調製と失活方法
ボトックスの有効成分であるA型ボツリヌス毒素は神経毒素であるため、本剤の取り扱いにあたっては十分な注意が必要です。
本剤は使用後、失活・廃棄が安全かつ確実に行われるように、廃棄については薬剤部に依頼するなど所要の措置を講じ、廃棄に関する記録は保管するよう義務づけられています。
調製
1.準備
ボトックス | |
日本薬局方生理食塩液 | |
調製用のシリンジ | |
調製用の針(20~22G程度) | |
注射用のシリンジ | |
注射用の針 | 眼瞼痙攣・片側顔面痙攣の場合:26~30G程度 |
痙性斜頸の場合:23~30G程度 | |
痙縮の場合:23~30G程度 | |
原発性腋窩多汗症の場合:30~32G程度 | |
斜視の場合:27G程度 | |
痙攣性発声障害の場合:26G程度 | |
過活動膀胱・神経因性膀胱の場合 *:22~27G程度 | |
消毒綿(アルコール綿など) |
*過活動膀胱・神経因性膀胱については該当の疾患ページもご覧ください。(疾患ページはこちら)
2.調製方法
(1) 本剤は調製まで5℃以下の冷所で保存します。
(2) バイアルの蓋をはずし、ゴム栓を消毒綿(アルコール綿など)で清拭したあと、十分に乾燥させます。
※バイアル中にアルコールが混入すると、ボツリヌス毒素の効力が低下する可能性があります。
(3) 調製用のシリンジに調製用の針を取り付けます(目安として20~22G程度)。シリンジに必要量の生理食塩液を吸引し、ボトックスのバイアルに刺入すると、バイアルの中が真空のため、プランジャーが自然に引っ張られ、生理食塩液が注入されます。
注意)バイアルの陰圧が保たれていない場合は使用しないでください。
溶解後のボツリヌス毒素濃度に必要な生理食塩液の量は下記のとおりです。
日局生理食塩液 | 溶解後のボツリヌス毒素濃度(100単位製剤の場合) |
---|---|
1.0mL | 10.0単位/0.1mL |
2.0mL | 5.0単位/0.1mL |
4.0mL | 2.5単位/0.1mL |
8.0mL | 1.25単位/0.1mL |
(4) 生理食塩液を全て注入したら、針はバイアルに残したまま、シリンジだけをはずし、バイアルを静かに回転させ、ボトックスを生理食塩液に溶解します。なお変性する可能性がありますので、泡立ちや激しい撹拌を避けてください。
※溶解後の液は、無色~微黄色澄明で浮遊物はみとめません。
(5) 注射用のシリンジに空気を適量吸引します。空気をバイアルに注入した後、溶解した薬液をシリンジに吸引します。必要量の薬液をシリンジに吸引し、調製用の針をバイアルに残したまま、シリンジを抜いて注射用の針に付け替え、治療の準備を完了します。
※保存剤を含んでいないので、調製後は速やかに使用し、冷凍しないでください。
ボトックスの調製と失活方法 (動画)
過活動膀胱・神経因性膀胱の調製・投与方法はこちら
本コンテンツは日本国内の医療従事者向けです。
製剤写真及びPDF資料は、患者指導の目的に限りダウンロード頂けます。
ボトックスは、米国法人のアラガンインコーポレーテッド(米国アラガン社)が有する登録商標です。