支喘息、アスピリン不耐症または非ステロイド性抗炎症薬アレルギーの合併が必要であり、血中好酸球数が5%超の患者についてはCT陰影が篩骨洞≧上顎洞の場合、前出の合併を必要としない
- 両側の内視鏡検査による鼻茸スコア≧5(最高スコア8)、かつ各鼻腔のスコア≧2
- 鼻茸手術歴を有する、および/または鼻茸の治療のため過去2年以内に3日以上連続の全身性ステロイド薬投与がある、および/または全身性ステロイド薬に対する医学的禁忌/不耐性がある患者
- 重症の鼻茸症状(鼻閉のVAS症状スコア>5)を有する
- Visit 1前の12週間以上にわたり2つ以上の異なる慢性副鼻腔炎の症状が存在し、そのうち1つは鼻詰まり/鼻閉塞/鼻閉または鼻汁(前/後鼻漏)、他の症状は顔面痛/顔面圧迫感および/または嗅覚の減弱もしくは消失のいずれか
- 嚢胞性線維症、EGPA、ヤング症候群、カルタゲナー症候群、線毛機能不全症候群、後鼻孔鼻茸、もしくは薬剤性鼻炎を有する、または鼻中隔弯曲により両鼻腔の評価が困難である患者
- スクリーニング前2週間以内に急性副鼻腔炎または上気道感染に罹患した患者
- スクリーニング前4週間以内に入院を必要とする気管支喘息の増悪を認めた患者
- スクリーニング前6ヵ月以内に鼻腔内または副鼻腔の手術(ポリープ切除、バルーン拡張、鼻ステント挿入等)を受けた患者
- 鼻茸の手術が禁忌の患者
- COVID-19感染を示唆する症状(発熱、咳嗽等)を有する患者
※1
本試験の対象は、日本人の好酸球性副鼻腔炎(ECRS)患者と外国人(ロシア/中国)の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)患者が含まれ、選択基準を踏まえて本邦からは鼻茸を伴うECRS患者が登録されている。本試験の対象患者から、CRSwNPに関する適応症に対するヌーカラの有効性および安全性を評価することは可能と判断されて、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)の効能又は効果で承認された。
方法
多施設共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較試験。
ヌーカラ100mg群またはプラセボ群(各群標準的治療※2併用)に無作為に割り付け、それぞれ投与開始(0週)から4週間ごとに計13回(0~48週)皮下投与した。なお、本試験参加までに鼻腔内ステロイド薬および/またはロイコトリエン受容体拮抗薬の投与を受けていた患者は、各国の診療方針に応じて、試験期間を通してこれらの治療を継続可能とした。
※2
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の標準的治療は、各国の診療方針に応じて、鼻腔内ステロイド薬、生理食塩液による鼻腔内洗浄、全身性ステロイド薬および/または抗生物質の短期投与を含む。なお、52週間の試験薬投与期間を通して継続する。
注)
本邦において「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎」の効能又は効果を有する鼻腔内ステロイド薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、全身性ステロイド薬、抗生物質はありません。各薬剤の電子添文をご参照ください。
4. 効能又は効果(抜粋)
100mgペン、100mgシリンジ
- 気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)
- 既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
- 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)注)
注)適正使用推進ガイドライン対象
5. 効能又は効果に関連する注意(抜粋)
〈鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎〉
5.5 本剤は全身性ステロイド薬、手術等ではコントロールが不十分な患者に用いること。[17.1.4 参照]
6. 用法及び用量(抜粋)
100mgペン、100mgシリンジ
〈鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎〉
通常、成人にはメポリズマブ(遺伝子組換え)として1回100mgを4週間ごとに皮下に注射する。
7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)
〈鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎〉
7.2 本剤による治療反応は、通常投与開始から24週までには得られる。24週までに治療反応が得られない場合は、漫然と投与を続けないよう注意すること。
試験デザイン
評価項目
