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French early access programme

レトロスペクティブ観察研究:French early access programme
(海外データ:リアルワールドエビデンス)
French early access programmeの試験概要

[Taillé C et al:Eur Respir J 2020;55(6), 1902345]
利益相反:著者にグラクソ・スミスクライン(株)の社員2名が含まれた。また、本試験に関わる費用はグラクソ・スミスクライン(株)が負担した。

(1)試験概要

目的

フランスにおいて、市販開始前に使用実態下でヌーカラの投与が行われたearly access programme(nominativeTemporary Use Authorization:nATU)に組み入れられた重症好酸球性喘息患者のベースライン特性を明らかにするとともに、ヌーカラによる治療開始後最長24ヵ月間追跡し、疾患重症度の進行、治療法の変更および安全性について検討する。

対象

nATUに組入れられ、参加施設においてヌーカラが1回以上投与された重症好酸球性喘息患者146例。

方法

後ろ向き観察研究。参加施設の診療記録からデータを収集し、ヌーカラの投与開始から最長24ヵ月間の追跡データを解析した。nATUプロトコルによる必須データは2015年6月9日~2016年3月2日(nATU期間)および2016年3月2日~2018年2月(nATU後期間)に収集した。2回の連続する投与間隔における4週間(±1週間)の遅れはすべて報告することとした。

評価項目

〈主要評価項目〉

  • ヌーカラ投与開始前12ヵ月間の評価によるnATU組入れ時の患者背景[喘息罹患期間、喫煙歴、地理的場所、合併症、就業状況、喘息による障害、社会経済的状況、補完的医療保険状況、喘息増悪※1の発現回数(入院または救急外来受診を含む)、アトピーの状況※2、血中IgE、好酸球および好中球レベル、経口ステロイド薬用量、前治療に対するアドヒアランス(担当医による推算)、FEV1値、FEV1/FVC]

※1 救急外来受診、入院および/または経口ステロイド薬の48時間以上の投与または経口ステロイド薬の1日用量の50%以上の増量を必要とする病勢悪化。
※2 皮膚プリックテストまたは血中抗原特異的IgE検査(IgE>0.1UI)のうち1つ以上に対し陽性

〈副次評価項目〉

  • ヌーカラ投与後最長24ヵ月間の追跡期間における疾患コントロールの進行および治療法の変更[喘息増悪回数および増悪発現時の対応(経口ステロイド薬投与の有無、救急外来受診および/または入院の有無)、FEV1値、FEV1/FVC、ヌーカラ中止日およびその理由(該当する場合)]
  • 試験組入れ時の血中好酸球レベル別(<300、300-<500、500-<700および≧700cells/μL)の喘息増悪発現頻度および経口ステロイド薬投与/用量
  • ヌーカラ投与開始後12ヵ月間におけるヌーカラに対する治療反応性(喘息増悪発現頻度が≧50%減少、経口ステロイド薬用量が≧50%減少)

〈安全性評価項目〉

  • 有害事象 
  • 重篤な有害事象
  • 注目すべき有害事象

解析計画

平均喘息増悪発現頻度は、増悪発現回数/人・年で示した。
喘息発現頻度の推移は、ポアソン回帰モデルを用いて解析した。
FEV1値、FEV1/FVC、喘息コントロールテスト(ACT)スコア、血中好酸球数に関する試験組み入れ時と追跡期間の傾向解析については、反復測定線形混合モデルを用いて行った。
ヌーカラによる治療期間の推算はKaplan-Meier法を用いて行った。
なお、組入れ時の血中好酸球数(<300cells/mL、300~500cells/mL 、500~700cells/mL、≧700cells/mL)についてサブグループ解析を行うことを事前に規定した。

(2)臨床成績

ベースラインおよび投与期間における喘息増悪発現頻度

喘息増悪発現頻度(2年間)(‡主要評価項目)(♯副次評価項目)

French-nATU 増悪抑制効果

ベースラインおよび投与期間における喘息増悪の概要(主要評価項目)

French-nATU 増悪抑制効果

ベースライン時、12例のデータがなかった。 投与開始後12ヵ月と24ヵ月までに、それぞれ42例および31例が治療を中止し、8例および40例は追跡を中止した。

経口ステロイド薬平均用量の組入れ時からの減少率(副次評価項目)

