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投与方法

編集協力:東海大学医学部専門診療学系リハビリテーション科 教授
正門 由久 先生

ボトックス施注治療方法の実際

  • 上肢への投与量は合計で240単位を上限とします
  • 複数の緊張筋に分割して投与します
  • 投与量は必要最小限となるように適宜調整します
  • 橈側手根屈筋、深指屈筋、浅指屈筋、母指内転筋などに筋肉注射する

ボトックス施注治療方法の実際/施注方法 上肢痙縮

関連動画

用法・用量

ボトックス添付文書をご参照ください。

臨床試験における投与筋、投与量、投与部位

投与筋 投与量(単位/筋) 投与部位数(部位/筋)
橈側手根屈筋 50 1
尺側手根屈筋 50 1
深指屈筋 50 1
浅指屈筋 50 1
長母指屈筋 20 1
母指内転筋 20 1

×印:臨床試験での投与部位

関与する筋

上肢でよくみられる姿勢異常には、以下のような筋が関与しています。

肩関節の内転・内旋

肘関節の屈曲

前腕の回内

手関節の屈曲

にぎりこぶし状変形

掌中への母指屈曲

投与部位の決定

上肢痙縮では、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、深指屈筋、浅指屈筋、長母指屈筋、母指内転筋などに筋肉内注射します。以下に、投与部位を示します。

橈側手根屈筋への投与

上腕骨内側上顆と上腕二頭筋腱を結ぶ線分の中点から3~4横指遠位部に、1~2ヵ所注射します。

注射針の挿入が深すぎると、浅指屈筋に入る可能性があり、さらに深すぎると長母指屈筋に入る可能性があります。また、橈側に寄り過ぎると円回内筋に、尺側に寄り過ぎると長掌筋に入る可能性があります。

尺側手根屈筋への投与

前腕の近位部1/3等分の高さで、尺骨の掌側2横指の部位に、1~2ヵ所注射します。

注射針の挿入が深すぎると、深指屈筋に入る可能性があります。

深指屈筋への投与

検者の小指の先端が肘頭に来るようにし、環指、中指、示指を尺骨幹に沿って並べ、示指先端の骨幹掌側に1~2ヵ所注射します。

注射針の挿入が掌側に寄り過ぎると、尺側手根屈筋に入る可能性があります。

浅指屈筋への投与

患者さんの手関節の手掌面を握って、示指を上腕二頭筋腱に向かって伸ばし、示指の先端の尺側に1~4ヵ所注射します。

注射針の挿入が橈側に寄り過ぎると橈側手根屈筋に入り、尺側に寄り過ぎると尺側手根屈筋に入る可能性があります。

長母指屈筋への投与

前腕中央部で橈骨掌側の尺側縁に針を挿入し、橈側手根屈筋および浅指屈筋を貫通して長母指屈筋に到達させ、1ヵ所に注射します。

注射針の挿入が浅すぎると、浅指屈筋に入る可能性があります。

母指内転筋への投与

第1指間の非固定部に針を挿入し、第1中手骨底に向かって進入させ、1ヵ所に注射します。

施注のポイント

ボツリヌス療法の効果が認められないことがあり、その原因として、用量が低すぎる可能性が考えられます。表に示したように、患者さんの体重、筋の大きさ、同時に注射する筋の数、痙縮の程度などに応じて、用量の設定を行います[1]

用量の設定に際して考慮すべき点*

患者の状態など 筋あたりの用量
以下の場合は用量を減らす 以下の場合は用量を増やす
患者の体重
軽い
重い
筋の大きさ
非常に小さい
非常に大きい
同時に注射する筋の数
多い
少ない
Ashworth Score
低い
非常に高い
治療による筋力低下
著しい
ほとんどない
前回の治療効果 過剰な筋力低下 不十分な反応

痙縮の治療では、23~30ゲージの針が用いられています。一般に、細い針のほうが痛みは少ないと考えられますが、体動が大きいと針が破損する危険がありますので、筋の大きさや年齢などに合わせて針の太さを選択します。