有効性評価項目
〈主要評価項目(co-primary endpoint)〉
- 52週時における内視鏡検査による鼻茸スコア(中央判定による評価)の合計のベースラインからの変化量[検証的解析項目]
- 52週時の直前4週間における鼻閉のVAS症状スコアの平均値のベースラインからの変化量[検証的解析項目]
〈副次評価項目〉
- 52週時の直前4週間における全般的なVAS症状スコアの平均値のベースラインからの変化量
- 52週時におけるLMK CTスコアのベースラインからの変化量
- 52週時の直前4週間における複合VASスコア(鼻閉、鼻汁、痰および嗅覚消失のVAS症状スコアの合計)の平均値のベースラインからの変化量
- 52週時におけるSNOT-22総スコアのベースラインからの変化量
- 52週時の直前4週間における嗅覚消失に関するVAS症状スコアの平均値のベースラインからの変化量
- 52週時までの鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対する初回の鼻手術または全身性ステロイド薬投与までの時間
安全性評価項目
- 試験薬投与期間を通して報告された全身性反応および注射部位反応を含む有害事象/副作用の発現割合
- 試験薬投与期間中のバイタルサイン
- 試験薬投与期間中の血液学的検査項目および血液生化学的検査項目
- 12誘導心電図(ECG)に基づく評価項目
- 抗薬物抗体(ADA)および中和抗体の有無
薬物動態評価項目
- 血漿中メポリズマブ濃度および母集団薬物動態(PK)パラメータ
薬力学評価項目
- 血中好酸球数の推移
注)
鼻茸スコア(0~8点)、鼻閉のVAS症状スコア(0~10点)、全般的なVAS症状スコア(0~10点)、複合VASスコア(0~10点)、嗅覚消失に関するVAS症状スコア(0~10点):スコアが高くなるほど疾患の重症度が高い
LMK CTスコア(0~24点):スコアが高くなるほどCT画像で評価する副鼻腔の混濁度が高い
SNOT-22総スコア(0~110点):スコアが高くなるほどQOL(生活の質)が低い
これらのスコアは、いずれもスコアの減少が改善を意味する。
解析計画
有効性解析の主要解析対象集団はModified ITT集団とした。なお、Modified ITT集団を対象とした解析は、承認申請時の照会事項への回答として当局に提出し評価されたデータである。
第1種の過誤を制御するため、評価項目の階層を事前に規定し、Gatekeeping法による閉検定手順を適用して、多重性を調整した。有意水準両側5%で統計学的解析を行った。 鼻手術を受けた患者には手術日以降に可能な限り最悪なスコアで補完した。
有効性の統計学的仮説検定の階層構造
a)鼻閉、鼻汁、痰および嗅覚消失のVAS症状スコアの合計
事前に定義された階層における副次評価項目①の統計学的有意差検定は、co-primary endpointで共に統計学的有意性が達成された場合に実施した。副次評価項目②~⑥についても同様に、統計学的有意性は階層内の前の評価項目での統計学的有意性が達成された場合に実施した。
◆Co-primary endpointにおいて、この検証的解析項目で統計学的な有意差が認められず優越性は検証されなかったため、検定が終了した。
〈主要評価項目(co-primary endpoint)の解析〉
Co-primary endpointの主要な治療効果(estimand)の要約指標は、ヌーカラ100mg群およびプラセボ群のスコアの平均値の群間差とした。
各co-primary endpointの解析は、投与群、ベースライン値、ベースラインの血中好酸球数の対数値、標準的治療としての鼻腔内ステロイド薬使用、国および時点を共変量とし、ベースライン値と時点および投与群と時点の交互作用を考慮した反復測定混合モデル( MMRM)を用いて実施した。
〈副次評価項目の解析〉
副次評価項目はco-primary endpointと同様の方法を用いて解析した。ただし、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対する初回の鼻手術または全身性ステロイド薬投与までの時間については、要約指標はハザード比とし、投与群、ベースラインの血中好酸球数の対数値、 過去の手術回数(0、1、2、3回以上;順序尺度)、標準的治療としての鼻腔内ステロイド薬使用、および国を共変量としたCox比例ハザードモデルにより解析した。事象が発生した患者の割合の推移についてKaplan-Meier推定値のグラフを投与群ごとに作成した。鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対する鼻手術または全身性ステロイド薬投与を受ける前に患者が治験参加を中止した場合、中止時に打ち切りとした。
〈薬物動態評価項目の解析〉
血漿中メポリズマブ濃度を測定し、母集団薬物動態解析により薬物動態パラメータを推定した。
〈薬力学評価項目の解析〉
