小児脳性麻痺患者の下肢痙縮に伴う尖足とは
定義・症状
脳性麻痺の定義
「脳性麻痺とは受胎から新生児期(生後4週以内)までの間に生じた脳の非進行性病変に基づく、永続的なしかし変化しうる運動および姿勢の異常である。その症状は満2歳までに発現する。進行性疾患や一過性運動障害または将来正常化するであろうと思われる運動発達遅延は除外する。」[1]
脳性麻痺においては、上位運動ニューロン徴候のひとつとして痙縮がみられます。痙縮は腱反射亢進を伴う緊張性伸張反射の速度依存性亢進を特徴とする運動障害のひとつです。小児脳性麻痺患者の下肢痙縮に伴う尖足とは、腓腹筋やヒラメ筋などの緊張亢進により、足がつまさき立ちのように変形した状態をいいます。
痙縮による下肢変形
軽症の歩行例の場合、痙縮は主に腓腹筋、ヒラメ筋や後脛骨筋に出現し、尖足歩行を示します。重症になるに従い、ハムストリングや大腿内転筋群あるいは腸腰筋や大腿直筋にも痙縮が目立つようになり、かがみ姿勢やはさみ脚などの異常姿勢として認められます。これらの尖足、内反足、外反足、かがみ姿勢、はさみ脚は、坐位・立位姿勢や歩行機能の発達を障害し、また将来的には下肢関節拘縮・変形へ進行する可能性があります。