経口ステロイド薬用量の組入れ時からの減少率は投与開始後24ヵ月で62.1%でした。

French-nATU 経口ステロイド薬減量効果

#プレドニゾロン換算
ベースライン時、8例のデータがなかった。 投与開始後12ヵ月と24ヵ月までに、それぞれ42例および31例が治療を中止し、8例および40例は追跡を中止した。

経口ステロイド薬を中止できた患者の割合(副次評価項目)

経口ステロイド薬を中止できた患者の割合は投与開始後24ヵ月で65.3%でした。

French-nATU 経口ステロイド薬減量効果

ベースライン時、8例のデータがなかった。 投与開始後12ヵ月と24ヵ月までに、それぞれ42例および31例が治療を中止し、8例および40例は追跡を中止した。

気管支拡張薬投与前の肺機能、および喘息コントロールスコア、血中好酸球数の推移

French-nATU 各指標の有効性

Supplementary data

ヌーカラ投与開始後12ヵ月における治療反応性(副次評価項目)

ヌーカラ投与開始後6ヵ月および12ヵ月で増悪がなく、経口ステロイド薬 維持療法を行っていない患者は、それぞれ20.6%および41.7%でした。

French-nATU 治療反応性

*:χ2検定 †:欠損データ 6ヵ月 n=16、12ヵ月;n=12 

Supplementary data

組入れ時血中好酸球数別経口ステロイド薬用量#のベースラインからの平均減少率(副次評価項目)

経口ステロイド薬用量のベースラインからの減少は組入れ時の血中好酸球数に関係なくみられました。

French-nATU 経口ステロイド薬減量効果

#:プレドニゾロン換算

(3)安全性

副作用発現状況①

French-nATU 安全性

#投与スケジュール不適切例61例に発現した103件を除く。

副作用発現状況②

French-nATU 安全性

¶:運動誘発喘息、喘息様クリーゼ、および喘息の悪化を含む
†:薬剤関連の有害事象および重篤な有害事象の合計の割合(N=173)

注目すべき有害事象

French-nATU 安全性

#:感染症および寄生虫症SOCに基づく

¶:治験責任医師が重大とみなしたイベント

†:新生物SOCに基づく

§:報告なし

ヌーカラ投与中止の理由(Supplementary data)

French-nATU 投与中止の理由

※ 医師による臨床的判断

(4)Limitation

  • 本研究の主な限界は、データ収集と分析のレトロスペクティブな性質であった。
  • ACTスコアのデータが約40~60%の患者で欠損していたことに注意すべきであるが、データが得られた患者ではベースラインからのACTスコアの変化がMCIDを上回ったことが観察された。
  • 本試験でヌーカラを中止した患者(有害事象または有効性の欠如のため)は、安全性および有効性の結果に含めなかった。これらのデータは、解析に組入れられた患者数と治療期間の両方に依存するため、報告されたデータは慎重に解釈すべきである。
  • さらに、ベースライン時の吸入ステロイド薬の用量が本試験に用いた医学データには記録されなかったため、nATU患者集団におけるベースライン時の特性および疾患の進展に関する評価に含めることはできなかった。
  • 結果はまた、生物学的製剤の投与に必要な医療従事者との定期的な接触、または以前に別の生物学的製剤(例えば、オマリズマブ)の投与を受けたことのある患者に起因する、より厳格なコンプライアンスなどの交絡因子の影響を受ける可能性がある。
  • 最後に、本研究の患者は、治療への早期アクセスのためのnATU基準に基づいて、特に重症の疾患を有し、重症喘息管理の専門知識を有する大学病院で治療された。その結果、本データは、全体的な重症喘息集団、特にこの環境以外でケアを受けている集団を反映していない可能性がある。

nATU:nominative Temporary Use Authorization
MCID(minimal clinically important difference): 臨床的に重要な変化の最小量

製品名はすべて、グラクソ・スミスクライン、そのライセンサー、提携パートナーの登録商標です。
製剤写真及びPDF資料は、患者指導の目的に限りダウンロード頂けます。

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