血中好酸球数の推移を解析した。
(2)有効性(日本人を含む海外データ)
有効性の解析結果(Medified ITT集団)
◆
Co-primary endpointにおいて、検証的解析項目の「52週時における内視鏡検査による鼻茸スコア(中央判定による評価)の合計のベースラインからの変化量」で統計学的な有意差が認められず優越性は検証されなかったため、検定が終了した。
鼻手術を受けた患者には手術日以降に可能な限り最悪なスコアで補完した。
a)ヌーカラ-プラセボ
b)鼻閉、鼻汁、痰および嗅覚消失のVAS症状スコアの合計
c)co-primary endpointにおいて、この検証的解析項目で統計学的な有意差が認められず優越性は検証されなかったため、検定が終了した。
注1)
各群標準的治療※を併用
※
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の標準的治療は、各国の診療方針に応じて、鼻腔内ステロイド薬、生理食塩液による鼻腔内洗浄、全身性ステロイド薬および/または抗生物質の短期投与を含む。なお、52週間の試験薬投与期間を通して継続する。
注2)
投与群、ベースライン値、ベースラインの血中好酸球数の対数値、標準的治療としての鼻腔内ステロイド薬使用、国および時点を共変量とし、ベースライン値と時点および投与群と時点の交互作用を考慮した反復測定混合モデル
注3)
投与群、ベースラインの血中好酸球数の対数値、過去の手術回数(0、1、2、3回以上;順序尺度)、標準的治療としての鼻腔内ステロイド薬使用、および国を共変量としたCox比例ハザードモデル
[ヌーカラ(鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎)承認時評価資料:209692試験]
52週時における内視鏡検査による鼻茸スコア(中央判定による評価)の合計のベースラインからの変化量は、ヌーカラ100mg群-0.62、プラセボ群-0.19、群間差は-0.43であり、ヌーカラ100mg群はプラセボ群に比べ統計学的に有意な差が認められず優越性は検証されなかったため、検定が終了しました(p=0.067、反復測定混合モデル注))
52週時における内視鏡検査による鼻茸スコア(中央判定による評価)の合計のベースラインからの変化量(Modified ITT集団)〔主要評価項目(co-primary endpoint)〕[検証的解析結果]
鼻手術を受けた患者には手術日以降に可能な限り最悪なスコアで補完した。
注)
投与群、ベースライン値、ベースラインの血中好酸球数の対数値、標準的治療としての鼻腔内ステロイド薬使用、国および時点を共変量とし、ベースライン値と時点および投与群と時点の交互作用を考慮した反復測定混合モデル
鼻茸スコア:内視鏡検査による両鼻腔の鼻茸の状態を評価する指標。各鼻腔をスコア0~4点で評価し、両側合計スコア0~8点とする。 鼻茸スコア0(鼻茸なし)、1 (中鼻道に小型の鼻茸を認めるが、中鼻甲介の下縁より下に達していない)、2(中鼻甲介の下縁より下に達する鼻茸を認める)、3(下鼻甲介の下縁に達する大型の鼻茸を認める、または中鼻甲介の内側に鼻茸を認める)、4(下鼻道のほぼ完全なうっ血╱閉塞を引き起こす大型の鼻茸を認める)
[ヌーカラ(鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎)承認時評価資料:209692試験]
52週時の直前4週間における鼻閉のVAS症状スコアの平均値のベースラインからの変化量は、ヌーカラ100mg群-3.23、プラセボ群-1.80、群間差は-1.43であり、プラセボ群に対するヌーカラ100mg群の優越性が検証されました(p=0.003、反復測定混合モデル注))
52週時の直前4週間における鼻閉のVAS症状スコアの平均値のベースラインからの変化量(Modified ITT集団)〔主要評価項目(co-primary endpoint)〕[検証的解析結果]
鼻手術を受けた患者には手術日以降に可能な限り最悪なスコアで補完した。
注)
投与群、ベースライン値、ベースラインの血中好酸球数の対数値、標準的治療としての鼻腔内ステロイド薬使用、国および時点を共変量とし、ベースライン値と時点および投与群と時点の交互作用を考慮した反復測定混合モデル
鼻閉のVAS(Visual Analogue Scale)症状スコア:本試験で使用するすべてのVASは電子日誌に含まれ、スクリーニングから試験期間終了時まで1日1回朝に評価を行った。患者は、0(症状なし)から100(想像しうる最悪の状態)の連続した直線上で過去24時間に鼻閉が最もひどかったときの状態を表している点を選択した。得られたVASは、1週間の平均値を10で除してスコア化した。
[ヌーカラ(鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎)承認時評価資料:209692試験]
