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斜視とは
定義・症状

斜視とは[1]-[4]

斜視は、眼位のずれが生じ、両眼の視線が同じ方向に向かない状態となる眼科疾患です。
このような眼位のずれは、先天的あるいは後天的な疾患や外傷などにより、眼球に付着する6つの外眼筋(内直筋、外直筋、上直筋、下直筋、上斜筋、下斜筋)における筋緊張のバランスが変化することで生じます。例えば、眼球の外側に位置する外直筋の緊張が弱まった場合は、拮抗筋である内直筋の作用方向、つまり内側へ眼球が偏位します。ただし、小児期発症の斜視は多くが原因不明です。
斜視の有病率は、米国において2〜6%と報告されています。一方、日本では成人を含めた疫学調査が十分になされていません。厚生労働省による国内患者調査では、継続的に治療を行っている患者の概数として、共同性内斜視4,000人、共同性外斜視3,000人、間欠性斜視4,000人といった数値が示されています。

[1]丸尾敏夫ほか編.視能学(第2版),文光堂,東京,2011

[2]松橋正和編.よくわかる病態生理13・眼疾患,日本医事新報社,東京,2009

[3]Roberts J, et al. In: Vital and Health Statistics: Series 11,National Center for Health Statistics, Hyattsville, 1978

[4]厚生労働省.平成23年患者調査・閲覧第97表,2011

斜視の影響[1]-[5]

斜視によって眼位の異常をきたすと、両眼視機能の異常や複視、代償性頭位異常、眼精疲労などの機能的な問題が生じ、身体活動のさまたげとなります。また、小児期の斜視は視力の発達を阻害する要因となります。
さらに、「他人と目線が合わない」「見た目が悪い」といった整容的問題は、雇用、収入、結婚に悪影響を及ぼすとされています。

  • 機能的問題
    • 両眼視機能の異常
    • 複視
    • 代償性頭位異常
    • 眼精疲労
    • 弱視(小児期の斜視による視力発達の阻害)
  • 整容的問題
    • 他人と目線が合わない、見た目が悪い
    • 結果的に雇用、収入、結婚への悪影響が生じる

[1]丸尾敏夫ほか編.視能学(第2版),文光堂,東京,2011

[2]松橋正和編.よくわかる病態生理13・眼疾患,日本医事新報社,東京,2009

[3]Coats DK, et al. Ophthalmology. 2000;107:402-405

[4]Mojon-Azzi SM, et al. Br J Ophthalmol. 2008;92:765-769

[5]Olitsky SE, et al. J AAPOS. 1999;3:209-211