投与後の注意

ボツリヌス療法に伴う活動性の上昇や筋力バランスの変化により、転倒等が起こりやすくなる可能性があります。

  1. Brin MF et al. Muscle Nerve 1997;Suppl 6:S208-220

*【用法・用量】(上肢痙縮):通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋に合計240単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は240単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。
また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、3ヵ月以内の再投与は避けること。

【下肢痙縮】
ボトックス施注治療方法の実際/施注方法 下肢痙縮

関連動画

  • 下肢への投与量は合計で300単位を上限とします
  • 複数の緊張筋に分割して投与します
  • 投与量は必要最小限となるように適宜調整します
  • 腓腹筋(内側頭、外側頭)、ヒラメ筋(後継後脛骨筋などに筋肉注射する

用法・用量

ボトックス添付文書をご参照ください。

臨床試験における投与筋、投与量、投与部位数

×印:臨床試験での投与部位

関与する筋

下肢でよくみられる姿勢異常には、以下のような筋が関与しています。

股関節の内転

股関節の屈曲

膝関節の屈曲

膝関節の過伸展

尖足・内反尖足

母趾過伸展

投与部位の決定

下肢痙縮では、腓腹筋(内側頭、外側頭)、ヒラメ筋、後脛骨筋などに筋肉内注射します。以下に、投与部位を示します。

腓腹筋(内側頭、外側頭)への投与

下腿の近位1/3部で、触診により腓腹筋の内側頭と外側頭を確認し、この高さを中心に内側頭1~3ヵ所、外側頭1~3ヵ所に注射します。

外側頭への注射時に、注射針の挿入が外側に寄り過ぎると、長腓骨筋に入る可能性があります。また、注射針の挿入が深すぎると、ヒラメ筋、長趾屈筋、後脛骨筋、長母趾屈筋に入る可能性があるほか、血管や神経に接触する可能性があります。

ヒラメ筋への投与

下腿中央の高さで1~3ヵ所に注射します。

注射針の挿入が深すぎると、長趾屈筋、後脛骨筋または長母趾屈筋に入る可能性があるほか、血管や神経に接触する可能性があります。

後脛骨筋への投与

下腿中央の高さで1~3ヵ所に注射します。後脛骨筋は脛骨の後部にあり、直接触診はできないので、超音波ガイドや筋電図モニター、電気刺激で同定します。下腿の中央部で、脛骨の後面に沿って挿入します。

注射針の挿入が浅いと、長趾屈筋に入る可能性があります。また、後脛骨動・静脈、腓骨動・静脈および脛骨神経がヒラメ筋と長趾屈筋、後脛骨筋との間にあるので、針を後方へ進めないように注意します。前方には前脛骨動・静脈もあります。

施注のポイント

ボツリヌス療法の効果が認められないことがあり、その原因として、用量が低すぎる可能性が考えられます。表に示したように、患者さんの体重、筋の大きさ、同時に注射する筋の数、痙縮の程度などに応じて、用量の設定を行います[1]

用量の設定に際して考慮すべき点*

痙縮の治療では、23~30ゲージの針が用いられています。一般に、細い針のほうが痛みは少ないと考えられますが、体動が大きいと針が破損する危険がありますので、筋の大きさや年齢などに合わせて針の太さを選択します。

投与後の注意

ボツリヌス療法に伴う活動性の上昇や筋力バランスの変化により、転倒等が起こりやすくなる可能性があります。

  1. Brin MF et al. Muscle Nerve 1997;Suppl 6:S208-220

*【用法・用量】(下肢痙縮):通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋に合計300単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は300単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。
また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、3ヵ月以内の再投与は避けること。

本コンテンツは日本国内の医療従事者向けです。
製剤写真及びPDF資料は、患者指導の目的に限りダウンロード頂けます。
ボトックスは、米国法人のアラガンインコーポレーテッド(米国アラガン社)が有する登録商標です。