52週時の直前4週間における全般的なVAS症状スコアの平均値のベースラインからの変化量は、ヌーカラ100mg群-3.33、プラセボ群-1.80、群間差は-1.54でした(反復測定混合モデル注))
52週時の直前4週間における全般的なVAS症状スコアの平均値のベースラインからの変化量(Modified ITT集団)(副次評価項目)
◆ Co-primary endpointにおいて、検証的項目で統計学的な有意差が認められず優越性は検証されなかったため、検定を終了した。
鼻手術を受けた患者には手術日以降に可能な限り最悪なスコアで補完した。
注)
投与群、ベースライン値、ベースラインの血中好酸球数の対数値、標準的治療としての鼻腔内ステロイド薬使用、国および時点を共変量とし、ベースライン値と時点および投与群と時点の交互作用を考慮した反復測定混合モデル
全般的なVAS(Visual Analogue Scale)症状スコア:本試験で使用するすべてのVASは電子日誌に含まれ、スクリーニングから試験期間終了時まで1日1回朝に評価を行った。患者は、0(症状なし)から100(想像しうる最悪の状態)の連続した直線上で過去24時間に全般的な症状が最もひどかったときの状態を表している点を選択した。得られたVASは、1週間の平均値を10で除してスコア化した。
[ヌーカラ(鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎)承認時評価資料:209692試験]
52週時におけるLMK CTスコアのベースラインからの変化量は、ヌーカラ100mg群-3.52、プラセボ群-1.88、群間差は-1.63でした(反復測定混合モデル注))
52週時におけるLMK CTスコアのベースラインからの変化量(Modified ITT集団)(副次評価項目)
◆ Co-primary endpointにおいて、検証的項目で統計学的な有意差が認められず優越性は検証されなかったため、検定を終了した。
鼻手術を受けた患者には手術日以降に可能な限り最悪なスコアで補完した。
注)
投与群、ベースライン値、ベースラインの血中好酸球数の対数値、標準的治療としての鼻腔内ステロイド薬使用、国および時点を共変量とし、ベースライン値と時点および投与群と時点の交互作用を考慮した反復測定混合モデル
LMK CTスコア(Lund-Mackay CTスコア):副鼻腔のCT画像により混濁度および中鼻道の閉塞状態を評価する指標。副鼻腔の各部位(上顎洞、前篩骨洞、後篩骨洞、蝶形骨洞、前頭洞)の混濁度に応じてスコア0(異常なし)、1(部分混濁)、2(全混濁)で評価するとともに、中鼻道自然口ルートはスコア0(閉塞なし)あるいは2(閉塞あり)で評価し、各鼻腔をスコア0~12点、両側合計スコア0~24点とする。中鼻道自然口ルートのない患者(過去の手術のため)については、評価者は以前に中鼻道自然口ルートが存在した位置を検討し、(当該部分に中鼻道自然口ルートがあったと仮定して)スコアをつけた。
[ヌーカラ(鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎)承認時評価資料:209692試験]
52週時の直前4週間における複合VASスコア(鼻閉、鼻汁、痰および嗅覚消失のVAS症状スコアの合計)の平均値のベースラインからの変化量は、ヌーカラ100mg群-2.64、プラセボ群-1.47、群間差は-1.17でした(反復測定混合モデル注))
52週時の直前4週間における複合VASスコア※の平均値のベースラインからの変化量( Modified ITT集団)(副次評価項目)
◆ Co-primary endpointにおいて、検証的項目で統計学的な有意差が認められず優越性は検証されなかったため、検定を終了した。
※ 鼻閉、鼻汁、痰および嗅覚消失のVAS症状スコアの合計
鼻手術を受けた患者には手術日以降に可能な限り最悪なスコアで補完した。
注)
投与群、ベースライン値、ベースラインの血中好酸球数の対数値、標準的治療としての鼻腔内ステロイド薬使用、国および時点を共変量とし、ベースライン値と時点および投与群と時点の交互作用を考慮した反復測定混合モデル
複合VAS(Visual Analogue Scale)スコア:本試験で使用するすべてのVASは電子日誌に含まれ、スクリーニングから試験期間終了時まで1日1回朝に評価を行った。患者は、0(症状なし)から100(想像しうる最悪の状態)の連続した直線上で過去24時間に4症状(鼻閉、鼻汁、痰、嗅覚消失)がそれぞれ最もひどかったときの状態を表している点を選択した。得られたVASは、1週間の平均値を10で除した合計スコアを症状数で除してスコア化した。
[ヌーカラ(鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎)承認時評価資料:209692試験]
52週時におけるSNOT-22(副鼻腔評価テスト-22質問票)総スコアのベースラインからの変化量は、ヌーカラ100mg群-18.27、プラセボ群-7.65、群間差は-10.63でした(反復測定混合モデル注))
52週時におけるSNOT-22総スコアのベースラインからの変化量(Modified ITT集団)(副次評価項目)
◆ Co-primary endpointにおいて、検証的項目で統計学的な有意差が認められず優越性は検証されなかったため、検定を終了した。
鼻手術を受けた患者には手術日以降に可能な限り最悪なスコアで補完した。
注)
投与群、ベースライン値、ベースラインの血中好酸球数の対数値、標準的治療としての鼻腔内ステロイド薬使用、国および時点を共変量とし、ベースライン値と時点および投与群と時点の交互作用を考慮した反復測定混合モデル
SNOT(Sino-Nasal Outcome Test)-22総スコア:副鼻腔炎に対する治療効果を評価する指標。健康関連QOL(HRQoL)に関する22項目について、それぞれ過去2週間の症状の重症度を0~5点で評価し、合計スコア0~110点とする。各項目のSNOT-22スコア0(まったく気にならない)、1(あまり気にならない)、2(少し気になる)、3(気になる)、4(かなり気になる)、5(非常に気になる)
[ヌーカラ(鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎)承認時評価資料:209692試験]
52週時までに初回の鼻手術または全身性ステロイド薬投与を受けるイベントに対するハザード比は、プラセボ群に対して0.49(95%信頼区間[0.26, 0.92])でした(Cox比例ハザードモデル注))
52週時までの鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対する初回の鼻手術または全身性ステロイド薬投与までの時間( Modified ITT集団)(副次評価項目)
◆ Co-primary endpointにおいて、検証的項目で統計学的な有意差が認められず優越性は検証されなかったため、検定を終了した。
注)
投与群、ベースラインの血中好酸球数の対数値、過去の手術回数(0、1、2、3 回以上;順序尺度)、標準的治療としての鼻腔内ステロイド薬使用、および国を共変量としたCox比例ハザードモデル
[ヌーカラ(鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎)承認時評価資料:209692試験]
ヌーカラ100mg群では、52週時にプラセボ群に比較して血中好酸球数が85%減少しました(p<0.001、反復測定混合モデル)
血中好酸球数の推移(Modified ITT集団)(薬力学評価項目)
注)
投与群、地理的地域、ベースラインの血中好酸球数の対数値、ベースラインの吸入ステロイド薬、時点を共変量としベースライン値と時点および投与群と時点の交互作用を考慮した反復測定混合モデル
[ヌーカラ(鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎)承認時評価資料:209692試験]
(3)安全性(日本人を含む海外データ)
副作用の発現率は、ヌーカラ100mg群3%(2/80例)、プラセボ群6%(5/83例)でした。その内訳は、ヌーカラ100mg群では頭痛、顔面痛、疼痛、咳嗽、発声障害、口腔咽頭痛、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、骨痛各1例(1%)、プラセボ群では錯感覚、味覚障害、投与部位反応、鼻出血、咽喉刺激感、喘鳴、COVID-19、蕁麻疹各1例(1%)でした。ヌーカラ100mg群において重篤な副作用、投与中止に至った副作用および死亡は認められませんでした。
MedDRA Ver.26.0/MedDRA J Ver.26.0
※
試験終了後に一部の実施医療機関でデータの信頼性に懸念が認められたため、当該施設からの患者合計6例(プラセボ群2例、ヌーカラ100mg群4例)を除外した。
[ヌーカラ(鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎)承認時評価資料:209692試験]
クイックリンク
ペンの使い方
ヌーカラ100mgペンの使い方、自己注射方法などについて動画でご紹介しています
シリンジの使い方
ヌーカラ100mgシリンジの使い方、自己注射方法などについて動画でご紹介しています
小児用ヌーカラ40mgシリンジの使い方
小児用ヌーカラ40mgシリンジの使い方、自己注射方法などについて動画でご紹介しています
高額療養費シミュレーション
高額療養費制度により、年齢や所得によって医療費の負担上限額が異なります。負担額がどの程度か試算できます
製品名はすべて、グラクソ・スミスクライン、そのライセンサー、提携パートナーの登録商標です。
製剤写真及びPDF資料は、患者指導の目的に限りダウンロード頂けます。
PM-JP-MPL-WCNT-250013 2025.10